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真嶋と山岡デキてる説

「ねえねえ、真嶋と山岡ってデキてるの?」


 ある日、クラスメイトの佐藤(♂)がそんなふざけたことを言ってきた。


「おま、どこをどう見たらそういうふうにとれるんだ」


 オレは心底侮蔑した表情で言ってやった。


「だって学校の行き帰りも一緒だし、選択授業も一緒だし、お昼だってべったりじゃん? スキンシップにしてはちょっとエロいし」


 エロいしってなんだよ。

 初めて言われたよ。


「別にオレたちはたまたま家が近所なだけで、変な関係じゃないぞ」

「ええ~、怪しいなぁ」


 そう言って手を口に当ててニヤニヤ笑う。

 男のこの仕草ほどムカつくものはない。


「本当だって。山岡にも聞いてみろよ。おい山岡」


 そう言って、教室の隅で一人瞑想している山岡に声をかけた。

 何をしてるんだ、こいつは。


「おい、山岡」

「………」

「おい、山岡!!」

「………」

「山岡ッ!!!!」

「ハッ。なになに? あれ、松井(♂)と坂下(♂)は?」


 ……本当に何してんの、こいつ?


「うわ、マジか。夢かよ。変なところで起こすなよ真嶋ぁ。あ~、あともう少しだったのに~」


 どうやら松井(♂)と坂下(♂)が危ないところだったらしい。


「で、なになに? なんの話?」

「佐藤がオレとお前がデキてんのかって」

「は、はああぁぁっ!?」


 山岡が目を見開いて声を上げる。


「オレと真嶋が!? デキてるかって!? オレと真嶋があー!?」


 声がでけえよ。


「んなわけねえじゃん。オレは腐男子だが男が好きってわけじゃねえんだぜ!」


 腐男子=ゲイ。

 それは世間一般の誤解だ。

 こいつといることで、オレはそれをよくわかっている。

 山岡だって、普通に女子が好きなんだ。


「まあ、真嶋がどうしてもって言うんなら、考えなくもないがな!」

「考えんでいい。絶対言わないから」


 山岡が否定したことで、佐藤が心底がっかりしたようにつぶやいた、


「なんだ、つまんねえの。絶対お前らデキてると思ったのにな」


 つまらなくて悪かったな。


「でもさ、二人でいると、こう、お互いにムラムラとかしないわけ?」


 なおも食い下がる佐藤。

 お前はいったいどういう回答を望んでいるんだ。


「しないしない。するわけない。なあ、山岡」

「はははー、もちろんさー……」


 ………。


 なぜに棒読み!?


「うわ、怪しい! 今の絶対怪しい!」

「待て待て待て。おかしいだろ、今のは絶対おかしいだろ!」

「おかしくねえよ。やっぱな、思った通りだ。ひゃっほーい!」


 なんでテンション上げてんだ、こいつは。


「おいおい、山岡、なんとか言ってやってくれ!」

「……真嶋、これはもう隠し通せないな」


 しばくぞ、こら。


「みんなー! やっぱ真嶋と山岡、デキてるってー!」


 佐藤が嬉々として叫ぶと教室内がざわついた。


「え? 真嶋くんが?」

「ほんとに?」

「うっそ」

「だと思った」


 待て待て待て待て。

 誤情報を流すんじゃない。

 っていうか、「だと思った」ってなんだよ。


「おい、山岡。どうすんだ、これ」

「うふ」

「うふ、じゃねーわッッッ!!!!」


 さすがにキレたオレは山岡の背後に回るとジャーマンスープレックスを炸裂させた。


「言っとくけど、山岡とオレはそんな関係じゃないからな!」


 足元で目を渦巻き状にして気絶している山岡を足蹴にそう宣言すると、佐藤がオレの肩に手を置いて言った。


「真嶋。お前、攻めるほうだったんだな。受けのほうかと思ったわ」


 瞬間、オレは佐藤にもジャーマンスープレックスをお見舞いしたことは言うまでもない。




 しかしその後、オレと山岡はデキているという噂が流れてしまったのだが、一部の女子の間ではオレと山岡の人気が爆上がりしたという。


 なんでだよ。

お読みいただきありがとうございました。

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