エリザベスとリチャード2
兄上に言われ部屋を出た私たちは私の部屋で色々話すことにした、エリザベスが何やらシリアスな雰囲気なので使用人たちには出て行ってもらう。その旨を伝えたところニヤッと「がんばってください」とかいわれたが絶対勘違いされた気がする。
「あなたが騎士になりたいというのはわかりましたわ」
「ああ、私は最強の騎士になってみせるぞ!! みていてくれエリザベスよ」
「いや、それは無理でしょうね、あなた弱いし」
一瞬で全否定されてしまった。ツンツンしたエリザベス可愛いな、さすエリである。そして私は弱いし才能がないのはわかっているが努力をやめるつもりはない。
「あなたが騎士になりたがるのはやはりあの時の出来事がきっかけなのでしょうけど、私たちも子供だったし仕方なかったのですわ。私はあの出来事であなたを嫌ったりなんてしてませんわよ」
エリザベスは可愛らしい顔を少し歪めながら呻くように私にいった。苦しんでいる彼女も可愛いが私は彼女にこんな顔をさせるために騎士を目指したわけではないのだ。己の行動が彼女を苦しめてしまったのだろうか……
「それは違うぞ、エリザベス。確かにきっかけはゴブリンに襲われたことだった。だが騎士を目指し努力していくうちに思ったのだ。文官として国を守るのも大事だが、私はこの手で大切な人たちを守りたいのだと。ゆえに私は騎士を目指す」
私はきっぱりと断言した。己の行動に彼女が自責の念を感じていたのならそれを完全に否定することによって彼女の負担が少しでも軽くなるのでは思ったからだ。もちろん自分の意志でもある。
「でもあなたは弱い、騎士を目指したことを後悔するかもしれないですわ」
「そうだな、だがやらないで後悔するよりはマシだ」
「でもあなたは弱い、騎士になれても挫折するかもしれないですわ」
「そうだな、だが前線で戦うだけが騎士ではない。指揮や戦術を考えるのはそこそこ才能あるようだ」
「でもあなたは弱い、戦場で強敵にあい死んでしまうかもしれないわ」
「そうだな、だが……」
「だから私があなたについていってあげますわ、守るものがいたほうがあなたもやる気でるでしょうし、私はあなたより強いから守ってあげますわ」
そう言って照れ笑いを浮かべた彼女の顔はとても可愛らしいものだった。そして久々に彼女の笑顔をみたことに気づく。ああ、彼女はどれだけ私の事を思ってくれていたのだろう。なぜ私は彼女にもっと早く己の心を打ち明けなかったのだろうか……
「あと、危険なことがあるときは事前に相談しなさい。今度私に内緒で危ないことをしたら許しませんわよ」
「ああ、もちろんだ。これからも頼む、エリザベス」
「ええ、もちろんですわ、私はあなたの婚約者ですもの。これからもよろしくですわ」
私たちは互いに笑い握手をした。そろそろ部屋を出ることにしよう。兄上の話も終わっているだろうしな。扉をあけようとするとなにやら重いものが置いてあるかのような抵抗があり、「やっべえ」と聞こえたきがした。強引に扉を開けるとヴァイス達三人が気まずそうに立っていた。
「いやー、なんか使用人さんたちが今はいい感じだからまだ入らないほうがいいっていわれたから扉の前でまってたんだよ」
「そうなの、決して扉の前で聞き耳を立てていたわけではないわ」
「なんで君はそういうことをいっちゃうんだい、本当にゴブリン並みの頭じゃ、痛い痛い、僕の頭がスライムのようになるぅぅぅぅ」
「どこから聞いてたんですの……?」
言い訳をする三人にリンゴの様に顔を真っ赤にしたエリザベスが恨めしそうににらみつけた。怒ってるエリザベスも可愛いなぁ。
「いや、全然聞こえなかったって『だから私があなたについていってあげますわ、守るものがいたほうがあなたもやる気でるでしょうし、私はあなたより強いから守ってあげますわ』とかいっててこいつツンデレかよ、リア充死ねとか思ってないって」
「-------!!!!!」
ヴァイスの言葉にエリザベスが言葉にならない悲鳴を上げた。と同時に彼女に手に風の刃が発生するのがみえた。
「え、待てって。人の家で魔法はまずいだろ? 洒落にならねえ、おいリチャード笑ってないでお前の婚約者何とかしろよ!!」
婚約者という言葉に反応したのかエリザベスの顔がさらに紅潮し魔法が解き放たれた。まあ、うちには専属のヒーラーがいるし大丈夫だろう。
私は気持ちを新たに騎士を目指すことにするのであった。
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これでリチャードの話は終わりです。次はエレナの話を進めます。本来一話でまとめるはなしだったので今日更新分は長さが両方とも短くなってしまいましたね




