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プロローグ

初めて小説を書きました。至らぬ点もあるとは思いますが、楽しんで読んでいただけると嬉しいです。

 人の運勢は必ず波がある。お金を拾ったりギャンブルで勝てば運が良いし、財布を落としたり石に躓く(つまづ)ならば、運が悪いというのが普通だ。つまり、運が悪い時もあれば良い時もある。しかし、海東悠(かいとうゆう)は生まれてこの方、運が悪いだけでラッキーとは無縁の生活を送ってきた。


 道を歩けば転んだり、頭上から鳥のフンや植木鉢が落ちてくることもしばしば。普通に道を歩いているだけなのに車が突っ込んできたり、チンピラにぶつかってぼこぼこにされたこともある。海東悠は自他ともに認める、世界一運の悪い高校生である。


 そんなある日、いつも通りボロボロになりながらも登校していると、目の前に小学一年生くらいの子供が手を挙げて横断歩道を渡っていた。あと一メートルで渡りきる時、左側からトラックがスピードを上げて、子供めがけて突っ込んできた。それに気が付いた子供は、逃げられず涙を流しながら立ち尽くしていた。


 悠はカバンをその場に捨て、横断歩道に向けて咄嗟に走り出した。トラックにぶつかる寸前のところで子供を突き飛ばし、身代わりで轢かれた。即死ではなく、まだ意識が残っていた。体のあちこちに痛みを感じ、動かすことができない。自分でも体が冷たくなっていくのがわかった。意識が薄れていく————。



 ふと目を覚ますと、そこは真っ暗だが自分の身体は見える、そんな空間にいた。

「ここが地獄か」

悠は自分がトラックに轢かれて死んだことを悟った。


 無限の暗闇の中で何もできず、朽ち果てていくのだろうか————そんなことを考えていると、一筋の光が上から降りてきた。それはサンタクロースのように白い髭を蓄え、右手に杖を持った老人だった。

「あなたはいったい誰なのですか? ここはどこですか?」

悠は恐る恐るその老人に尋ねた。すると老人は優しく微笑んで、

「おっほっほ。わしは神じゃ。ここは死後の世界、つまりはおぬしは死んでここに来た」

「やっぱり僕は死んだのですね————」

「まあそう落ち込むでない。おぬしは運が悪いことをわかっているのにも関わらず、自分の身を犠牲にしてひとつの命を救った」

「あれは咄嗟に身体が動いて」

「謙遜するでない。咄嗟に命を救えるものはそうはおらんて」

神はまじめな顔で言った。

「ところで僕はこれからどうなるのですか?」

悠は不安気に言った。この真っ暗の空間の中でどう生きていくのか疑問だったのだ。地獄行きとかにならないよう、祈るしかできなかった。

「地獄行きなどではない」

「心が読めるのですか?」

「神じゃからな」

驚愕している悠を横目に、神が再び微笑んだ。そしてこう続けた。

「わしは善い行いをして命を落としたものを、お主の住む世界とは違う世界に転生させているのじゃ。もちろん、誰でもというわけではないがの。

 転生させる者には力を与えるのじゃが、これにも条件があっての。例えば、力が弱い者には力を、勉強ができぬ者には頭を良くするのじゃ」

「もしかして、僕の場合は運がよくなるってことですか?」

神は頷いた。これが本当だとしたら、悠にとって一大事である。十七年生きてきて、運の悪さを嘆いたことは何度もあった。それから解放されるのであれば、これほど嬉しいことはない。

「その代わり、おぬしにはその世界を救ってほしいのじゃ。今おぬしが考えていることに答えよう。なぜ自分なのか? 先程も言った通り、わしは人の心が読める。心の底から優しさが伝わってくるのじゃ。これだけで選ぶ理由になる。

 実は、転生させた者を悪の道に走らせてしまったことがあるのじゃ」

過去の嫌な出来事を思い出したのか、気を落としながら言った。悠はそれには触れず、ただただ頷いた。

「他に質問はないかの? なければ異世界へ送るぞい!」

神が杖を持ちながら弧を描くように動かすと、悠の足元に魔方陣が現れ、それに吸い込まれるように姿を消した————悠の異世界生活が始まるのであった。

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