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24.白ネコの飼い主との出会い


「ミャー」

「うん? どこかで出会った白猫だな」

「ミャー!」

「うんうん。じゃあ、またな!」


 猫と縁があるのか、朝の通学途中で白い猫に遭遇した。

 リンと初めて出会った時も白い猫に出会ったが、幸運の白い何かなのか。


 ――などとくだらない期待をしても無駄なので、急いで向かった。

 まだまだ寒空が続く季節。


 妹の一樹いつきは委員長が忙しいとかで、一緒に通学しなくなった。

 寂しいやら何やらで、朝の通学時間はぼっちを堪能する羽目に。


 俺の名前のことで妹に無理やり納得させたが、いずれ真相が分かると思うと気が気でない。

 それというのもひそかに何かのゲームを始めたらしく、細かいことをしきりに聞いて来るようになった。


 なるべくそうならないことを祈るばかりだ。

 心配しながら教室に向かう俺に、どこかで見たことのある女子が声をかけて来た。


『おい、お前!』

 そう言われつつスルーしようとすると、腕を掴まれてしまう。


「な、何かな?」

「もう忘れたか? 今朝出会ったはずだぞ!」

「今朝というと、白い猫……え、まさか?」

「バカか? 白い猫なわけがないだろ。でも、お前に懐いていたのに免じてやる!」

「それはどうも……えーと、誰なのか聞いても?」


 派手な茶髪、華奢な体つき……声だけ聞けば大人しそう。

 どこかで見かけた気がする、幼さが残る顔立ちの女子か。


 どこで出会ったのだろう。

 少なくともリアルじゃないし、もしかして……。


「雑魚め! 白いネコが好きだとハーレムしていた奴は、引退すると脳も雑魚るのか?」

「いやっ、待って! 思い出すから!!」


 白いネコキャラですでに出会ったのは、リンだけだ。

 じゃあこの子は、


「ミズハ……?」

「キャラネームはそれで合ってる。お前、イツキだろ? イツキにはチャットでリアルネームを教えた。だから答えられるはず。答えられなかったら、お前のことは教室で雑魚って呼ぶ!」

「それは勘弁……お、思い出すから」


 LORでは白い髪キャラは、リンと……ミズハ。

 しかし本名を聞いたのはリンではなく、ミズハだけだった。


 だからといってメモっていたわけでも無いし、全員の名前を呼び合っていた訳でもない。

 それを今になってどうして。


「予鈴がなったら終了。後から本名を思い出しても許さないから」

「思い出す、思い出すから!」


 白い猫の飼い主で、強気な口調で……名前は――


「……雑魚イツキ。がっかりさせるな!」

「あ! その口癖! えっと……白川しらかわはずみ! はずみだよね?」

「バーカ! やっと思い出すな! キャラネームを逆さにするだけなのに、雑魚め!」

「そ、そう言われても……」


 とても白い猫だけでは思い出せるはずもなく。


「悪いけど、赤名にばかり手を出させるわけにはいかない。ウチも参戦するから、覚悟しとけ!」

「参戦……? それってえーと……」

「あのゲームで関わりを持ったお前が悪いんだ! そういうことだからな!」

「攻略組の……そういうことデスネ……は、はは」

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