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15.かませ貴族2 VS 主人公

「おっ、次は剣の勝負か、引き続き私がみよう、寸止めで実際当てたら反則負けとする」


 にらみ合う俺たちに声をかけてきたのは満面の笑みを浮かべたレイドだった。こいつ完全に楽しんでやがるな。


 腰にさしてある訓練用の剣を俺は構えた。これはさきほど魔法学園の入学式で支給されたもので今はじめて使うのだが俺にとっては慣れ親しんだ長さに重さだ。それもそのはず、俺は父に頼み魔法学園と同じものを取り寄せてもらったのだ。


シオンは初めて使うはずなので多少は有利になるはず。それでもシオンの強さはティアと互角かそれ以上なのでまともにやったら勝てないだろう。


「では先ほどと同様に合図のコイントスだ」


 俺は全精神を集中してシオンの動きをみる。コインが落ちるのが遅く感じたのは気のせいか。コインの落ちる音と同時にシオンが動いた。予想以上に早く俺の目では追うのが限界であろう。だがそれでいい。


「なっ!!」


 俺は予想通りの場所に打ち込まれた剣をかろうじで受け流す。シオンが驚愕の声をあげるが驚愕するのはこちらのほうである。攻撃が速くてかつ重すぎだろ。ちなみに剣が来る場所がわかった理由はゲームでシオンが俺のキャラに剣を打ち込むCGがあったからである。ちなみに俺のキャラの顔がうつったCGはこのシーンだけなうえに顔はのっぺらぼうみたいなものだった。まあ、モブキャラだしね。


「くらえぇ!!」


 受け流した剣をやつの頭に向けて剣を振り下ろし寸止めをした。勝利を確信した俺だったが首に違和感を感じた。いつのまにかシオンの剣が寸止めされていた。嘘だろ。受け流しが甘かったとでもいうのかよ。


「引き分けだな……まさかあの体勢から持ち直すとはな」

「こいつ魔法も剣もやるわね……」


 ティアが半分呆れて呻くが俺が聞きたいものだ。大抵の人間は魔法か剣どちらかにが優れているか中途半端になるものだ。俺たちもハロルドは魔法、ティアが剣術、俺は中途半端となっている。いや俺もどっちかに才能があれば片方に力入れたいんだけどね。シオンのは主人公補正ってやつだろう。大抵のゲームの主人公も両方得意だしなぁ……


 しかし引き分けか……ゲームでもこの展開はあった。操作を失敗すると引き分けになるが勝った時と同様にゲームが進むのだ。要は俺の人生はゲームの展開と同じようにすすんでしまっている。


「安心しなさい、二人の仇は私がうつわ。」


 未来を変えられなかった俺をみて、引き分けでへこんでいるのと勘違いしたのかティアが笑顔で元気づけてくれた。


「今度はあなたですか? 僕はかまいませんよ」

「おお、元気だな。三連戦になるが大丈夫か、平民よ」

「ご心配なく、あと僕の名前は平民ではなくシオンです」

「覚えておこう、私の名前はレイドだ。気軽にレイド様と呼んでいいぞ」


 俺たち相手に戦い続けるシオンに興味を持ったレイドが彼の体調を気遣う。これがきっかけでこの二人は仲良くなるんだよなぁ。ちなみに俺とハロルドはこれがきっかけで退学になる未来がまつのだ。不公平過ぎない? そういえばティアはどうなるんだろう?


「ずいぶん余裕ね。私はティア。ちなみに三人の中で一番強いわよ」

「ふむ、ティアか……たしか貴様は軍神オーキスのところの娘だな、虫も殺せぬ箱入り娘ときいていたがとんだじゃじゃうまのようだな」

「じゃじゃうま娘……その構え貴族にしてはなかなかやりますね……」

「じゃじゃうま、じゃじゃうまうっさいわよ!!」


 ため口聞いているけどレイドは王子だからな……てかティアって結構有名人なんだな。いやティアというよりもオーキス様が有名なのか。


「では再び私が仕切らせて……」

「貴様らなにをやっている!!」


 ティアとシオンの勝負が始まろうというタイミングで何者かの怒声が鳴り響く。声の主はおそらく教師であろう壮年の男だ。


「やっべ、ジェイス先生だ。」

「巻き込まれる前に逃げるぞ」


 騒動を見物していた連中が脱兎のように逃げ出していった。そりゃあ入学初日に説教はくらいたくないよな。俺も逃げ出したかったがティアと隅で体を休めているハロルドを置いていくわけにはいかないだろう。


「ふっ、任せておけ。平民にじゃじゃうま娘よ。このレイド様がこの場をおさめてやろう」

「この人はなんでこんなに偉そうなんでしょう……これだから貴族は……」

「こいつだけよ……いっしょにしないで」


 いや偉いからね。この人王子だからね。尊大な態度のままレイドは壮年の男に話しかける。


「入学早々騒動をおこしてしまい申し訳ない。ここは私の顔に免じて許してもらえないだろうか」

「うるせえ、クソガキ。ここじゃてめえの顔に価値なんてねえよ。説教してやるからさっさとついてこい」

「なっ、わたしはレイドだぞ。知らないのか?」

「うるせえって言ってんだろうが、王子だろうが関係ねえよ、ここじゃただの生徒だ。」


 壮年の男に首をつかまれ引っ張られていくレイド。いや王子だよな、こいつ。この先生大丈夫なの?出世コースから外れたりしない?


「え……王子ですって?」

「王族……?」

「君たち名前くらいは聞いたことないのかい? 第三王子レイド……入学したら僕がまっさきに媚を売ろうとした人物だ……」


 ふらついた体を離れていたところで休んでいたハロルドは復活したらしく、俺にそっと耳打ちをした。ああ、知っているとも。多分俺たちの中で誰よりも詳しいよ。ゲームのメインキャラだからな。


「痛い痛い、貴様らぼーっとしてないでたすけてくれぇぇぇぇ」

「いいからさっさとこい。反省文だ。おまえら四人もついてこい。顔覚えたからにげても無駄だぞ」


 結局俺たちはこの後たっぷり説教をされた上に反省文をかかされてしまった。壮年の男がやたらと俺をみていたのは気のせいだろうか?


 結局解放されたのは夕方だった。俺とハロルドは学生寮へと帰宅しすぐにベットに横になる。魔法学校は王都にあるため地方貴族は寮生活をすることになる。基本二人一部屋であり申請する際に指名をすればよっぽどのことがない限り指名した人物と同室になるのだ。俺は違うが、貴族には舎弟と親分みたいな感じでつるんでる連中もいるしな。


 もちろん俺はハロルドと同室申請をして認められたのだ。ティアも寮生活なのだが彼女の同室の人物はまだわからない。うまくやっているといいんだけど。

「くっそ、レイド様の目の前で負けるなんて……やらかしてしまったね……」

「それより今度からシオンに絡むなよ……それと俺の言うことちゃんと聞いてくれよな……」


 そうだ……結局ゲームのとおりになってしまったので憂鬱である。このままゲームの通り退学ルートなのだろうか? 俺が暗い未来を思い描いて頭をかかえていると机に手紙があるのに気づいた。ヴァイスへって書いてあるけど俺宛じゃねーか。


 ラブレターじゃないよな。俺は軽い気持ちで手紙を開く。


「なんだと……」


 俺は手紙を読んで絶句した。なんで入学当日から色々問題がおきるんだ……




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ようやく導入部分が終わりました。これから本格的に学園生活がはじまります。よろしくおねがいします


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 内容が薄いかなと [一言] アウトな人生を回避しようってのにやってる事が薄い。 必死さが見えない、ゲームって言ってる時点で他人感覚しか見えん。
2020/02/08 10:54 通りすがり
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