14.かませ貴族1 VS 主人公
「そこまでいうからには僕の相手をしてもらおうかねぇ。平民ごときが貴族に勝てると思わないほうがいいよ」
俺がとめる間もなくハロルドが前へ出てしまった。くっそどうすりゃいいんだ。
「いいですよ、相手をしましょう。少しは骨のある貴族もいるんですね」
「ふふ、平民の君にハンデをあげよう。僕の魔法は先ほどの彼と同じ氷だよ」
さりげなく嘘をついてやがるな、ハロルド……ちなみに魔法の属性は基本は4種類俺が得意な火にハロルドが得意な風、ティアが得意な土、さっきの名もしらない貴族がつかっていた氷である。基本というのは一部の例外があるからだ。ちなみにシオンは魔王の力が覚醒すると闇の力もつかえるようになる。本当にずるくない? 相性もあって火は風に弱く、風は土に弱く、土は氷に弱く、氷は火に弱い
「では私が審判をしよう!! 合図と同時にスタートだ」
さっきまで遠巻きにいたレイドが場を仕切る。やばいゲームと同じように進んでいる……ゲームだとこの後ハロルドが負けそれに怒った俺が剣の勝負を挑み負けるか引き分けになるかして、最後にティアが戦っている最中に先生が止めに入り終了といったかんじだったはず…… いや、最悪俺が勝負受けなけりゃいいんじゃん。
「ではこのコインが落ちたら開始だ」
レイドがコインを放り投げると同時に二人は魔法の準備に入る。もちろんハロルドは風魔法である。それに対してシオンは土だ。
「やはりあなたたち貴族は卑怯ですね」
「ちっ、後出しで僕の魔法より早いだと?」
ハロルドは悔しそうに顔をゆがめた。ハロルドが風魔法を使うのに気づき、シオンは属性を変えたのだ。ハロルドの風の刃をシオンの土の塊が受け止め、そのままハロルドに向かう。とっさにかわしたハロルドだったが姿勢を崩したところをシオンが追加で放った小さい土の塊が彼の頭を直撃した。
「決着ありだな。平民の勝利だ!!」
レイドのシオンの勝利宣言に周りからブーイングが巻き起こる。まあ、あんだけ貴族を馬鹿にしていたらアウェーにもなるよな。
「ハロルド大丈夫か?」
「頭打ってたけど平気?」
俺とティアは頭を抱えてうずくまっているハロルドに声をかける。
「すまない……みんなで鍛錬していたのに負けるなんて……」
「仕方ないわよ……相手は多属性使用者ですもの。相手が悪かったのよ」
「そうそう、けがも気になるし早く医務室行こうぜ」
これ以上厄介ごとに巻き込まれたくない俺はハロルドの肩を体を抱え一刻も早くこの場を離れようとした。ティアも心配なのだろう反対側を抱えてくれた。よしこのまま脱出しよう。
「なんだよ、あいつ……口だけじゃねーか」
「なんですって?」
最初にシオンに絡んで叩きのめされていた金髪の少年の吐き捨てた言葉にティアが反応しつかみかかった。危ない、ハロルドが落ちる。俺はとっさにささえる。
「なんだよ、かっこよく出てきてブラフもかましたのにあっさり負けたんだ。雑魚じゃないか」
「よし、その喧嘩買ったわ!!」
「なっ、なんだよ、文句あるならお前らがあの平民を倒してみろよ」
「そうだそうだ、貴族の恥さらしめ」
「どこの出身だ? 平民にまけるなんてどうせ地方貴族だろう」
「私の友達を馬鹿にしたやつら順番に並びなさい。ぶっ潰すわ!!」
「落ち着けよ、ティア。そんなやつらほっとけって」
金髪の少年につられほかの貴族たちも野次を飛ばし始めた。じゃあお前らもやってみろよ。こいつら自分じゃシオンと戦おうとしないのにうるせえな。
野次を飛ばしている貴族たちに今にも殴り掛かりそうなティアを俺は必死に制止する。確かにむかつくが文句を言うだけで自分ではシオンに挑もうとしないやつらなんて相手にする必要はないだろう。
「僕はかまいませんよ。どうせ大した努力もしないで、もって生まれた環境に甘えているだけのあなたたち貴族に負けるはずがない」
シオンが追い打ちをかけるように煽ってきた。こいつ貴族の事嫌いすぎじゃない?
しかし大した努力もしていないか……こいつは俺に言われてだけど何年も一緒に鍛錬してきたんだぜ……もってうまれた環境に甘えるか……こいつは長男じゃないから将来の保証はないんだ。だから環境に甘えることなんてできないんだよ……
俺は平民の生活をこの前の旅行でしか知らない。だからこの世界の平民が伝聞でしかどう暮らしているかは知らない。それと同様にシオンも貴族の生活を知らないから一般的な貴族像で語っているのだろう。現に負けたハロルドに野次をとばしている貴族の中にはそういう生活を送っているやつもいるだろう。だから間違っているわけではない。
「でもさ……ハロルドは違うんだよ」
ハロルドはなんだかんだ頑張るし、いいやつなんだよ。お前は知らないかもだけどさっきの魔法だってお前がケガしないように手加減してたんだぜ。それで負けてるから馬鹿だけどさ。
ああくそ!! 理性ではやめろといっているのに感情が制御できない。
「なあ、平民……お前が魔法すごいのはわかったけどさ。剣は使えるのか?」
「もちろん、剣だって使えますよ」
知ってるさ。お前は近所のおじさんに剣術習ってたもんな。実はそのおじさんの正体はこの国でかつて剣聖ってよばれてたすごい人なんだぜ。そんなすごい人に習っていたからか、元々才能があったからかシオンは剣も無茶苦茶強い。
「じゃあ、剣で勝負だ。こいつは俺の親友なんだ。俺が勝ったら馬鹿にしてすいませんって謝ってもらおうか」
「ヴァイス、あんた本気なの? さっきいってた平民ってこいつよね? かかわらないって……」
「大丈夫だ、勝てばいいんだよ」
ああ、本気だとも。それに、ゲームと同じ筋書きに行かないためにはシオンに勝てばいいんだ。俺はやつがどう攻撃してくるかわかるし、この日のために鍛錬だってしてきた。第一親友が馬鹿にされて黙っていられるかよ。
「かまいませんよ。あなたたち貴族の力をみせてください」
シオンが不敵な笑みを浮かべた。俺は覚悟を決める。
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一回でまとめるつもりがまとまりませんでした。




