3.蛇の囁き
イインチョーのためにならない相談窓口を参考に、とりあえず彼女の気持ちが変わるまで、気長に待つしかないという結果に落ち着いた。
お互い高校が違うし、会うのも週末にデートをする位で夕方には帰宅に着くという真面目ぶり。平日は就寝前の短いメールや電話をする位で、本当に、残念な程に。健全な、清く美しい交際なので仕方無い。
最後に言ったイインチョーの言葉は気にかかる。
「彼女、本当にお前のこと好きなのか?」
いやいや、彼女は俺の事を好きなのは、言動から見たらわかる。好きじゃないなら、付き合う訳無い。そんな質の悪い悪戯をするような子じゃない。
俺は、彼女の地味で真面目だけど、でもよくみると以外に可愛くて、少しドジっ子で、そういった俺だけが知っている彼女のイイ所を見つける度に、彼女を好ましく思う。
時々、ビックリする行動を起こすけど、どれも俺のためだと思うと気にならない。好きな俺のために、努力してくれているのがいつも伝わってくるし、俺も、彼女の気持ちに応えれるように頑張ろうと思う。
そんな、俺の事をいつも考えてくれている、俺には過ぎた彼女が、エッチを断った事に正直驚いてしまった。予測していなかったから、余計に何で?と思ってしまった。もちろん、彼女の真面目な所も好きだ。
だけど、俺たちは男子高校生。
下半身で生きているといっても過言ではない。
そんな俺たちから言わせてもらうと、そんな殺生な!蛇の生殺し状態。何で?どうして?俺のこと、実はそんなに好きでは無いのかも…、なんて考えてしまう。
さらに、イインチョーの姿をかりた蛇の囁き。イインチョーは、直接、彼女に聞いてみたらと言うけど、そんな事を直接は聞きずらい。聞いたら、俺が彼女としたいだけの獣だと誤解されそうで嫌なんだ。まあ、彼女と全然したくないという訳では無いけど、なんか、彼女の好きな俺のイメージを少しでも壊したくないという感じかな。幻滅されたくない。彼女の中の俺は、カッコいいヤツみたいだから、そのまま思ってもらいたいんだ。
だから、今日も俺は我慢の子。
こういうのって、武士は喰わねど高楊枝ってやつかな?




