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孤児院の危機

「そこに隠れている人たちもでてきなさい、逃げようとしても無駄です。あなた方が逃げるよりも私の魔法の方が早く捕えますよ」



 ウィンディーネ仮面が俺たちの方に視線を寄越しながら忠告してきた。隠れてるのばれてるのかよ、でも出ていっていいのかな、このままお互いに何もなかったフリをする方がいいと思うんだが。とはいえ魔法で攻撃されたら洒落にならないので、隠れた場所から出ることにした。疚しい事も無いし。



「えーと俺たちは孤児院に不審な感じの者が入って行ったから、此処にきたんだ。不審ではあるだろうけど、怪しいものじゃないぞ」

「そうよ、エレ……じゃなかったウィンディーネ仮面。私たちは怪しくなんてないわ、むしろあなたの方が怪し……」

「ちょっ、ティア、ストップストップ」



 さすがのティアも空気を読んだようだ。今思えばウィンディーネ仮面も俺と同じ15歳だし、奇抜な恰好とかに憧れを抱いたり、持ったりするよな。 ちなみにウィンディーネ仮面は俺たちをみると固まって「ヴァイスとティア……なんでここに」ってつぶやいたりしている。もはやバレバレである。(隠す気無いよね?)



「みんなー無事かい? 外にいた男は警邏の騎士に突き出しおいたよ……え、なんだいこれ? いや、本当になんなんだい?」



ハロルドが俺に目でどうしようと訪ねてきた。俺は小声で「気づかないふりで」と返した。



「あ、あなたたちは悪い人ではないようですね、少し前から不審者がいるという情報を聞いていたので、孤児院を見張っていたんです。悪人は捕えたのであなたたちも安心してお帰りください。本当にお願いしますから帰ってください。あんまり夜更かしすると授業中に寝てジェイス先生に怒られちゃいますよ」

「…ああ、そうだな、帰ろうか、な?……」

「そうね、じゃあ明日学校でね、エレ……」

「ティア空気読んで!! 誰にでも知られたら恥ずかしいことあるんだから!!」



 そうやって俺たちは孤児院から出て行こうとしていると、騒ぎを聞きつけたのか子供たちがやってきてしまった。(なんかすっげえ嫌な予感がするなぁ)



「あ、ヴァイスにエレナねえちゃん、なにやってるのー? このおっさんだれ?」

「ねえねえ、エレナねえちゃんその仮面なんなの。おしゃれってやつ? 貴族のセンスってよくわからないや」

「違います、私はエレナではなくウィンディーネ仮面です、あ、ダメです、仮面をとらないでください!!」



 やっべ、子供に仮面をずらされて涙目のエレナと一瞬目があってしまった。え? なんで俺が殺意で満ちた目で見られるの、おかしくない?



「ねえ、ヴァイス、エレナさんが変になったのあなたのせいでしょ? 何があったのよ」



 リオがなぜか俺を責めるような口調で言ってきた。いやいや、なんでも俺のせいにするなよ、おかしくない? あれは思春期特有の頭の病気だよ。



「とりあえず中で話をきかせてもらっていいか?」




 リオにつれられて俺たちは孤児院で話を聞くことになった。ちなみに火をつけようとした男は縄で縛って捕まえてある。見張りはハロルドとティアに任せて俺はリオについていく。



「エレナさんには話したんですが最近孤児院に不審者が現れてたのよね、それを愚痴ったんだけど……」

「ううう……いっそ殺してください……」

「そうしたらこうなったっていうのか……不審者の心当たりはあるのか?」



部屋の隅っこで落ち込んでいるエレナは一旦置いておいて俺はリオとの話を進める。といってもゲームで経験しているから何がおきてるかも犯人もわかっているんだけどな。



「私たちが薬草を栽培しているの知っているでしょう? それを何回か売っていたんだけどある日ほかの商人に俺たちの商売を邪魔するなって文句を言われたのよね。その商人かしらね……一応商人ギルドには少量だからって許可はもらったんだけどね……」

「なるほど……ギルドの了解は経てるのか。でも、少量とはいえよく商人ギルドが許したな」

「それは私の家の名前を使いました。ちょっとずるいかとは思いましたが…、少量なので大丈夫かと思いまして……」



 エレナが申し訳なさそうに言った。彼女も有力な貴族だからね、それくらい顔は聞くのだろう。ここまではゲームと同じだ。ここから本来なら街の商人や市場の人に話を聞いて犯人を特定するのだが俺は答えを知っているのでそんなことをする必要はない。問題はどう解決するかだ。



「まあ、商人ギルドの許可を得ているって言ってもズルはズルだからな……うらまれても仕方ないかもな」

「じゃあ、どうすればいいのよ、あいつら代わりに俺たちが薬草買うっていったから値段を聞いたらごみみたいな値段をいってきたのよ!! あんなんじゃ栽培費用のが高いわよ」



 俺の言葉にリオが反発をした。よっぽどひどい値段を言われたのだろう。彼女は商人の顔を思い出したのか顔をしかめていた。

 うーん、どうしよう。ゲームでは王子であるレイドの権限で孤児院の薬草は問題の商人が納めていない王国の騎士団に納めるって事で解決したんだが……そんな権限俺にはないしな。魔物のようにぶったおせば終わりではないのが厄介だ。とりあえずハロルドにも相談してみるか。




 俺とエレナは捕らえた男のほうへ向かった。詳しい情報を聞くためである。



「相手は孤児院を襲ったやつだけど襲い掛かるなよ、エレナ……じゃなかったウィンディーネ仮面」

「ヴァイス、いじわるしないでください!!」


 頬を赤く染めたエレナが俺を睨みつけてくる。怒った顔もかわいいな。



「でも簡単に口を割りますかね……お金をもらっているでしょうし……」

「それにはいい考えがある。本で読んだんだが囚人のジレンマってしっているか?」

「いえ……初耳ですね」



 この世界では違う言い方なのかもしれないな。俺はエレナに説明をする。共犯の2人を捕らえて別々に尋問をし、ともに黙秘を通せば両者ともに刑は軽く、もし一方が共犯証言をし、他方が黙秘を続ければ、共犯証言をしたほうは釈放され、黙秘を続けたほうは重い刑を受けるというやつだ。今回今捕らえている男は見張りの男が警邏に捕まっているということを知らない。それの応用で精神的に追い詰めてやればいい。どうしても口を割らなかったらお前の仲間は口を割ったぞと犯人の名前をいってやればいい。あとは雇い主のほうに返してやり交渉をこちらのほうが有利にすすむ材料にすればいい。



「だから指を一本ずつ折ればいいっていってんのよ、そのうち吐くでしょ」

「おいぃぃぃぃ、この女目がマジだ。あんちゃん止めてくれよ、しゃべるしゃべるから!!」

「なんで君はそう暴力的なんだよ!! 君の脳みそはゴブリン並みなのか!! 貴族の令嬢らしくしなよ」

「なにいってんの、今の私は冒険者よ!!」



 騒がしい声が孤児院の庭に響いた。あれ、これもうなんか解決しそうじゃない? チンピラもうちょいがんばれよ。お前かねもらってんだろ?



「犯人はウェルダー商会だ。俺はそいつらに雇われたんだよ。お願いだからを指にぎらないでくれぇぇぇぇ」

「フッ、甘いわね。虚偽の情報で私をだまそうなんてまだまだよ。エミレーリオの冒険譚でこういうシーンがあったわ」

「ヴァイスよかった、僕だけじゃとめられないんだ。手伝ってくれぇぇぇぇ。確かにこの人悪い事したけどそんなことしたら僕らのほうも捕まっちゃうよぉぉぉ」



 ティアとハロルドが飴と鞭ってやつになったのか、あっさりと白状しやがった。ちなみに黒幕の正体はあっている。俺達は必死になってティアを止めた。多分冒険者っぽいシーンで興奮しちゃったんだろうな……なんか冒険者狂いといい正義の味方狂いといいトチ狂った女性しかまわりにいないな……



「なんで俺の周りにはやべえ女子しかいないんだ……」

「なんかいいましたか」



 思ったことが口に出ていたのかエレナにすっごい睨まれた。やべえ、話かえなきゃ



「とりあえず解放してやるから、ウェルダー商会に伝えてくれ。今度話をつけにいくってな」



 泣きながらお礼をいってチンピラは帰って言った。よっぽどこわかったんだろうなぁ。あとは考えていることをハロルドと相談してどう話を持っていくか決めよう。



「ヴァイスもしかして何か解決策が浮かんだんですか?」

「ああ、まあ成功するかはわからないけどな。悪いようにはならないと思うぜ」

「ヴァイスがそういうなら安心ですね……やはり頼りになりますね」



 エレナが申し訳なさそうな顔をした後にうれしそうな笑顔を浮かべた。最後の方はよく聞き取れなかったがなんといったろのだろう、しかしかわいい。守りたいこの笑顔ってやつだな。


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次でエレナ編終わる予定です。おかしい……ラブコメっぽくしたかったのに全然ならない…


ブックマークや感想、評価いただけると本当にうれしいですしモチベがあがるので面白いなって思ったらしてくださるとうれしいです。








 












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