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ing(進行形)  作者: ぷなな
4/5

4.葛藤


あの日を境に、俺はますます無気力になった。冷静に考えたら至って普通のことなのに、あの時の俺は冷静さを失っていた。


「ぁぁ、忘れなきゃなぁ。でも、忘れれっかな…」


俺は何度と無くユリのことを忘れようとした。だがその度に、ユリへの想いがつのっていった。別のことを考えてても、気がつくとゆりのことばかりを考えていた。何度も連絡を取りたいと思った。しかし、フラれたのだから、俺からメールすることはなかった。


そんな悶々としていたある日、ユリからメールがきた。正直、嬉しい反面、忘れさせてくれないいらだちも少なからずあった。


『手術は無事成功☆彡ただ、やることなくてすごく暇ぁ』


『よかったですね。そりゃまぁ、しょうがないですよ』


…唯一の繋がりであるメールを、切りたい気持ちと切りたくない気持ちが葛藤した末にでた答えがこの返信だった。成功したのは喜んでるが、俺はなにもしてあげられないというこの返信だ。


俺の気持ちを知ってか知らずか、ユリからの返信はすぐにきた。


『どーしたー?元気ないぞー?元気がないコウは嫌いになっちゃうぞ(笑)』


…むしろそうなってくれたほうが、諦められるかもしれない。


『全然んなことないっす(笑)』


…無理だった。諦めることなんてできなかった。…ただ俺が臆病だっただけかもしれない。


『ならいいケド(笑)てか退院したら、コウと遊びに行きたいなぁ☆彡』


…俺も行きたい。けど、付き合ってもいないのに、2人だけで遊びに行くのっていいのか?ユリが本当に好きなヒトに、俺と一緒にいたことがばれたら、ユリはいったいどうするんだ?もしかしたら、俺が恨まれるんじゃないか?という葛藤が心の中で起こった。


『いいっすねぇ、どっか行きますか?(笑)』


結局、俺はユリと遊べるという誘惑に勝てなかった。


『ボウリング行きたい(笑)』


『もちろんいいっすよ』


『それじゃあ、詳しいことはまた後でね(笑)』


『わかりましたぁ』



…一緒に遊べることは嬉しかったが、素直に喜べなかった。


「ユリにとって、俺ってどんな存在なんだろ。結局はただの友達でしかないのか?…まぁ、少しは前進したのかな。」


…もしかしたら、ユリの気持ちが俺のほうにむいてきたのかもしれない。そんな考えすら持つようになってしまった。



数日後、ユリからメールがきた。


『23日退院だから、25日でいい?』


『いいですよ』


『じゃあ11時に現地でね。退院祝いよろしくね(笑)』

『了解しましたゞ(笑)』


遊ぶ日が決まった。そして、俺の気持ちも決まった。この日にもう1度ユリの気持ちを確かめてみよう、と。

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