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出張パティシエの冒険譚  作者: 焼き鳥
3/4

カウンターにて

 

「お、シオ坊っ お疲れさんって……なんだ、その嬢ちゃんは」

 クエストハウス兼酒場『ノルジカウンター』の店主、ガルドはシオンが抱えてきた少女を見るなりそう問いかけた。シオンは足で椅子を並べ、そこに少女を寝かせながらガルドへと向き直る。

「シオ坊はやめろって昔から言ってるだろ、おっちゃん。ーーダンジョンで拾ったんだ、多分どこかの親バカとはぐれたんだろ」

 話しながらシオンはバックパックをカウンターへと降ろし、そこから先ほど採取した樹液入りの瓶をガルドへと手渡す。そして上着を脱げば横になる少女へと優しくかけた。

「ほーん、どこの馬鹿親の仕業かね……。 ん、ふむ、いいね、合格だ」

 ガルドは樹液を様々な角度から眺めれば、満足げに頷いた。シオンはそれを見てほっとしたように椅子に座った。

「たくっ、夕暮れ時に採取の依頼なんてしないでくれよな。商店がすぐ近くにあるんだからそこで買ってくれよ」

「バーカ、あんな能力使いが適当に採ってきたやつなんか使えるかよ。これでもシオ坊の腕を見込んで頼んでんだからな」

 ニカッと暑苦しい笑顔を浮かべながら、ガルドはシオンへと硬貨を手渡す。その笑顔に苦笑を浮かべながら硬貨を受け取ると、ポケットの中へとしまい込んだ。

「はっ、ありがとな。 っと、でさ他のクエストハウスとかから女の子の保護依頼とか出てない? 出てたらそこまで届けてくるからさ」

「いや……、女の子の保護依頼は出てねーな。1番最近のでも『雨の里』から男の子の保護依頼が出てるくらいで、それも解決してる」

 シオンの問いかけにガルドは依頼台帳を捲るが、それらしい情報は出ていないことを告げた。

「ふーん、そっか。 とりあえずここにいるってメモを残しておいたから朝までここにいてもいいか?」

「おう、構わねえよ。ちょっと待ってな」

 そう言うとガルドは裏の扉を開け、彼の住宅スペースへと入っていく。そして何かを話すような声が聞こえた後、再びカウンターへと戻ってきた。

「ルルナに布団敷いといてもらうよう頼んだから運んでやってやれ。それとお前も飯食ってけとよ」

「お、やった。おばちゃんのご飯久しぶりだ」

「へ、ルルナに料理を教えてやったのは俺だけどな」

「いや……、おっちゃんの爆発料理を普通の料理に昇華させてくれたのがおばちゃんだろ……。だから火傷が絶えないんだよ……」

 昔爆発料理を間近で見たときに死にそうになったときのことを思い出しながら、シオンはため息を吐いた。


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