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リチャードの調査

今回は予定を変えてリチャード視点です。

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 ワイバーンの巣からヴァイス達が馬車に乗って帰宅するのを見届け、私は兄上のワイバーンの巣の調査隊に紛れ込んだ。

 あの黒いドラゴンが巣から旅立ったのを何人か見たようで調査隊の中でも不安が伝染しているようだ。まあ、安心するといい。あの巣にはほとんど魔物はいないのだから



「兄上準備はどうですか?」

「んー、もう少しで出発だ。にしてもあくどいことを思いつくな。ウェルダー商会も可哀そうに……」



 そういって兄上はあきれたように笑った。兄上には今回の話は説明してあるのでワイバーンの巣にはもうほとんど魔物がいないことを知っているのだ。確かにヴァイスはあくどいがまだまだだと思う。本気でつぶそうと思えば私の家の力を使えば潰せるしそのくらいの貸しはあるのだから。



「ワイバーンの巣はどうだった? というよりも黒いドラゴン……本当にいたのか?」



 兄上の表情が先ほどまでの柔らかいものから仕事モードに変わっていく。部下からの報告があったのだろう、やはり例のドラゴンに対して言及してきた。



「ええ、おそらく戦闘力は私が合宿であったドラゴンよりは下でしょう、ただやつは魔法か何かの力で会話をしてきました」

「ドラゴンが会話か……」



 私の言葉に兄上が苦虫をつぶしたような顔をした。この人がこういう顔をするのは珍しい。いつも涼しい顔をして仕事こなしているからだ。

兄上は次期当主としてドラゴンに関して色々な情報を持っているのだ。おそらくわたしがしらないこともたくさんあるのだろう。いつか私にも教えてほしいとは思うがまだそこまでの実力はないということだろう。だが調査隊に混ぜてもらえるようになったのは最近の成果のおかげだろう。ヴァイス達には感謝だ。



「兄上何かこころあたりがあるのでしょうか?」

「うーむ、後で話そう。そろそろ時間だ。ワイバーンの巣に行こう」



 一瞬苦虫をつぶしたような顔をしたのが気になるな。なにやら嫌な予感がする。


 


 調査隊として私と兄上を含めた15人ほどの騎士とウェルダー商会からきた二人が薬草の入った籠をもちながら同行していた。ワイバーンの巣に入るのが初めてな騎士にときおり軽口を織り交ぜながら不安を取り除くようにさせていた。

 途中ワイバーンが2匹ほど襲ってきたが兄上の指揮により無傷で倒した。あまりのあっけなさに商人達が悲しそうな顔をしているがざまぁである。それにしてもさすが兄上といったところか魔法も使えない騎士にも的確な指示を出して活躍させていた。おかげで少し不安そうだった騎士たちの士気もあがったようだ。いつか私も兄上と戦場に出てみたいものだ。



「試練の間は特に異常なしだな。奥へ行くぞ」



 兄上の指示によって調査隊は先へと進む。そこにあるのはさきほどと同様ワイバーンロードを含めた何体ものドラゴンの死体だ。

 相変わらずの死臭である。私たちは転がっている死体を調べることにした。付き添いの商人たちは気分が悪そうにしている。まあ、ドラゴンの死体なんてそうそうみることはできないだろうな。兄上はそれを察したのか何人かの護衛を商人につけて試練の間へと避難させた。気遣いのできる兄上、略してさす兄である。

 思えば兄上は人の気持ちを考える事ができる人だった。私に戦いの才能が無いとわかった時もこの人は優しく文官への道を教えてくれた、結局その道は違えてしまったけれど……今はまだ遠いかもしれないがこの人のようになりたいと思う。



「アレックス様こちらをみてください。ワイバーンのものではない鱗があります!!」



 声を上げた騎士の方へと私たちは駆け寄った。ワイバーンロードと戦って傷ついたのだろうか。あのしゃべるドラゴンのものらしき黒い鱗があった。その鱗に近寄ると私の手にある魔剣グラムが震えた気がした。



「リチャード……ここをなんで私たち龍殺しの騎士が管理することになったか君は知っているかい?」

「街の近くにあるワイバーンの巣だからではないのですか?」



 街に住む子供でも知っている話だ。だが私の答えを兄上は難しい顔で否定した。



「本当はね、この地でファフニールを先祖が討ったんだ。だが最後にファフニールはいつか私は復活するという遺言を言い残したのだ……そしてそれを裏付けるかのようにどこらかともなくワイバーン達が巣を作った。定期的に行われる調査っていうのはね、ワイバーン以外のドラゴンがいないかをみるためなんだよ」



 ではあのワイバーンではなかった黒いドラゴンはなんだったというのだ……まさか……




 黒いドラゴンの鱗を回収して調査は終わった。回収されたドラゴンの鱗は王都へと運ばれ調査されるそうだ。



「今回は残念でしたね。こちらとしても予想外でした……ワイバーンが全滅しているとは……」

「いやいや、異常だということは私たちでもわかりましたよ。あはははは……」



 商人に対して話しかけると元気なく笑った。本来であれば文句を言いたいのだろうが私の家の権力とワイバーンの巣での異常な状態でそんな気力もないようだ。まあ、赤字だろうがその程度で破産するほどウェルダー商会も弱くはない。せっかくなので貸しをつくっておいてやろう。



「これは……」

「ワイバーンロードの死体から取った鱗です。もしよければまとまったものをウェルダー商会さんにおろしたいのですがいかがでしょうか?」

「よいのですか!?」



 商人達は驚いたように声を上げた。ワイバーンロードというよりドラゴンは防具として加工するための素材として人気が高い。特にワイバーンロードはめずらしいのでかなり儲かるだろう。徹底的に敵にして潰すならよいがヴァイスのやり方では恨みを買って孤児院が逆恨みされる可能性もあるので餌をあげることにしたのだ。



「ええ、もちろんです。赤字になるかもしれないのに大量の薬草を仕入れてくださったこと、貴重な人員を二名も危険な場所に約束通り派遣してくださったことを私は感謝しているんです。ですからこちらとの約束もお願いしますね」



 約束という言葉を強調しておく。土産をもってかえれることになった商人たちは安堵の表情を浮かべて馬車へと戻っていった。これで今回の問題は解決するだろう。

 私は溜息をついて考える。黒いドラゴンの事をヴァイス達に相談するかどうかだ、ティアは狩りにいこうとか言いそうだしなによりもヴァイスの様子がドラゴンをみてからおかしかった。それなのに余計な情報を与えてよいだろうか? 私は悩みながらもエレナ達に今回の顛末を報告するために孤児院へと向かった。




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いつも感想くださる方ありがとうございます。感想やブクマくださるとモチベがあがるのでとても嬉しいです。

ちょっと今後の課題としてシリアスなとこには心理描写を多めにしてみようと思い今回は心理描写多めにしてみました。しかしリチャード単品だと会話をギャグっぽくできないのがつらい……

こんな引きにしといてなんですが次回からはティアとハロルドの話です。ラブコメっぽい感じにしようかと思っています。よろしくお願いします。




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