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決戦前夜

シオン(ゲーム内での主人公 能力は全属性の魔法が使える 平民育ち) レイド(ゲーム内の固定パーティーメンバー 火の魔法と接近戦が強い この国の第三王子)


久々に出てきたので補足です。

 冒険者ギルドへの根回しを終えた俺たちは再び魔法学校へと向かう。いよいよ明日が本番だ。リチャードは実家へ、ティアは女子寮の自室に戻ったので今は一人だ。俺も本来ならば自室へ向かうべきだが、なんとなくそんな気分になれず、気分転換に散策をすることにしたんだが……。

 気付けば目の前には女子寮の明かりが灯っていた。何をやってるんだろうな。無意識だったがエレナに会いたがっていたのかもしれない。彼女のことだ、俺の頼んでいたことはやっておいてくれたのだろうと思う。

 彼女が信じてくれたからこそ俺は立ち直れたのだ。本当に彼女には感謝してもしきれない。そしてだからこそ失敗はできないと思っている。俺は彼女の言うような英雄ではないからな。だが、彼女が望んだ英雄を目指したいとは思う。



「ありがとうな、エレナ。お前のおかげで俺はがんばれそうだ」

「いえ、私だけの力ではないですよ」

「うおおおおおおおおお!!」



 独り言のつもりだったのに返事が返ってきたぁ! 俺があわてて寄り掛かっていた建物から身を起こして声がした方へ振り向くと、そこには顔を少し赤くしているエレナが立っていた。なんで居いんのさ?



「その……外に気配を感じたのでストーカーかなと思って様子を見にきたんですよ」

「ストーカー……懐かしいな。最初はそんな風に呼ばれてたな……」

「あれは……忘れてください。だいたい初対面で怪しまれるような事を言うヴァイスが悪いんですよ!!」

「そうだな……よく怪しまれなかったよな……」



 最初の出会いを思い出して俺達は笑いあう。思えば初対面の最低の印象から、良く持ち直せたものだ。俺は自分が積み重ねてきたものを改めて実感する。



「そういえば頼んでいたものは貸してもらえた?」

「ええ、アイギスに頼んだら、快く貸してもらえました。まあ、その代わりに色々と聞かれましたが……」



 そう言って顔を少し赤くしたエレナは俺に指輪を差し出してきた。何を聞かれたんだろうな? あんまり深くはつっ込まないほうがいいのだろう。何故か火傷しそうな気がしだしたからな……

 俺は預かった指輪を眺める『アイギスの指輪』ゲームのメインヒロインであるアイギスが常に身に着けているものであり、彼女の家の家宝である。その能力は全ての魔力を封印する効果があり、ゲームでは中盤に魔王の力に暴走したシオンを制御するというキーアイテムとなる代物だ。



「でも、こんな回りくどい事をしなくても、素直にシオン達に力を貸してくれって言えば……」

「いや、無理だろ、いきなりたいして仲良くない同級生から、ドラゴンと戦うから力を貸してくれって言われても信用されないと思うぞ」



 エレナの言葉に俺は首を振る。みんなが力を貸してくれたのは、俺がいままで築いてきた信頼があるからだろう。だが、シオン達とは接触をひたすら避け続けてきたから、お互いにそんなものはない。むしろ入学式の決闘で印象は最悪だろう。

 それでもまあ、エレナからアイギス経由で頼めば話は変わることもあるのだろうが、大きな貸しになってしまうだろう。シオンはともかく、幼い時から王子として貴族のやり取りを見て学んでいるレイドに貸しを作れば、面倒なことになるのは想像に難くない。なんかやばい敵が現れたときに力貸せとか言われそうじゃん。だからわざわざ回りくどい手を使って、シオン達の力を利用する事にしたんだよ。



「ヴァイス……気を付けてくださいね。実は……ティアがヴァイスが来てるかもよっ、て言ってたので様子を見に来たんです」



  幼馴染こわっ!! 俺の行動はティアにはバレバレだったらしい。でも、エレナも俺と話したがっていてくれたというのは嬉しいな。




「ああ、もちろんだ。また演劇を観に行きたいしな。絶対帰ってくるさ」

「ええ、待ってますから」



 エレナと暫く話して、漸く気分の落ち着いた俺は自室に戻ることにした。あれ以上一緒にいたら「この戦いが終わったら伝えたいことがあるんだ」とか言ってしまいそうだったからだ。俺が死ぬことはないはずだが、出来うる限り死亡フラグは無い方がいいし、気恥ずかしいからな。









 一足早くついた俺は仕掛けておいたトラップを確認してから、転生者のドラゴンからもらった笛を吹いた。これでしばらくしたらやつがくるだろう。

 「ブオォォォォー」と不思議な音が魔法学校の敷地内の山に響く。ここは授業でよく用いられる森である。魔物の気配があるが、俺も多少ながらも強くなったので、ここにいる魔物くらいなら一人で狩れるようになったのだ。そして授業が無い日に態々立ち入る物好きも滅多に居ない。

 



「僕たちをこんなところに呼び出してなんのつもりだ、ヴァイス。アイギスの指輪を持っているって言うのは本当か?」

「ああ、本当だよ。でもお前らだってただで返してもらえるとは思ってないだろう? そうだな……俺達と決闘してくれよ」

「フッ、決闘とは古典的だな。だが悪くない。入学式のリベンジといったところか」



 声を聞いた俺が振り向くとシオンとレイドが立っていた。彼らには俺がアイギスの指輪を見つけたから、返してほしくば、誰にも言わずに指定したところに来いと手紙を出しておいたのだ。当然ながら授業以外での生徒同士の戦いは禁止されているからな。

 魔王の力を持ち全属性の魔法を使えるシオンに、ハロルドと同等もしくはそれ以上の魔力を持ちティアと同等の接近戦闘スキルを持つレイド。かませ貴族の俺とは違う本物の主人公たちだ。スペックが違い過ぎる。俺達は今からこいつらと戦い、ドラゴンが来るまで時間を稼がなければいけないのだ。 

 指輪を素直に返す代わりにドラゴンを退治してくれ、と頼んだらレイドあたりにその情報はどこから得たんだ? と根掘り葉掘り聞かれかねないいし、色々つっ込まれたらボロが出そうだから、決闘をしている間に野生のドラゴンが乱入してきたという風にお膳立てをすることにしたのだ。



「ああ、市場でたまたま売ってたのを見つけてな、結構いい値段したんだ。俺に勝ったら返してやるよ」

「いいだろう、その決闘引き受けた。でも、君が勝ったら僕から何をもらう気なんだ?」

「プライドだよ、貴族である俺のプライドを取り返すんだ。平民ごときに負けっぱなしでは収まりが付けられないからな。こっちも二人だ。そちらも二人でいいぜ」

「ふん、プライドか……下らんな。少し買い被ぶっていたか……ん?二人だと」



 俺が指を動かすと、レイドの声に反応するように俺の後ろの木がかさかさと動いた。



「姿を見せないつもりか、姑息な手を使うね」

「姑息なのはどっちだよ、全属性の魔法を使えるお前相手に正面から挑んだら勝ち目がないだろうが!! 姿がみえなければ、俺の相棒の魔法の属性はわからないからな」

「まあ、良しとしよう、コインが落ちたら開始だ。伏兵もどうせティアか、ハロルド、エレナあたりだろう。いや、貴様の性格上女性を巻き込むとは思えないしな。ハロルドかリチャード……指揮官は二人はいらんか。ならばハロルドだろう」

「随分と俺のことに詳しいんだな」

「当たり前だろう? 将来私の部下になるかもしれないんだ、有能な生徒は覚えておくさ」



 俺はレイドのセリフににやりと笑みを浮かべる。ずっと避けていたのだが、俺も少しは認められているようだ。だが、残念ながら俺はお前が調べている以上にお前らを知っているんだ。何せゲームの中で世界を救うまでお前らを操作して冒険をしていたんだからな。



「それじゃあ、開始だ」

「大地よ、喰らえ」



 レイド投げたコインが地面に落ちると同時に俺は指を動かす。シオンの魔法だろう、詠唱が終わると同時に先ほど人影が動いたところの大地が隆起する。そして跳ね上がった大地と共にエレナが今朝作った氷の人の形をした像が現れる。先ほどの影の正体はこれである。これを糸で引っ張り仲間がいるように見せたのだ。

 


「何だ……?」

「風よ」



 そしてそれと同時にシオンたちの背後から蜃気楼(ミラージュ}で姿を隠していたハロルドが姿を現し魔法を放つ。風の刃がシオン達を背後から襲う。

 完全な不意打ちだがどうだろうな。まさかこれで勝てたりははしないだろうが、少しはダメージを与えられているといいんだが……え、本気すぎる? 当たり前だろ。本気でやらなきゃ演技とバレるからな。



ようやくヴァイス達がシオン達とまともに接することができました。

長かった……


そろそろキャラ増えすぎたのでマジで登場人物一覧とか作りますね……



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