5.編み上げのサンダルっていいよね。
で、お互いゲームに熱中することで、瞬く間に時間は過ぎてしまった。
今日、彼女にお勧めしたゲームは、無双ものだ。これなら、二人でできるし、女のキャラもあるから、とっかかりやすいかなと思って。ホラーゲームは、もう少し関係を深めてからでもいいかな。
マップが読めなかったり、アイテムの取り忘れ等は多いものの、なんとかミッションをこなせるようにはなったし、まだ素人だけど、こういうのは最後はプレイ時間とかだから、今の俺と比べる訳にはいかないし。
「相坂の学校って女子高だろ?このシリーズだったら、多分、相坂の学校の子でも持っているヤツもいるかもしれないから、ゲームに詳しそうな友達に聞いてみたらいいよ。で、少し覚えたらいいかも。でも、筋は悪くなかったし、またやろう。」
「うん、頑張る。今日は、タカナシ君と一緒にゲームができて楽しかった。また教えてね。」
可愛いな。マジで天使。
ゲームに熱中するあまり、隣のミニスカートから出る太ももも、キャミから僅かにみえる胸元も忘れる事ができたけど、ゲームも終わって、薄暗い部屋に中で向かい合うと改めて緊張する。
俺の部屋なのに、相坂が居るだけでなんだかいい匂いがする。相坂をみているだけで、俺の胸と股間がジーンと甘酸っぱく切ないような気持ちになって、できればこのまま後ろのベッドになだれ込みたいんです。
ねえ、どうしてこんな状況で手を出す事ができないんですか?
ふらふらと、彼女の肩に右手が伸びる。
「わ、私そろそろ帰るね。」
彼女の肩に、触れる瞬間に、ビクつくようにして相坂が言った。
「あ、じゃあ送って行くよ。」
無意識って怖い。
気長に彼女の気持ちが変わるのを待つプランだったじゃないか。
思わず、彼女に触れそうになってしまった。
駄目な右手だ!左手で、右手の甲を思いっきりつねってお仕置きする。
玄関で、サンダルの紐を編み上げる彼女を待ちながら、必死に下をみないように素数を頭の中で読みあげる。
しかし、編み上げのサンダルのエロい事エロい事。やや高めのヒールは、ウッド調で、全体的に茶色の植物性の生地でできている。麻?コルク?よくわからんが、相坂に良く似合っている。サンダルだから、生足で、足の甲を覆っているものも紐だから、茶色と白が目に眩しい。小さな指には、小さくて丸い爪が玩具のように付いている。色とかは付けていないんだろう。でも、よく手入れをしているようで、ツヤツヤピカピカと、まるで宝物のように俺の目を引き付ける。
今日は、アウトドアでもよかったな。俺の狭苦しい部屋で見るよりも、青空の下、彼女と手をつないで、公園を歩くのもよかった。短いスカートから出ている白い足は、きっと軽やかに動いて目を引くだろう。
彼女は、そんな俺の妄想に気付かず、白くて細い指で、イソイソと茶色の紐を互い違いに交差させていく。たったそれだけなのに、なんでその動きがそんなにエロく見えるんだよっ!
「待たせてごめんね。これ、履くのに時間がかかって…。」
俺の視線に気付いたんだろう、相坂は迷惑をかけていると思ったようだ。
「いいよ、気にしなくて。」ゆっくり鑑賞しているから。俺の脳内メモリーにバックアップまでとっとかないと。できたら、もう一回紐を巻きなおして下さい。
「た、だ、い、まー!」
そんな葛藤をしていると、バンッと勢いよく玄関の扉が開いて人が飛び込んでくる。
「わ、危ないなっ!」
「あれ、お兄ちゃんどっか行くの?あれれれー、もしかして彼女さん?」
妹の佳音が帰ってきてしまった。相坂も慌てて、最後に紐をギュッと結んで立ち上がる。
残念。鑑賞タイムが終了してしまった。これで、また月曜日から頑張るつもりだったのに。
理不尽な怒りを感じてしまう。
佳音は、不機嫌そうな俺に気付いているのだろうニヤニヤと笑っている。
「ジロジロ見んな、あっちいってろよっ!」
相坂が恥ずかしがって下を向いているじゃないか。
「はーい。」佳音は、ワザとらしく、靴を脱ぎ散らかして、ドタドタと足音を響かせて家にあがっていった。後で、質問攻撃が予想される足音だ。
「可愛い妹さんだね。いくつなの?」
「あー、えーと佳音っていって四つ下で今は小6。来年は俺達と同じ中学に行くんだ。あいつ、生意気で可愛く無いからあんまり相手にしないでいいからな。」
「えー、そんな事無いよ。可愛い妹さんだよ。」
いえいえ、リアル妹なんてうざいだけだから。マジで可愛いのは相坂だよ。
あー、俺の脳内マジで浸食されている感じ。
「駅まで送るよ。」
「え、悪いよ。」
「いいよ、散歩のついでだからさ、コンビニに行く用もあるから。」




