8.貯めるのはよくないですよ、小出しにしておきましょう。
ところで、みんな、欲望の処理をどうしていますか?
ハンドパワーですか?
それとも何か道具を使っていますか?
俺は、親からの小遣いが唯一の収入源のため、お金のかからないマイハンドを愛用しているけど、世の中には色んな裏技でみんな自分の処理に励んでいるようだ。
「え、イインチョーって、ホ〇ル使ってるの?!」これは、意外だった。イインチョーなら、何も使わず、手さえ無くても、妄想力だけでいけそうな気がしていたんだが。
「ふ、ふ、タカナシのようにシェイクハンドというのは、存外多いようだが、一度でもこれを使ってしまうと、自分の手のあまりの味気無さに、物足りなくなるんだよ。」
いや、そんなに自慢する程の事では無いよね?
「佐々木も使った事ないだろう?」
「うん、お金かかるし、ああいうのは一回限りだったり、何回か使ったら駄目になるんだろう?大体買いにいきづらい。」
佐々木は、童顔で髭も全然生えて無い。顔は、大きなクルリとした目に、小さい口と鼻で、なんだか幼い印象を受ける。身長も150台のチビなので、一見したら小学生に見えてしまう。未だに、映画を子供料金で観に行って注意を受けたことが無い程だ。性格も大人しいので、余計にそういった所に買いに行くのは難しいだろう。
というのか、俺としてはこいつに性欲があるのかも疑問だ。だが、確かに映画鑑賞会の後に、一番にトイレに駆け込んだのは佐々木であるのだが。
「そこは、問題無い!俺には兄という、この世界の開拓者が居るんだよ!なので、俺は兄貴を通して、お勧めを紹介してもらってる♪ちなみに、俺のおすすめは、××××だな、テ××は、好みじゃないんだよな。」
「どっちにしたって、俺達には無理じゃないか!」
児島は、羨ましいとばかりにイインチョーに噛みつく。児島は、どちらかというと、老けてみえる。顔は、地味だが、よく見ると高い鼻に凛々しい眉をしているが、目が一重で眦が垂れ下がっていて、いつも疲れたような表情をしているから、なんだか残念な顔にみえる。身長もこの中では一番高いから、私服だと学生にみえない、平日の昼間からパチンコ屋で、咥え煙草をしてブラブラしていてもおかしくない外見だ。だが、佐々木に負けず劣らず小心者だから、自ら買いに行くのは無理そうだ。
大体、どうしてこういう話しになったかというとだ、第二回映画鑑賞会も無事に終了し、先を争うようにトイレを済ませた男達5人は、賢者タイムに入って、いつものように、映画四本立ての評価を行っていだした。その中の、女同士の絡みを男が縛られてただ見せつけられるという、明らかにサド好みの映画で評価が分かれたのだ。男優が一人寂しく自己処理をする姿をみて、お互いにあれはいいやら、あれはいけないやらと意見が割れたのだ。
当然、サドと意外に佐々木が星三つの高評価。イインチョーも、中々楽しめたと星二つの評価。俺と児島は、男のサガをみたようで、やるせなくなって星一つという結果だった。
そこで、イインチョーから男優の手の動きの駄目出しが出て、自分のハンドパワーについて討論となったのだ。冷静に考えれば、シュール過ぎる絵だが、当事者達は真剣に話し合っていた。
「なら、作れば?」
「へっ?」イインチョーは、羨ましがる三人に事も無げに言った。
「ホール。作ればいいんだよ。簡単だよ。」
「「「作れるの!」」」
「一番簡単なのは、こんにゃくを使うバージョンだけど、それは、さすがに知ってるだろう?」
それはさすがに知ってます。温めたこんにゃくに切れ目を入れるってヤツ。試した事は無いけど。だって、食べ物でそんな事をするって、今以上の罪悪感を感じてしまいそうで。
「台所にあるヤツでできるよ。サドの家族、今日は居ないんだろう?せっかくだからやってみようぜ。」イインチョーは、物慣れない若輩者に、兄貴から直伝された頭脳の数々を披露したくてたまらないようだ。サドの許可を取り付けると、意気揚々とレクチャーがはじまった。




