はじまりは
なろう、初投稿になります。
1.はじまり
暗い教室に白いスクリーンが貼ってある。そこに、でかでかと悩ましげな裸体がカモンベイビーしている。
かと思えば、雌豹のポーズで、あられもなく大股開きでカモーンベイビー。
いくつもの写真が次から次にスライドショーになって延々と流されている。
スクリーンに映し出されている巨乳のお色気お姉ちゃんは、顔意外は別人なのに、化粧してウィッグを付けた俺自身に見える。アイコラで張り付けただけなのに、修正が上手いのだろう、どこからが結合部分か一見してはわからない。
みんなが、真剣なまなざしで、スクリーンの俺を見ている。
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ボーイとガール。お互いの手には、卒業生の標、円筒が握られている。
本日は快晴なり。と、明言できるほどに雲ひとつ無い青空。日の光も眩しく、キラめいている。まさに、卒業式の思い出を美しく演出してくれる天候だ。さらに、校舎裏は目立たない場所には、天然の桜吹雪が舞っている。BGMは、卒業生を送る在校生の泣き声。まるで、青春映画。
ボーイこと、高梨十一は、大混乱中であった。在学中、無遅刻無欠席の健康優良児、現在15歳。中学校を卒業したてほやほや、高校入学までの数日は、フリーター、無所属予定。趣味はゲーム。スポーツは苦手な典型的な現代っ子。校庭を二周もすれば、息が切れて足が震えて脇腹が痛み出すというもやしっ子。普通の普通、どこにでもいる男子。高校生になれば、あんなことやこんなことをしたいなどと、甘酸っぱい期待に胸と股間を膨らませているお年頃。だけれども、まさか、まさか、高校生になったらしたかった事(されたかった事)のナンバー3に入っている校舎の裏での呼び出し(恋的な意味で)が、中学卒業と同時にして叶うなんて思ってもみなかったのだ。
十一A(こ、これは、やっぱり世にいう、こ、告白なのではないか?)
十一B(いやいや、そんな漫画の中のようなイベントがこの俺に起こるもんか!)
十一A(でも、この状況で、告白以外何があるの?これは、もう告白でしょっ!ようやく、人生初にモテキが俺にも来たわけよ!ね、そうでしょっ!)
十一B(いやいや、騙されてはいけないよ、君。気が緩んだ隙にこそ、襲われるものだよ、これは、あれだよ、罰ゲーム的な、そんなものに決まっているよ。)
十一A(おいおい、俺B、それはあんまりじゃないか、まるで、俺が罰ゲーム以外にモテないって言っているものだよ、それは言い過ぎだよ……)
「あ、あの!」
ガールこと、隣のクラスの地味で真面目な女子、相坂芽衣は、うつむいていた顔をようやくあげた。その拍子に、左右に勢いよく揺れる黒髪のおさげ。
「た、高梨君。……わ、私!高梨君のこと、す、好きです!付き合ってください!」
肩までの髪を、校則通りに、二つに結びおさげを作っている。目が悪いのだろう銀縁の厚い眼鏡をいつもかけている。身長は、俺と同じか数センチ低い。同じ保健委員で何度か話しをしたことはあるが声がやや小さくて、自己主張も少ない。目立つような美人では無いが、笑った顔が中々可愛いなと思った事はある。が届く距離にいるアイドル集団のバックにいてもおかしくない子。相坂の顔は、緊張で真っ赤で、泣きそうだった。
「よ、よろしく。」
普通の俺に、初めて彼女ができました。




