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4.鋼の理性が溶けました。

 イインチョーに相談して三日後の、今日は日曜の午後。久しぶりにマイルームに遊びに来た彼女。マジで、可愛いな。高校に入ってから少しずつ垢抜けてきて、今は、中列の真ん中辺りにいそうな感じだ。

 先月、一緒にモールに遊びに行った時に、どの店の服が好みか聞かれて、適当に可愛いと思う店を指差したけど、その店頭に飾られていたマネキンと同じ服を着てきていて、なんか、本当に俺の事を考えてくれているんだなって気持ちになる。

 こういうのをなんていうんだっけ?庇護欲だっけか?

 なんか、最近二次元のヒロインをみても、リアルの彼女に負けているなと思うようになってきた。

これがお付き合いっていうヤツかな。すげー、俺に本当の彼女ができたんだ。

 で、その可愛い服を着た彼女は、今日は狭い俺の部屋に居るんだよ。五畳の畳にパイプベッド。学習机、本棚には漫画、ゲーム機とゲーム用の小さいTV。狭苦しい散らかった部屋。

 そんな男子高校生の部屋に、彼女は、ベッドを背もたれに座布団を敷いてペタリと座っている。

 不自然に部屋とマッチしていないというか、浮いている。それは、この汗臭いような埃っぽい部屋に、春のような淡い彼女が合わないんだと思う。

 相坂は、こういう所じゃなくて、公園の芝生の上とか、波打ち際の砂浜とかが似合うイメージだ。

 それって、俺と彼女が釣り合ってないって事なのかもな。

 今日、初めて履いている所を見たミニスカートからは、白くて細い太ももが見えている。フワフワのスカートは、柔らかい生地が何層にも重なっていて、そこから出ている白い二本の足を強調しているようにみえる。上着もユルッとした厚手のニットで編み目が大きくて下に来ているキャミが見えている。

 元々スマートな体型で、胸も、俺の小6の妹位しか無いようにみえるが、全体的に、ゆるかわファッションというヤツだろう。

 相坂に似合っていて、マジに辛抱溜まらん。主に、下半身!

 何故、今日に限って、そんなに露出の多い可愛い格好してきてるんですか!相坂さん!!

 なんで俺は、あの時に、隣の大型量販店のママさんスタイルを指差さなかったんだっ!

 この欲望に正直者めっ!


 今日は、彼女がしてみたいと行っていた、TVゲームの指南をするはずであったが、このまま数時間、俺の鋼の理性はいつまで保つ事ができるだろうか。

「あー、じゃあ始めようか。でも、意外、ゲームに興味があったなんて。あんまり、TVとかもみないかと思ってた。」

 そういいながら、視線を無理やり白い太ももから外して、ソフトの並んでいる棚に近づく。

 さて、ゲーム初心者なら、対戦ものとかよりも、二人で一緒にヤレるのがいいかな。アクションも、コマンド入力が難しいのはパスだな。意外に、ホラーはいいかも。カーテン閉めて、電気消して、突然の悲鳴に、暗闇から襲ってくる化け物、カーソルを握る手が震えて、涙目になって俺に助けを求めるとか、良くない?驚いた拍子に隣に座る俺に抱きついたりして、ミニスカートが捲くれあがって、スカートの中まで見えたりなんかして…。今日のパンツって何色なんだろう?

「うん。あ、あんまりね。見てないけど。タカナシ君って、いつもゲームの本読んでるでしょ。だから、私もしてみたくなって。二人で一緒にできたら面白いかなって。」

 思わず、棚にかけていた手に力が入り、安物の本棚を壊しそうになる。ピッキッと嫌な音が聞こえてきた。

 って、はい?今なんていいました?

 なんだか、邪な俺の妄想が、突然ホワイトアウトして、空からラッパを吹きながら天使が降りてきたような、そんな事言いませんでしたか?

 いきなり、俺の汚い心を清めてくれた、リアル女子からはとても聞くことのできない、女神な発言ではありませんでしたか?

「え?」

 相坂は、聞こえなかったと思ったのか、顔を赤くしてさっきより大きな声で言った。

「た、高梨君と一緒に私もゲームがしたいなと思って…。」

 初めの音量に比べると段々と語尾が小さく尻窄みになったが、間違い無く聞こえた。空耳アワーでもなんでもなく、相坂は、俺のためにゲームを覚えたいと言っているんだ。


 まずは、脳内で何か猛烈な勢いで叫んでいる、二次元萌えのオレは黙って下さい。リアル進行形の俺をメインに。

 ああ、どっかの超能力者とかが今、俺の脳内を覗いたら、砂吐きながら機関銃で撃ち殺したくなるんだろうなぁ。

 これが恋愛ってやつなのかぁ、すげー、リア充じゃん!

「へぇー、そうなんだぁ。…じゃあ、まずは、二人でできるヤツにしようか。俺が持っているゲーム機だと、この辺りかな…」

「え、ゲーム機って種類があるの?」

「え、そこから?」

 あ、今の言い方悪かった。ちょっと相坂が落ち込んでしまった。青菜に塩っていうか、相坂に塩か。

 しゅんと、頭を垂れてしまった相坂がなんだか可哀想で、そして可愛くて、思わず頭頂部をヨシヨシしてしまう。

「え」

「あ」

 相坂が、ビックリしたように勢いよく顔を上げる。その拍子に相坂のユルニットの下のキャミから僅かに胸元見えてしまった。

 あ、今、俺の鋼の理性にヒビが入った。

「お、俺。え、っと、とりあえず、これ!これにしようぜっ!」

 薄いと思っていた胸元も、僅かながら谷間が見えてしまった。

 これはゲームにでも熱中しないと、鋼が燃えて融けてしまう!!

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