5.墓穴
…25日。
今日はユリと遊ぶ日。そして、ユリの気持ちをもう一度確認する日だ。
「11時待ち合わせだから、まだ15分くらいあるなぁ」
どうやら俺が先に着いたみたいだ。
やはりそわそわしてしまう。最後の彼女と遊んだ日以降、女性と遊ぶということが久しくなかったのだ。
『待ったぁ?(笑)』
…ユリが来た。
私服姿がとてもよかった。
『いえ、さっき着いたばかりですから(笑)』
時計を確認すると、10時55分だった。
『てか、ユリさんも充分早いですよ(笑)』
『だって、楽しみだったんだもん♪』
『俺もです(笑)あ、とりあえず受け付けしちゃいますか?』
『ぅん、よろしくね(笑)』
…結局4ゲームもやってしまった。でも、ユリが楽しそうだったからよかった。
[2800円になります]
『1人1400円だね』
『いや、ユリさんの退院祝いってことで、今日は俺が全部出しますよ(笑)』
『いや、それは悪いよ…』
『いいからいいから、気にしないでください(笑)』
『…優しいね☆彡』
『そんなことないっすょ(笑)それより、お腹すきません?』
『すいたぁ(笑)どっか食べにいこっか?』
『俺はどこでもいいですょ』
『んー、じゃあまるまつでいいかな?』
『OKっす(笑)』
…どちらも移動手段がないが、さほど遠くないため、徒歩で移動した。
『…ユリさんって、俺のことどう思ってるんですか?』
俺はいきなり聞いてみた。
『ぇ?どうって…。嫌いだったら一緒に遊ばないよ(笑)』
『それは好きってとらえてもいいんですか?』
『好き…ってのとはまた違うかなぁ…』
…ユリからは、あいまいな返事しか返ってこなかった。だから俺は、おもいきってさらに聞いてみた。
『…ユリさんが好きなヒトって、俺とは全然違うタイプなんすか?』
『ん…やっぱりそういうのって気になる?』
『そりゃぁ、まだユリさんのこと諦めてませんから。』
『そっかぁ。…タイプは違うよ。全然。』
『やっぱり。…かなり好きなんですね。』
『…うん。』
…沈黙。
『…でもね、正直あんまり相手にされてないんだぁ。メールもすぐ切れるし…。だから、ユリの中でコウの存在も大きくなってるんだぁ…』
…あれ?これはチャンスなのか?…頑張れ俺!!
『まぢっすか?…でも、やっぱり中途半端はよくないっすょ。ちゃんとぶつからなきゃダメですよ。自分の気持ちを伝える前に、弱気になっちゃだめですよ。』
…俺は何を言ってるんだ?なぜユリを励ましているんだ?ユリの中で俺の存在が大きくなってるってことは、押せば付き合えるんじゃないのか?…
『…そだよね。諦めるのは早いよね(笑)てか、なんで励ましてるの?ウケるんだけど(笑)』
『ですよね(笑)なんで励ましたんだろ?(笑)』
…これで、ユリがアタックするまで俺は応援することになった。ただ、未練がある状態で付き合ったとしても、長くは続かないだろうから、この選択は間違っていなかったのかもしれない。