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歯医者

「あー、歯が痛えー」


 真嶋優作まじまゆうさくは歯医者にきていた。ここ最近、奥歯がとても痛かった。


「次の方どうぞ」


 看護師にうながされ、真嶋は診察室へと通された。

 診察室には怪しいサングラスをかけた医者がいた。


(診察中にサングラスってOKなのか?)と思いながらも椅子に座る。


「今日はどうされました?」

「すごく歯が痛いんです。もしかして虫歯かも」

「マジでっっっ!?!?」

「いや、そんな驚かなくても……」


 驚きすぎだった。


「あ、すいません。私、歯医者になってから虫歯の患者って初めてなもんで」

「マジでっっっっっ!!??」


 真嶋の方がびっくりだ。


「でも、心配いりません。私、こう見えて歯医者さんですから」


 思いっきり心配になった。


「じゃ、まずは診察しましょう。あーんして」

「あーん」

「うーん。うーーーん。うーーーーーん?」

「ど、どうですか?」


 歯医者は腕を組みながら首をかしげた。


「さっぱりわからねえ……」

「わからないのかよ!」

「ちょっとレントゲン撮ってみましょうか」


 真嶋は、歯のレントゲンを撮ってもらった。


(ほんと大丈夫か、この医者)


 レントゲンが出来上がり、しげしげと眺める歯医者。


「うーーーん。真っ黒でなんにも見えませんねえ」

「サングラスかけてますからね!」

「あ、そうだったそうだった」


 サッとサングラスを取り外す歯医者。一抹の不安がぬぐえない。


「うーーーーん。レントゲンの見方がわからねえ」


 衝撃発言が連発していた。


「あの、ほんと大丈夫っすか……?」

「はっはっはっ、大丈夫大丈夫。こんな時に便利なツールがあるんです」

「どんな時だよ…」

「こいつをね、知り合いの歯医者にFAXで送って見てもらうんです。すぐに返事がきますよ」

「FAXっすか!?」

「まあ、自称歯医者ってやつですから、信ぴょう性は乏しいですけどね」

「それ、むしろあなたですよね」


 歯医者はそんな真嶋のツッコミをさらりと受け流してレントゲンをFAX送信する。

 と、すぐに返信のFAXが届いた。


「お、返信がきましたよ。えーと、なになに。虫歯ですって!!」


 なぜか嬉しそうだ。


「よかったですねえ、勘違いじゃなくて」

「いや、よくはないですけど。喜ぶ理由がわかりません」

「抜きましょうか?」

「抜くしかないですか?」

「さあ、私には判断がつきかねます」


 とことんヤブだった。


「今、ネットで調べますから、ちょっと待っててください」

「ネット!? ネットで調べるの!?」

「YAFOO知恵袋ってやつです。便利ですよ」

「いや、それ一般の人の質問コーナーっすよね」

「けっこういいんですよ、これ」


 どこがどういいのか、理解に苦しんだ。


「あ、アンサーが返ってきました。抜いてくださいってさ」

「ていうか、自分で診断してください」


 歯医者はやっとこを持ち出した。かけなおしたサングラスがキラリと光る。


「じゃ、抜きますね」

「どう見てもギャングの拷問器具に見える……」

「大丈夫です、一瞬で終わりますから」

「大丈夫ですか? ほんと、怖いんですけど」

「安心してください。じゃ、いきますね。せーので抜きますから」

「ちょちょちょ、ちょっとタンマ! なに、その麻酔なしでいきますよ的な言い方!」


 歯医者は「はっはっは」と笑った。


「おかしなことを言う人ですね。今の医学は麻酔なんか使わないんですよ」

「ああ、そうなんすか」

「今は医学が進歩してますからね。それなりの道具と技術があれば大丈夫です」

「へえ、知らなかった」

「あとは、まあ、患者さんの我慢しだいですね」

「うおおぉい! 使おうよ、麻酔! あっぶねえ、オレ麻酔なしでいくとこだった」

「大丈夫、大丈夫。痛くありませんて。私の腕を信じなさい」

「いや、どの医者よりも信じられないんですけど……」

「信じなさい。私ですら自分の腕を信じてないのに、あなたが信じなくてどうするんですか!」

「うおおおおおっ!!!!」


 真嶋は脱兎のごとく逃げ去った。

 後日、別の歯医者にいったところ虫歯ではなかったらしい。


最後までお付き合いありがとうございました。つづきます!!

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