夢
「あらあらどうしたの、すごい眠そうじゃないの」
「誰かさんのせいで寝不足なんだよ……」
俺は欠伸を噛み殺しつつからかうような笑みを浮かべているアステシアを睨みつけた。あの後空いているベットに行ったものの。精神的に興奮したという事と奇襲がくるかもという緊張感でいまいち寝付けなかったのだ。
「眠かったら寝ててもいいわよ。目的地までもう少しかかるしね」
「いや、無茶苦茶揺れているんだが? この状況で寝るのは結構しんどいだろ……」
相変わらずサラマンダーの乗り心地は最悪である。だが、昨日の寝不足がたたったのか、うつらうつらとしてしまう。ドラゴンの卵を落とさないように俺はしっかりと支える。そろそろ孵るのだろうか少し動いている気がする。
「もう……そんなに眠いなら我慢しないの、いざというときに動けなかったら大変でしょう」
そういうとアステシアは何やら香水入れのようなものを俺に吹きかけた。誰のせいだよ、と抗議しようとした俺だったが、急激な眠気に襲われる。抱えている卵がまた揺れた気がした。
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これは夢なのだろう。思考に靄がかかったような状態だったが、二回目という事もあり俺も多少は落ち着いてた。
今度は何をみせられるのだろうと思っていると目の前に黒い影が現れた。
「ははは、無様だなイレギュラー、せっかく、まるでゲームのメインキャラのようにヒロインを救ったって言うのにこの様だ。どんな気分だよ、俺に聞かせてくれないか?」
「なっ……お前も話を聞いていたのか……? いったいどうやって……」
「はは、今もお前に抱えられて楽しく一緒に旅をしているぜ、ワイバーン共のような下等な奴らと違って強力なドラゴンはな生殖力の低い代わりに魔力を消費して転生するんだよ」
もう一人の転生者は驚愕の表情を浮かべているであろう俺をみて愉しそうに嗤った。こいつを倒した場所にあった卵だ。何らかの関係があるとは思っていた。だけどこいつ本人だったのかよ?
「はは、卵の俺を割るか? いいぜ、だけどそうしたらお前はどうする? あの女と結ばれる可能性はなくなるだろうなぁ。どうせ、俺の力も残りかすみたいなものだ。力を回復する前にお前に殺されたからな。このまま生きていても冒険者に狩られるか、魔物同士の争いに巻き込まれて死ぬだろうし構わねえよ」
挑発するようにこいつは言った。だけど、俺はこいつの言葉に違和感を覚える。なんで、こいつはわざわざ自分が卵だって言う事を明かしたんだ? 俺が憎いならば俺が卵を孵したら不意打ちで殺せばいいはずだ。
「お前……まさか、俺に手を貸すつもりなのか?」
「ああ、そうだよ、お前が……ザコキャラのお前が抗ったらどうなるか見てみたいんだよ。抗っても抗っても無理ならお前はどうするんだろうな? はは、漫画やアニメでさ、かつて敵が主人公を助けるシーンとかあるだろ? 昔は何でこんなバカな事をするんだって思っていたよ。だけどさ、今なら俺はわかるよ。俺に偉そうな説教を垂れたこいつはどんな人生をおくるんだろうって気になるから助けるんじゃねーかな。見せてみろよ、イレギュラー。お前がどこまで頑張れるかをよ」
その言葉と共に俺は視界がクリアになったのを感じる。すると頭になにやら暖かい感触を感じる。なんだろうか……? 俺目を開けるとこちらを上から覗き込んでいるアステシアと目が合った。まって……これって膝枕ってやつじゃ……
「あら、目が覚めたみたいね。うなされていたわよ。今はサラマンダーが食事休憩中だから、もう少し寝ていなさいな」
「いや……ていうか何で膝枕、それに卵はどうした?」
「婚約者ですものこれくらいはサービスよ。卵も安心なさいな、ちゃんと割れないように置いてあるわ」
アステシアが指を差したほうに布の上に置かれ転がらないように置いてある卵があった。俺はそれをみてどうしようと悩むのであった。
なろうコン用の作品を書いていて続きを書くのが遅れました。こちらも連載を再開いたします。
よろしくお願いいたします。
また、新作を書いたので読んでくださると嬉しいです。
ハイファンタジー新作
『散々搾取された上、パーティーを追放された技能取引者<スキルトレーダー>スキルショップを開き、S級冒険者や王族の御用達になる~基礎スキルが無いと上級スキルは使いこなせないって言ったはずだけど大丈夫か?』
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