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あの日
人は生まれた時から不平等だ。
血統も性別も、大きさも重さも、能力もみんなみんな、優劣がある。
けれど、誰にでもチャンスはあると信じていた。
いつか必ず挽回するチャンスがあるんだと、そう思っていた。
そんな理想は、10歳で打ち砕かれた。
この世界では誰しもが10歳を迎える年の末、神様から能力を与えられる。それは肉体強化であったり、空を飛べる能力だったり。みんながみんな、素晴らしい力を手にすることができるのだ。
そして、僕も必ずそんな素晴らしい能力を身につけることができると信じていた。
「どんなお菓子でも生み出す力」
それが僕に与えられた能力だった。
この世界の名前は、マルスオキナ。
お菓子作りが対して役に立たない、剣と魔法の世界。
そしてこのお話は、あの日から13年後の物語。