エレナの想い
久々の更新ですいません、たぶん覚えている方少ないと思いますので補足です。
メリルはエリザベスのパーティーメンバーでハロルドに恋をしていなかった方ですね。アイギスはゲームのメインヒロインでシオンとちょいちょいデートしている描写がある赤毛の女の子です。更新空いたタイミングでちょいキャラメインになり申し訳ないです。
シオンはゲームの本来の主人公でレイドはシオンの仲間になります。
ヴァイスは大丈夫だろうか? ドラゴンにさらわれて帰ってきてから彼はおかしいのだ。何かを思い悩むように顔をしかめている。私が困っている時に助けてくれた彼の力になりたいのに、彼は私を頼ってくれないのがもどかしい。だから私は男心に詳しいであろう友人達に相談することにした。
「私の友達の話なんですが、親しい友人が悩み事があるのに打ち明けてくれなくて悩んでるそうなんです」
「なるほど……つまり、エレナは、今朝から思い悩んでいる大好きなヴァイス君の力になりたいけど、教えてくれないから男心に詳しい私たちに相談したと」
「ふむ、実に初々しいな。ヴァイスという男もエレナのような尽くす女に想われて本望だろう」
「私の話って一言もいってないですよね!!」
私は思わず目の前のメリルとアイギスに叫んでしまった。そんなにわかりやすかったでしょうか、昔から何を考えているかわかりにくいとか、冷たい印象があるとか言われていたが私だったのですが、私は変わったのでしょうか? いえ、変わることができたのでしょう。原因は彼や彼らとパーティーを組んだからでしょうね。人を頼ることを覚えたのです。以前の自分では考えられない変化だと思います。それはさておき、恋の相談というものは恥ずかしいですね……
私は目の前のメリルとアイギスを軽く睨む。メリルは普段エリザベスと一緒にいるのだが、ダンスパーティーで彼氏を見つけたらしく、最近はのろけ話ばかり聞かされている。赤髪が美しいアイギスはシオンという平民の学生と付き合っている。あいにくシオンとヴァイス達は入学初日に喧嘩したと謂うこともあってかあまり交流はないが、彼女の話を聞く限りではそんなに悪い人と云う印象はないと思う。それに男子同士がいがみあっていても、私たち女子には関係が薄いのだ。
二人の視線が私を攻め立てる。うう……どうせばれているのだから嘘をついてもしかたないですよね。変に意地をはっても時間の無駄みたいですし……いつもなら女子会にティアも呼ぶのだが今回は遠慮してもらった。ヴァイスとの距離が近すぎるし、その……彼女は特殊すぎてあまり参考にならない気がしたのだ。今頃ヴァイス達と食堂でランチをしているだろう。
「その……お恥ずかしながら私はあまり男性と絡む経験がなかったもので、こういうときどうすればいいのかわからないんです、教えていただけませんか?」
「いいだろう。話を聞きたいなら密室に閉じ込めて腕の骨でも折ってやれば簡単に吐くぞ。シオンが魔王の力を持っていてそのことに悩んでいるということもそれで知ったしな……あ、これは国家機密でレイドに口止めされているんだった。すまん。ここだけの話にしてくれ」
「え、だめでしょ、なんで力で解決するのよ!!」
「こんな形で国家機密を知りたくなかったです……というよりも私は拷問のやり方を聞いたわけではないんですけど……」
だめだー、アイギスもティア系の女性だったんですね……私はメリルに救いを求めるかのように見詰めてみた。
「古来から決まっているでしょう、色仕掛けでもすれば簡単に吐くわよ。ヴァイス君童貞っぽいし、下着姿でせまれば男なんてイチコロよ」
「何を言ってるんですか!? 私とヴァイスは婚約はおろか付き合ってすらいないんですよ!! そんな破廉恥な事ができるわけないじゃないですか!?」
「冗談に決まっているでしょ、ねえ、アイギス」
「ん? 私は本気だったのだが……実行もしたのだが……」
「……」
「……」
きょとんとしたアイギスに私たちは何も言えなくなった。本当に恋人の腕を折ったのか……私とメリルは顔を見合わせた。この人……ティアより度合いの深い脳筋だ……
「ま、まあ、ヴァイス君の場合自分の事はあまり話さないところがあるものね。そのくせこっちの動きを読むから戦いにくいってリチャードも嘆いてたわ」
「そうだな、レイドも何かを隠し持っている不思議なやつだと言っていたな……合宿の時もドラゴンが潜んでいるのを知っていたかのような行動や、どこから入手しているのか情報網が読めないと言っていた。面白そうなやつだから話してみたいがいつも逃げられると嘆いていたな」
どうやら私だけでなく他の人もヴァイスの事は不思議に思うことがあるらしい。まあそれはそうですよね、パーティーメンバーの私でも彼がどこから情報を手に入れてきているのかわからないのだ。それでも信用できるのは彼がその情報を私たちを助けるためにだけ使うからだろう。現に私も色々助けられたものだ。いつも私が困っているときは助けてくれて彼はまるで英雄譚の英雄のようでした……
「それで秘密主義のヴァイスはどうしたら私に話してくれると思いますか……?」
「だから腕をへし折って……」
「お願いアイギス黙って!! あなたの力になりたいという気持ちを素直に話せばいいと思うわよ。ヴァイス君押しに弱そうだし、デートにでも誘って、密室に誘導して逃げ道をふさぎつつ、涙目であなたの力になりたいって言えばいいと思うわ」
「デートに誘って……密室に誘って……腕を折って……素直になる……」
私は押し黙ってメリルの意見を元に考える。私の素直な気持ちですか……私は彼の力になりたいと思う。以前悩んでたであろう時は途中で邪魔が入って詳しい事を聞けなかったが、今回はそうはさせるわけにはいかない。あの時は私に少し話して気が楽になってくれたようだが、今回は以前よりヴァイスは余裕がなく、苦しそうなのだ。そんな彼を見たくないし力になりたいと思う。なぜか……理由は自分でもわかっている。彼に感じているのが恩だけではないという事もわかっているのだ。素直になれという言葉が私の心に突き刺さる。私は彼に素直になれるだろうか……
「わかりました、二人ともありがとうございます。さっそくおしゃれしてデートに誘ってみます!!」
これは謂わば戦いだ。魔物たちとの戦いとは違う、ヴァイスに心を開いてもらうための戦いなのだ。絶対に失敗するわけには行かない。私は意を決してデートに誘うことにした。
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前回の話に続く感じです。今回から更新は一週間に一度に戻せると思います。よろしくお願いします。
次回からヴァイス視点に戻ります。




