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旅行

「で、アステシアは何を考えているんだ?」

「何って婚約者との新婚旅行よ……って冗談じゃないの。そんな怖い顔をしないで欲しいわね。だいたい二、三日って言ったけどそれは普通の馬車の場合よ。あなたにみせてあげるわ。うちの商会の力をね」



 俺の言葉に彼女は肩を竦めて首を振った。そして心配をしている俺をからかうかのように意地の悪い笑みを浮かべる。くっそ、完全に手のひらの上で踊らされているみたいだな。



「大体エレナのテスラ様の説得が成功するとは限らないでしょう? なら説得するときにあなたがドラゴンライダーになれる可能性を示唆できればエレナだってやりやすいでしょう? それにあなたが成功すればあなたはお人よしみたいだから私に力を貸してくれるでしょう? 変な事はしないわよ」

「悪い……ちょっと動揺していたよ……」

「わかればいいのよ、でも、あなたは本当にエレナの事が好きなのね……よかったらエレナの事を話してもらえないかしら?」

「別に構わないが……」



 アステシアに言われ彼女との出会いを話す、孤児院での出来事や、一緒に冒険をしたことなど色々と話す。その中で彼女が特に反応したのは孤児院のくだりでだった。



「ふーん、孤児院ね……あの子……」



 そうつぶやく彼女の表情はどこか嬉しそうで、俺は少しひっかかったが特に突っ込むことはしなかった。なんだろう、その表情はまるで少女が大切な宝物を眺めているようなかんじだったからうかつに突っ込んではいけないと思ったんだ。それに旅は長い、ひょっとしたらエレナとの関係を話してくれるようになるかもしれない。



「そろそろついたわね」

「ん? まだあんまり馬車に乗って時間は立っていないと思うが……」

「言ったでしょう、うちの商会の力を見せるって」

「マジかよ……」



 アステシアは得意げにそういうと馬車の扉を開ける。そして外にあるものを見て俺は絶句する。

 そこにはサラマンダーという赤い鱗に覆われたドラゴンが荷台を引いて佇んでいた。サラマンダーはドラゴンの一種であり、火山付近に生息をしており、炎を吐く習性があり人には懐かないと聞いていたのだが……それが人と共にいて、馬の代わりに荷台を引いているというのに、俺は驚きを隠せない。



「これで私の話も信用してもらえるかしら?」

「ああ、でもどうやって……」



 俺が思わず馬車から身を乗り出すとサラマンダーのぎろりとした目と目があってしまった。俺は驚きのあまりおもわずのけぞる。



「うおおお」

「あらあら、人に慣れたといってもドラゴンなのよ、油断はしない事ね。パクっとされちゃうかもよ。私も軽くから聞いてはいないけれど、幼少のころからドラゴンと暮らすことによって絆を結ぶらしいわよ。だからあなたのそれも大事にしなさいね」



 そういうとアステシアは楽しそうに笑った。いや、普通驚くだろ……話を聞くとサラマンダーの従者もこれから向かうドラゴンライダーの元で専門の訓練を受けた人間らしい。これを見て俺にも可能性がでてきた。ドラゴンの卵を抱えながら俺は少し安堵するのであった。



「でも、これが普及すれば移動手段の革命が起きるんじゃないか?」

「ところがそうもいかないのよね……乗ればわかるわ」



 そういうと彼女はちょっと暗い顔をした。一体どうしたのだろう、やはり育成にコストがかかるのだろうか?

 サラマンダーの引く荷台に乗り換えた俺達は目的地へと向かっていたのだが……



「うおおおおおお」

「叫ばないの!! 舌を噛むわよ」



 乗り心地が最悪なんだが……確かに無茶苦茶早いけど、荷台が無茶苦茶揺れる。例えるならば古い絶叫マシーンに乗っているような気分である。アステシアは慣れているのか涼しい顔をしている。しかし、これは確かに早いが一般には向かないな。彼女の浮かない顔もわかるというものだ。

 でも……ドラゴンを従えて活用している人間がいるという事がわかったのはでかい。これで俺もドラゴンを従えることができて、俺の価値を引き上げることができればテスラさんだって少しくらいは認めてくれるかもしれない。いや、わかっている。多分それだけでは認めてはもらえないだろう。。でも、俺が俺だけの力を手に入れることができれば……俺の有用性を示す事さえできれば……俺は一つの決意をするのであった。

 夜も遅くなり、今夜は宿屋に泊まることになった。アステシアの方で手配まですんでいると本当に手際のよい事だ。

 俺が案内された部屋のベットに身を沈めるとマットレスが沈む。なにこれ? 実家のベットより質がいいんだが……



「私も使うんだからもっと詰めてもらってもいいかしら」

「ああ、悪かったな……ん? は? 待って。一緒の部屋に泊まるのかよ!?」

「一応婚約者だしいいでしょ、エレナには内緒にしてあげるわよ。ああ、でも手を出したら責任は取ってもらうからね」

「はぁぁぁーー!!?」


 アステシアの言葉に俺は素っ頓狂なこえをあげるのであった。あれじゃん、これゲームだったら昨晩はお楽しみでしたねって言われる奴じゃん!!




ヴァイスの貞操はどうなるのでしょうか……

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