3.返事
「さてと、そろそろ行くか…」
帰る準備をして、ユリが入院している病院へむかった。
「ユリの返事はOKなんだろうなぁ…(笑)」
思わずにやけていた。
…まわりから見たらただの変な奴だろう。
だが、俺は気にしない。
―病院に着いた―
『何階に行けばいいっすか?』
総合病院のため勝手がわからない。俺はユリにメールをいれた。
『5階にきてぇ〜』
すぐにユリから返事が来た
『りょーかいっすゞ』
間髪入れず返事を送り、エレベーターに乗った。
都合良く誰も乗っていなかったため、中にある鏡で自分の顔を見てみた。
…にやけていた。気持ち悪いぞ、俺。
『今5階に着きましたけど、何号室ですか?』
『ぁ、5〇〇号室だょ。でも、まだ準備できてないから談話室にいて』
「…なんの準備だろ?ま、いっか。」
『わかりましたぁ。ぁ、あんまり遅くなれないんで、できれば早めにお願いします(笑)』
『すぐ行くから焦らせないでよ(笑)』
「どんな返事だろ?(笑)まぁ、悪い返事じゃなさそうだし…(笑)」
―おっと、そろそろ来そうだ。
『ごめん、結構待った?』
『いえ、全然待ってませんよ(笑)』
『そか(笑)ぁ、今日はお見舞いに来てくれてありがとね。』
『近いですし、気にしないでください(笑)』
―前に話したよりは普通に話せるぞ―
『そっかぁ(笑)ぁ、今日はあんまり遅くまでいれないんだよね?』
『まぁ、一応部活ありますんで…』
『そだよねぇ…』
『ええ…』
…沈黙。
…沈黙。
…沈黙。
『何か飲みますか?』
『んーん、いらなぃ』
『ぁ、そですか』
…沈黙。
…沈黙。
…沈黙。
『…えっとぉ、この前のことの返事なんだけどぉ…』
―おっと、唐突だなぁ
『ぁ、はぃ、お願いします』
『…コウの気持ちは嬉しいんだけど、他に好きなヒトがいるんだよねぇ…ごめんね…』
―え?あれっ?なんで?
『…あ、はぃ』
『ごめんね。でも、友達としては好きなんだよ』
―まだ整理つかないんですけど
『ありがとうございます』
『これからもメールしていい?』
『もちろんですょ』
―いいわけないだろ―
『よかった、ありがとね☆』
『お礼を言われる立場じゃないですよ(苦笑)』
…この後の話はまったく耳に入らなかった。ただ覚えているのは、ユリが笑顔だったということだ。
気がつくと、俺は病院をでていた。
「…今までの、あの思わせ振りなメールはなんだったんだろ」
…12月の寒さが肌にしみた。