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奇襲?

 まずいまずいまずい。俺は緊張のあまり今日の夕食が全然口に入らなかった。ベットが二つというのは幸いだが、同じ部屋に女の子がいるという状況がまずい。そりゃあ転生してからは色々あったよ。ティアと一緒に部屋とかもあってけど、あれはハロルドがいたしな。そもそももっとガキの頃である。


 ていうか彼女はマジで何を考えているのだろうか? 俺と婚約したり、俺とエレナとの仲を取り持とうとしたり、俺が力を手に入れるヒントをくれたりさ……

 俺の家の何かが目当てという事はないだろう。そうなるとエレナに貸しを作るのが目的か? だが、今はエレナは父であるテスラさんと対立している。仮にエレナが長男だったら後継者になる可能性があるので話は別だが、テスラさんの機嫌を損ねてまで俺達に力を貸す必要はないだろう。あとは俺が持っていると勘違いをしている情報網が目当てなのだろうか、そこまでの価値を彼女が見出しているのだろうか?


 俺は卵を抱きかかえ軽い魔術で温めながら考える。ちなみにこうすると孵るのが早くなるとサラマンダーの乗り手の人に教えてもらったのである。思考がイマイチまとまらない。

 ちなみにアステシアは今は浴室で体をタオルで拭いている。高級な宿ではあったが、お風呂などはないのだ。まあ、魔術もほぼ貴族しか使えないしな。転生前の文明とは違い毎日風呂に入るなどということは無い。それにしてもずいぶんと長いな。俺の方が先に体をタオルで拭いたのだけれどその時は、5分程度で終わったのだが……



「ごめんなさい、待ったかしら?」

「別にかまわないぞ……っておい、何て格好をしているんだよ!?」

「何って普通の寝間着じゃないの? あらあらそれとも欲情しちゃった?」



 そういいながら浴室から出てきた彼女はネグリジェのようなものを着ており、なんというか露出が高くて目のやり場に困る。スカートは短いし、その……谷間が見えるんだよぉぉぉ。この場面エレナに見られたらぶっ殺されそうなんだが!! 

 色々な意味で緊張している俺だったが、アステシアは一瞬こちらをからかうような笑みを浮かべた。そして、まるで明日の天気でも聞くかのように気軽に聞いてきた。



「ねえ、ヴァイスは奇襲されるときってどんな時だと思うかしら?」

「え? そりゃあ、目的達成して浮かれている時とか、旅に出ている最中じゃないか? あとは……」

「婚約者とイチャイチャしている時よね」



 その言葉で俺の中で警戒度が一気に増した。俺はすぐに鞄に置いてある剣の位置を把握して、いつでも魔術を唱えられるように準備をする。それを見た彼女は満足そうに頷いた。



「アステシア……狙われているのか!?」

「巻き込んでごめんなさいね、でも、私のあだ名をしっているでしょう?」

「ああ、成り上がりのアステシアだろ。ああ、そういう事か……君の親父さんはあくどい事もやってるのか?」


 俺の言葉に彼女は肯定とも否定ともとれない笑みを浮かべてるだけだった。まあ、成り上がるっていうことはまともな方法だけでは難しいのだろう。



「そう……だからね、敵も多いのよ。今日の護衛にだって敵が紛れているかもしれないの。だから念のためあなたと一緒の部屋にしてもらったのよね。私も奇襲に対する護身術程度なら覚えているし、あなたもいるしね。ああ、ちなみに……あなたの情報網で私の敵はわかるかしら」



 何が楽しいのか彼女は俺の言葉に試すように答える。え、俺の力をあてにしてんのか? 自分で言うのもなんだが成績こそ優秀だが、それはパーティーのみんなが優秀だからなんだが……それにしても、これは試験だろうか? もしかしたら、彼女は俺の情報網の価値を確かめているのかもしれない。彼女の期待を応えられなかった場合、ドラゴンライダーになる道が遠のくかもしれない、ならばと、俺はゲームの時の知識を思い出す。確か彼女関連のサブイベントがいくつかあったはずだ。時系列はあいまいだが、そこからせめてみよう。



「アステシアの商会で最近鉱山を買っただろ? おそらくその時競りに負けた商会に恨まれているよな。そこじゃないか? もしくは……最近学園でボロボロに言い負かしたやつがいるだろ? そいつが逆恨みをしているのかもしれないな。ちょっと、敵が多すぎて絞り切れないぞ」



 俺がサブイベントの時の敵の情報を話すと彼女は驚愕の表情を浮かべる。そして、その視線はやがて、警戒の色が濃くなる。あれ、俺なんかやらかした?



「なんであなたが鉱山の事を知っているのかしら? 父とその側近しか知らないはずなのに……予想以上に優秀な様ね、あなたの情報網は……」



 やらかしたーーー、どうやらまだ未公開情報だったらしい。彼女の視線に俺は笑ってごまかした。



「まあ、いいわ。というわけで私の家は結構狙われているのよね……、今雇っている護衛にだって内通者がいるかもしれないくらいにはね」

「だから今、隙をあえて見せているわけか……」

「そうよ、だから頼りにしてるわよ、婚約者様。さあ、寝ましょうか」



 からかうように彼女は言った。頼られても俺はそこまで強くはないんだよなと思いつつ枕元に武器を置いて、ベットに入る。するとなぜか彼女も一緒のベットに入ってきた。



「おい、ベットはふたつあるだろ?」

「隙を見せるって言ったでしょう? 手を出してもいいけどその場合は責任を取ってもらうからね」

「勘弁してくれよぉぉぉ」



 アステシアが奇襲してくるのかよぉぉぉ。こんなん寝れるわけねーだろ。結局俺は彼女が寝入ったのを見計らって、空いているベットに移動した。女の子ってあんでこんなにいい匂いがするんだろうな。ちなみに奇襲はなかった。






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