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もう一人の転生者

『よう、イレギュラー久しぶりだな。ちょうど探してたんだ』



 その一言で俺は自分をつかんで飛んでいる正体を知った。ワイバーンの巣にいたドラゴンだ。そしてもう一人の転生者でもある。



『もうちょいで着くから待ってろよ』



 ドラゴンは俺に対してまるで友人に話しかけるかのように親しげに声をかけてきた。こいつは何を考えてやがるんだ? 少し会話して相手の出方を試してみるか……どのみち俺はまだ、退学を命じられるという役割がある以上死ぬことはないだろう。



「背中が痛いんだが何とかしてくれないか」

『んっ、ああ。そうか。悪かったな。人間はもろいもんな』

「うおおおおおおお!?」



 ドラゴンは俺を空中に放り投げやがった。そして曲芸のように俺を背中に乗せる。俺はやつの鱗に必死に捕まった。一歩間違えたら落っこちて死んでたぞ……頭おかしいんじゃねえか……いや、たぶんまだ俺は死なないはずなんだけど……

 それはともかく、ドラゴンの背中に座るのは少し心躍ったのは事実だ。でもこいつ何を考えているかわからないし、どうしたいかわからないんだよな……ドラゴンに乗るっていうファンタジーっぽいイベントに遭遇したのに、いまいち乗り切れないのはこいつの立ち位置がわからないからだろう。



「んっ、お前結構傷ついていないか?」



 背中に乗ることにより、ある程度ドラゴンの体がみえるようになった俺は、やつの鱗に血が滲んていたり、矢が刺さっていることに気づく。



『ああ、ちょっと面倒なやつと戦ってな……冒険者っていうのか。ゲームのキャラのくせして生意気にも俺に攻撃してきやがったんだよ。しかも逃げ足が速くて見逃がしちまった。まあ、魔力もないしあんなの喰う価値もないんだけどな」



 俺の言葉にドラゴンが憎々しげにぼやいた。まて……こいつ今人を喰うっていったのか……その一言で俺は全身に緊張が走った。つまり俺も喰われる可能性があるのか?

 今ある武器は剣と結界を張る指輪、魔法の込められたスクロールが二つだけだ。正面から戦うには心もとなすぎる。かといって今不意打ちをしたところで振り落とされるだけだろう。



『ほら、ついたぞ』



そういってドラゴンは森の奥の少し広まったところに俺を降ろした。まわりには食いかけなのか、オークらしき死体が転がっている。今のところは人は食っていないのかもしれない。てかこのオーク馬鹿でかいな。



『ああ、そいつがこの森の主だったらしいな。こいつを殺したらオーク共悲鳴を上げながら逃げやがったよ。まったく捕まえるのがめんどくさいったりゃありゃしねえ』



 俺の視線に気づいたのかドラゴンはぺらぺらと説明をしてきた。このでかさと会話の内容から言ってこいつがオークの群れのボスだったのだろう。おそらく街の近くにオークが現れたのはこいつが原因でまちがいないだろう。群れが崩壊してオークたちはばらばらに行動しているのだろう。

 


「俺を探していたっていってたが、一体何のようなんだ?」

『そんなにツンツンしないでくれよ、お前は数少ない俺の同胞なんだからさ。お前はこの世界どうやって生きてきたんだ?』



 ドラゴンは親しげに、だけど俺の質問には答えずに問いかけてきた。下手な事をいって刺激して機嫌をそこねてはまずいので、俺は転生してからの大まかな事を話す。ゲームのかませ犬の貴族に転生した事、退学を避けるために色々やっていることなど様々だ。



『お前も不運だなぁ、たいした能力もないんじゃ、せっかくのゲームなのに自由に動けないだろう……ちなみに俺はゲームのラスボス前のサブイベントのボスに転生したんだよ、主人公たちに殺されたかけたがアイテムを落としたらなんとか命だけはたすけてもらえてな……まあ、おかげで傷を治すのに長い時間眠らなきゃいかくなってな。ようやく復活したところだ』



 そういって、ドラゴンはため息をついた。ラスボス前のサブイベントのボスか……だがそのわりには思ったより強くないな……俺ごときでは勝てないだろうが、今の状態ではわからないがゲーム終盤までレベルを上げたシオンやレイドなら今のこいつを倒す事くらい楽勝な気がする。



「力もだいぶ失ってな……今、力を取り戻している最中なんだ。魔力がある魔物とかを喰うと力が戻ってくるんだよ……それで力を取り戻したら、自由にこの世界を冒険してみようと思うんだ。お前も退学になったら俺と来ないか、ゲームのシナリオの束縛から離れた状態ならこの世界を楽しめるし、俺も力を取り戻せばかなり強いぜ」

「そりゃあ魅力的だが、なんで、俺に声をかけるんだ」

『決まっているだろう、お前は俺の数少ない理解者になるんだぜ、お前だってそうだろう? いきなりこんな世界にきて絶望しなかったか?』

「そりゃあ、まあ……」



 こいつの言う事もわかる気がする。俺はハロルドや、ティアと早いうちに仲良くなったおかげでそこまでの絶望はなかったが、もしあいつらが嫌なやつらだったらと思うとぞっとする。そもそも主人公クラスどころかかませ犬の貴族に転生したわけだしな……

 ドラゴンと共に冒険ってのも悪くないかもしれない、万が一退学を回避できなかったら、一緒に退学になるハロルドを誘うのもありだし、ティアやエレナと時々冒険するのも楽しそうだ。特にティアとかドラゴンに乗るなんていったら泣いてよろこぶんじゃないだろうか?



『ああ、それでお前にお願いがあるんだ。力を取り戻すのに魔力が必要なんだがここいらの強い魔物は食い尽してしまってな……今度は人間の貴族を食おうと思うんだ。あいつら魔力だけは無駄にあるからな。ちょうどいいやつがいたら俺にくれないか? そうだな、お前の隣にいた女なんて中々よさそうだったな」

「はっ……?」



 コイツハナニヲイッテイルンダ? 目の前のドラゴンの言っていることが理解できない、いや意味は分かるが脳が理解しようとすることを拒んでいるのだ。



「ああ、女のほうはお前がたっぷり楽しんでからでいいぞ。こんな体だしな、性欲はほとんどないんだ。あきたら言ってくれ、そうしたら喰うからさ」



 俺は致命的な勘違いをしていた事に気づく。こいつは……目の前のドラゴンは……エレナたちを人間扱いしていない。こんなやつと組めるはずがないだろう




二つ作品書いてると主人公のキャラが混じらないようにするの大変ですね。


こちらは週一で更新しますのでよろしくお願いします。



ラブコメも書いているのでお暇な方読んでくださると嬉しいです。


『<連載版>厨二時代の可愛い女友達と高二になって再会したら亡き者にしようとしてきたので付き合うことにした』


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