41.戦友に専有を約束する！？
そのまま大人しく、寝たままでミズハに全てを委ねていいのだろうか。
いや、何を迷うことがあるのだろう。
かつての戦友というか仲間が俺を慕い、好きでいてくれている現実に何を怖がる必要があるというのか。
「……もしかして怖いのか、イツキ」
「な、何を言うかと思えば、俺は一応リーダーだった男だぞ？ 何をされても痛くもかゆくも……ぶひゃっ！？ あっあひゃひゃあ――！？」
「バ～カ！ エロいことなんかすっかよ！ ミズハはイツキの盾だからな。傍にいてやるってだけで満足出来るだろ？」
「た、盾……そ、そういえばそうだったっけ」
俺の体に触れて来たかと思えば、ミズハはくすぐりの刑を執行して来た。
予想では、あんなことやこんなことまでやられていたはずなのに。
大胆なようで、自分が間違ったと思った行為には及ばないのが、彼女のいい所だ。
「なぁんだ、覚えているのはミズハだけかぁ。イツキってキャラを占有してたと思っていたのにな」
これはもしや、MMOの中で受けた告白に近いものだろうか。
そうだとすると、俺も返事を返してやらなければ。
「そっ、それなら、ミズハ……じゃなくて、はずみに約束する！」
「……何を？」
「俺と一緒にいる時は、俺のことを専有していいって約束を！」
「専有～？ それも二人きりの時だけ？ それはつまらないし、面白くも無いけど？」
「だ、だから、学校の時も専有していいって意味で……」
「……ふぅん？ でも確か、赤名りん……狂戦士のリンにも許しているだろ？」
「え、ええっと……それはその」
リンとのことを全て知られているのか。
白いネコ、白いキャラはリンとミズハだけ。
そもそもあのゲーム中に、常に一緒にいてドキドキしていたのは、どっちの彼女だったんだろうか。
今となってはそれを知るすべを持たないけど。
「ん、分かった。じゃあ近いうちに決着を着けることにする！ それでどっちかが勝ったら、ずっと専有するってことで！ それでいいか？」
「ど、どっちかが？ しかも決着ってどうやって――」
「そんなの、決まってる！ もう一度、再インストールをしてPKで決める。その時は、イツキに見届けてもらう」
「ぴ、PKって……殺し合いなんて、そんな……第一、あのゲームは協力プレイでそんな行為は出来なかった気が」
「先にとっとと引退したイツキには分からないことだな。とにかく、専有を賭けてリンと戦う。それでいいよな、イツキ？」
俺のことを専有していいといった話が、まさかのゲーム勝負になろうとは。
それもリンと。
俺の気持ちは、一体どこへ向かって行くというのだろう。
それとも、頑張って勝ち抜いた彼女のどちらかに、惚れてしまうということなのか。
こんなことなら、妄想していたことを大人しくされていればよかった……。
