サイド 朝倉康平 2
AM11:30 日野市内某マンション前入口。
朝倉は困っていた。
由良から話を聞いた後、
先ずは宮岸佐紀のマンションに手がかりがないか、
確認のため入口まで来たものの、
女性専用マンションであり、
自分は警察官ではあるが、理由もなく、
捜索願いも令状もなく、入るのは躊躇われた。
(うーん、まいったなー。
由良ちゃんを連れて……来るわけには行かなかったし?
んーどうしたものか…)
考えあぐねていると、背後から声をかけられた。
「おい、にいちゃんなにしとる?
そのマンションは女専用、
おまわりがわけもなく来るとは思えねぇが?
なあ朝倉刑事殿?」
強面でやけに威圧感のある男。
風体も怪しいがなにより気になるのは、
何故自分が警察官だと思ったのか?
朝倉は警戒を隠しもせず、彼に問いかける。
「そういう貴方は何者ですかー?
僕、警察官に見えますー?よく見えないって言われるんだけどなー?」
「まぁ警戒しなさんな。つっても、
土台無理な話か。俺は片桐。
記者だ。」
「うっわー!信用出来ない台詞きたー!」
そう言いつつも、差し出された名刺を受け取ると、
距離を保ちつつ、相手を伺う。
みたところ、武器などを持っている雰囲気はない。
「ま、身元については後で詳しく。
んで?片桐さんは何用でこのマンションへ?
少なくとも、僕を知ってて、
その上、僕がわけもなくここに来るわけがないと、
確信してるって事は貴方もわけもなく、
ここに来たわけじゃないですよねー!」
「もちろん。わけならあるぜ。
……ここじゃなんだ。場所でも変え
「うぁああああ!!」
…!?」
話の途中、唐突に響いた叫び声。
「マンションから!?」
「ボサッとしてんな!行くぞ!!」
「ちょっと!何様!?」
入口の扉を強引に開けて中に入る片桐を追い、
朝倉も中に入る。
走りながら、朝倉は感じていた。
ー嫌な予感がする!