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23.孤児院からの依頼

「我がライバルよ! どこに行くのだ? エリザベスをデートに誘ったら振られて悲しいので私も連れて行ってほしい」

「なんでだよ、お前は自分のパーティーのやつらがいるだろ……そいつらとつるめよ……」


 この前の一件以来なにかとリチャードに絡まれるな。そうとう気に入られたらしい。どうせ気に入られるなら男より女の子がよかったな……


「なに特訓をさぼろうしてるのです、ヴァイスも次の模擬戦覚えているといいですわ」

「いやだぁぁ、休日くらいは遊びたい!!」


 リチャードは悲鳴を上げながらエリザベスに連れていかれた。なんだかんだ仲良しだな。それよりもエリザベスは幼児体型である。そしてリチャードはロリコンである。なんか嫌な事が思い浮かんだが気にしないようにしよう。


「最近リチャードと仲いいねぇ」

「いや、仲いいっていうか一方的につきまとわれているっていうか……」

「ふーん、まあいいさ、ヴァイスの親友は僕なんだから忘れないでくれよ。さあ、ティアたちもまってるだろうし早く出よう」


 なんかハロルド機嫌悪いな。まあ、街にいけば気分転換なるだろう。



「お菓子はまだまだありますからね」


 孤児院についたエレナがお土産のお菓子を配っていた。行儀よくとはいかなく何回ももらおうとしている子供をティアが力ずくで押さえつけていた。ハロルドはめんどくさそうにしていた割に面倒見がよく、子供たちに魔法をみせて喜ばせていた。


「何回もとろうとしないの!! 腕へし折るわよ」

「ふふ、貴族はすごいだろう? 君たちも将来は僕ら貴族の手となり足となるんだよ」

「その……この前はありがとうね、今回も手ぶらでいいのに……」

「気にすんなってリオ、それにお礼はエレナにいってあげてくれ。俺はついてきただけだしな」


 みんなが子供と戯れるほほえましい? 光景をみているとスリの少女が声をかけてきた。名前はリオというそうだ。黒髪ショートのりりしい女の子である。先ほどまで土をいじっていたのか、服や手が土まみれである。


「ああ、これね。食費を浮かすために畑に野菜を植えてるの。本当はお金になるし薬草とかも植えたいんだけどね……」

「なるほどな」


 俺の視線に気づいたリオが説明してくれた。まあ、孤児院だから裕福ではないだろうしな。しかし薬草か……市場に出回っている薬草の多くは加工されてしまっているため苗としては使えない。苗として利用したいなら山や森に自生しているものをとってくるか、薬草農家から買い付けるのがベストである。だが都市の外は危険だし、苗を買うお金もなかなかたまらないのだろう。


「薬草も一応冒険者ギルドにも依頼はしているんだけどね……」

「あー、最低額だからだれも行ってくれないんだな……」


俺の言葉にリオは無言でうなずいた。冒険者ギルドの依頼は身分がしっかりしたものならば基本的に誰でも依頼することができる。普通報酬は危険度や緊急性をギルドの職員と話し合いきめるものなのだが中には最低金額で依頼する人間もいる。そういった依頼は正規の金額が払えないがどうしてもお願いしたい場合に発生するのだ。むろん大抵スルーされるが人の好い冒険者などが受けてくれる場合もある。ボランティアのようなものだ。俺たちが昔薬草をとりに行った時もあの少女がもう少しお金を持っていたらギルドに依頼がはりだされていたかもしれない。


「まあ、気長にまつわ。今日はみんなありがとうね。今度はママがいるときにきてくれたらうれしい。ママもお礼を言いたがってたし」


 ちょっと悲しそうなリオをエレナがみつめているのに気づいて俺は嫌な予感がした。あーこれイベント発生するわ。



 孤児院を後にした俺たちは冒険者ギルドで依頼をみることにした。隠しショップものぞきたかったが今はお金がないのであきらめた。こういうときにかぎっていいものが入るんだよなぁ……


「どんな依頼を受けようかしら? やっぱり最初はゴブリン退治とかがいいかな」

「そうだねぇ、ティアならその腕っぷしからホブゴブリンと間違えられて万が一つかまってもいい待遇してもらえると思うよ……ああ、うそです。ティア様はエルフのようにうつくしいですぅぅぅ、だから足をふみつけないでぇぇぇぇ」


 冒険者たちであふれかえるギルドでティアとハロルドが楽しそうに依頼書をみながら話していた。依頼書は壁に張り出されており、依頼内容と金額、依頼主などの情報が書かれているのだ。俺たちのような初心者にはゴブリンなど弱い魔物がでる所への護衛、薬草とりくらいだろう。


「ですから初心者にオークは無理ですって!!」

「心配は無用だぞ、女。このレイド様がいるのだ。オーク程度瞬殺だ」

「すいません、この人頭おかしいんです。ゴブリン退治にします、ゴブリン倒させてください!!」


 受付のほうが騒がしいと思ったらシオンとレイドがいやがる。なにやら受付嬢ともめているようだ。まあ、ゲームでもお金稼ぎで依頼を受けていたからおかしくはない。ちなみにオークはなかなか強力な魔物なので初心者はまず依頼を受注できない。最近森で目撃情報があったらしく退治の依頼が出ているようだ。まあ、あの二人なら倒しそうだが……それより問題はこちらである。


「なにを悩んでるんだ、エレナ」

「さっきリオちゃんが言ってたのってこれですよね」


 さっきから一つの依頼書の前で何やら考え込んでいるエレナに声をかけた。依頼書をみてみると依頼内容は薬草採取とある。金額は最低額で依頼主はリオのいる孤児院だ。依頼を受ける人がいないのか依頼書は少し汚れてしまっていた。依頼金が最低なのと薬草採取という緊急性が少ない依頼なので放置されてつづけているのだろう。


「ねえ、ヴァイス……」

「そうだな、リオ達のためにうけてやるか」


 俺の返事が予想外だったのかエレナは信じられないといった表情で俺をみた。驚いた顔もかわいいな。残念ながら俺が彼女の意見に同意したのは善意ではない。彼女の表情をみていたら一人でも薬草をとりにいってしまいそうな気がしたからだ。パーティーの仲間を失うわけにはいかないし、信頼させていたほうが今後言うことを聞いてくれるかもしれないという打算である。どうせ止められないしな。


「おーい、ハロルド!! この依頼うけてくれないか?」

「うん、どんな依頼だい? んっ、ずいぶん安いな……なるほどねぇ」


 依頼書をみたハロルドは一瞬で状況を察したようだ。頭いいんだよな、普段バカばっかりしてるけど。


「エレナ……あんまり孤児院の人たちに肩入れしないほうがいいと思うなぁ、僕らが助けても結局一時しのぎにならないんだよ」

「そうかもしれません……でも……」

「わかってるならいいさ、平民に施すのが僕ら貴族の義務だからねぇ。ティア、僕はこの依頼受けるから君もこっちの薬草採取の依頼うけてくれないかなぁ、同じ森に生息しているから一緒に済ませよう」

「えー、モンスター狩りたいのに……」

「大丈夫だよ、鏡をみてみるといい、ちょっとおしゃれな服を着たオークが君の目の前いるよ、まって、剣でたたくのは洒落にならなぃぃぃぃ」


 ハロルドはエレナの表情をみて何か感じたのかあまり深くつっこまなかった。エレナは申し訳なさとうれしさが混合したような不思議な表情をしていた。


「みなさん、ありがとうございます。」

「気にするなって、俺たちは仲間だろ」


 そう、エレナの力は俺たちが成績上位をキープするのに必要だし、彼女の正義感は止められないならばこちらである程度制御できるように恩を売っておいたほうがいいと思ったのだ。決してタイプだからというわけではない。


「ついでに森でなんか強い魔物に遭遇するといいわね」

「あの森にいるのはせいぜいゴブリンぐらいだから大丈夫だとおもうなぁ」

「お前ら頼むから変なフラグ立てないでくれない?」

「フラグってなんです?」


 多少不安をおぼえながらも俺たちは森へとむかうのであった。




 












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PV10000とブックマーク40になりました。すごい嬉しいしモチベーションがあがりますね。ありがとうございます。

感想などもいただけると嬉しいです。次回はエレナの過去に少し触れてる予定です。
















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