サイド 片桐十汰 1
AM10:30 日野市内、某社記者クラブ。
「あの・・片桐先輩!顔が、めっさ怖いです!!」
どこかからかいを含む後輩からの嘆きに、
片桐十汰は記事を読む手をとめ、
眉間のシワをより濃くさせ、目線だけを
発言者であり、わざとらしく顔に手をやる彼女、
浦西とわの方に向ける。
「・・てめぇ、ウチが抜くはずだったもんをどこぞに持ってかれて、
よくそんなめでてぇツラができやがるな?」
「それほどでも・・ってヒドくないですか!?
他所に先越されたのが気にくわないからって当たらないでもらえます!?
っていうか、それを全面に押し出さないでもらえます!?」
ギャーギャーと喚く彼女に、溜息だけ吐くと、記事をたたみ、
浦西に投げる。
「ちょっ!先輩!?」
「いいかぁ浦西?『蛇喰華』の件は、
俺のツテで手に入れた丸秘情報だ。
それも、イキのいいのをあつらえた独占、
それがこの有様。・・・こいつぁ裏がある。」
「裏って・・単に先輩より先に、
情報を仕入れた人がいたってだけじゃないですか?」
小首をかしげる浦西に顔近づけ、断言する。
「それだけは絶対にねぇよ。この画像を最初にみちまったのは、
この俺なんだからよ・・」