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異世界救世譚―差し伸べるは救いの手―  作者: 明月
シア、異世界に立てり
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食事と魔法の勉強

 魔法の勉強は後でじっくりやるとして、今の最優先事項は食事だ。腹が減っては戦はできぬと言うだろう。……なにせ、ずっと俺の腹が音を鳴らして、激しい自己主張をしているんだ。


「さて、焼き肉にでもしてみるか! さて、フライパン……は…」


 目に映るのは赤錆に塗れたフライパンのような物体。その下に置いてあるもう一つの赤錆の塊は、元は鍋だったのであろう。家の中にあれだけ埃が被ってたんだから、住まなくなってから結構な時間が経ってることは明白だ。何故俺は気づかなかったのか?




仕方がないため、急いで庭から木の棒を数本拾ってきてナイフで加工する。その際ナイフに若干血がついていたから水で洗い流した。ナイフで先端を尖らせて串代わりにし、サイコロ状に切り分けた肉を数個ずつ突き刺して炎に立てかける。

俺の腹も限界に達した頃、肉の焼ける香ばしい匂いが鼻へと漂って来た。狼を食べることに今更だが少し躊躇したが、やむをえずその串焼きを手に取る。


「もうそろそろ良いだろ。さて、どんな味なんだか……。」


 肉の中心まで火が通り、中心が赤くないことを確認すると俺は肉を一気に頬張った。そしてその肉を噛みしめ――


「――旨い!」


 噛みしめた途端に肉汁が口の中へと溢れ出す。気付くと、無意識のうちに次の串を手にとって――俺は躊躇わずに口へとその肉を運ぶ。この時点でもう手が止まらなくなってしまった。

 どこかで聞いたことがあるが「空腹は最高の調味料である」とはよく言ったものだ。全くもってその言葉通りだと今の俺には断言できるし、空腹でなくとも相当に美味しいものであることに違いはないと思う。



……それほどまでに、俺は大満足だった。


 ただ一つ残念だったことは、調味料の類がなかったことだ。塩でもあればより一層美味しく頂けたのだろうが、生憎この家には置いていなかった。それでも十分なほどに美味だったのだから、別に構わないがな。





 ――腹も膨れて満足した俺は、食後の休憩も兼ねて魔法を勉強しようと本棚へと向かった。魔法については無知なため、まずは基本から手をつけよう。


「取り敢えず基礎からだな。基本の属性魔法について見てみるか!」


 俺はさっきの『基礎魔法』の属性魔法のページを開いた。どうやら魔力の放出までの流れは同じだが、そこから少し派生するようだ。発動に必要なことは実に単純だが、一つ難点がある。それも含めて、それぞれの項目を確認しよう。


第一に《明確なイメージ》


 これが一番わかり易い。火属性に例えると、発動後の"火の形状"についてだ。それに加え、"火の発生自体の流れ"も必要になる。


 ちなみに「体外に圧縮した魔力を放出すると外気と反応して発火現象が起こる」ということがこの本には例として書いてあった。空気中にある酸素に反応して発火するわけだから、あながち間違いは書いていないな。


もしかすると転生した先人がそこらの情報を公開したのかも知れないな。確かめるすべはないが。



 火の形状については"火の玉" "火矢" などと自由に作れるらしい。とにかく大きな形を作って相手を威圧する……なんて使い方もあるかも知れないな。例えば竜の形とか……実に夢が広がる。


 

 第二に《魔法名の発声》


 魔法を発動する際に、魔法名を発声する必要があるらしい。これに関しては、自分オリジナルの魔法名で構わないそうだ。格好いい名前をつけても良いし、単純な名前で効率化を図ってもいいということだな。



 第三に《魔力の制御》


 これが少しばかり厄介だ。込める魔力が少なければ消失したり、威力が減少したりする。それに発射系の魔法の場合、魔法を発射した後は問題ないが、それまでの形状維持に魔力制御が必要となるため常に意識を集中する必要性が伴う。これは練習が必須だな。



 ――おおまかには以上のことが書いてあった。


「ふぅ…どうやら今すぐってのは難しいみたいだな。まずは制御から練習しよう」




 元あった場所へ本を戻す。その時にある本が目に入った。それは……


「……『回復魔法の手引』だって? 取り敢えず見てみるか」



 ――俺は基礎魔法の本の時よりも、喜々として本を開いた。



 回復魔法は合計で4段階の魔法に分けられ、それぞれに治療の限度があるらしい。解毒する場合や病気を治す場合には別の魔法を行使する必要が有るため、それも今度勉強する必要がありそうだ。



 それはさておき、今はまず基本的な4段階の回復魔法を確認しよう。


 第1段階は"軽傷程度の回復"で、魔法名は『ヒール』だ。これが初級治療魔法に属しているらしい。主に小規模の掠り傷や切り傷、火傷などの治療に使用されるもので回復力は低いが、発動することが容易なため使用頻度はかなり高い。


 これに関しては使える人間の数が多いが、全く適正がない人間も少なからずいるとのこと。きちんと教えれば子供でも使えることがあるが「自分で治せることを知って危険な行為をすることがある」ため注意が必要……と書いてあった。





 第2段階は"中等傷程度の回復"で、魔法名は『ハイヒール』だ。


 これは中級回復魔法に属し、主に骨折や筋肉等の裂傷に対する治療に使われる。また、中規模の火傷の治療にも使えるらしい。手の平サイズの火傷ぐらいか? そこら辺が曖昧に書かれているからよくわからないな。さすがに自分で調べるわけにもいかない。

 

 ここからは使える人間が少なくなり、使える者は治療院での正式な雇用が許可されるとのことだ。元の世界で言う病院みたいなものかな?。そこらも後々調べることにしよう。


 ページの端の方に記述してあるが、どうやら治療院とやらで正規に働くには『ハイヒール』を行使できることが必須らしいな。個人的には治療院に入るつもりはないし関係のない話だ。


 まぁ現時点で使えなくとも、治療院で講習を受けることができるらしい。

それでも出来なければ厳しい話「諦めろ」ということだろう。





 第3段階は"重傷程度の回復"で、魔法名は『レイズ』だ。


 これは上級回復魔法に属し、主に四肢のいずれかが切断された場合や重度の火傷の場合などに使用される。切断されたものを回復するなんてまさに異世界だな。


 ――ただし、四肢の切断の場合は負傷してから一定以上期間が開くと治療が不可能になるし火傷の場合は期間が開くと跡が残ってしまうらしい。流石に全能なわけではないんだな。しかも四肢の切断の場合、切断された腕や足を自分で所持していることが求められる。

 どちらかと言えば"再生させる"よりも、手足を元通りに"くっつける"ようなものだろうか?



 最終段階は"完全なる回復"。魔法名は『リザレクション』だ。


 これは最上級回復魔法に属し、時間経過にかかわらず"生きていれば"四肢の再生が可能、火傷等も傷跡すら残らないという性能だ。この本曰く使える人間は稀代なもので、過去にも数人しか使える人間はいなかったという。


 対象者が昔に負った傷跡も治すことが可能、パーツがなくとも四肢を生やせるというまさに"神の如き"回復魔法だな。使える人間も限られるし、バレたら厄介なことになるだろう。



 ……ゲームとかではこの名前の魔法は"蘇生魔法"として知られていた気がするが、こっちではあくまで最上級回復魔法であり、蘇生までは出来ないようだ。


「流石にこっちの世界でも蘇生は出来ないのか。

 まぁ、そんなに都合の良い話は存在しないよなぁ……」



 そんな事を思いつつ、今度は使い方に目を通す。


 基本魔法と同じでイメージが大切だということが記述されており、それ以上に込める"魔力量によって各段階が変動する"ということが大事である、と書かれていた。


 一定の魔力量に達した時に魔法名を発すると発動するが、各段階で必要な魔法量に達していない場合は魔法が起動せず、ひとつ下の段階の回復魔法が自動的に使用されるみたいだ。



「魔力量の見極めはやってみるしかないか……。

 なんだかやりたいことがどんどん増えてしまったなぁ」



 ふっと一息ついて、俺は本を閉じた。

「まずは属性魔法の練習からだな。その後に回復魔法も試してみよう」



――俺は徐ろにナイフを手に取りゆっくりと庭へと向かった。








ここまで読んで頂き有難うございます。


※魔法の設定がガバガバですが、多めに見てやってください



ブックマークをして下さった皆様、誠に有難うございます。

これからも精進致します。

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