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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ミルクセーキとネコの死体

作者: ミカイラ

ホットミルクを飲むときは、

夜の静けさを思い出して、散歩に行きたくなる。

だから、家を飛び出してみた。

夜中の独特のひんやりした空気が頬にはりつき、

キリッと頭が冴えた。


「さて、どこに行こうか」なんて考え、

しかし思いつく前に足は動く。

この辺は、やけに自販機が多い。

しかもみんな個性的で、見ていて飽きることがない。


1番最初に出会った自販機で足をとめると、

その中には、ブラックコーヒー、カフェオレ、ミルクセーキなどがあった。


“ミルクセーキ”という文字は、牛乳好きにはたまらない。

すぐに自販機からもらい、缶を開ける。

素手で持つには熱いが、

中身とのギャップが感じられ、

それもまたいいと思う。


この自販機に照らされた道をすぎると、2番目の自販機に行き着いた。

その光の先に、ネコがいる。

その、なにかが足りない伸びきった体は、

お腹からは何かがはみ出し、潰れており、四肢は完全になくなっていた。

見開いた両目は、光がないままで、こっちを睨み、目が合う。

多分、車にひかれたのだろう。


痛かったか。辛かったか。・・・寂しかったか。


無感情なままで、そんなことを考え、

飲みかけのミルクセーキを隣に置いてやった。

喜んだかはわからないが、

“にゃあ”


と鳴く声を聞いた。


「元気でな」


車にひかれて死んだネコに、元気もなにもないと思うのに

そんなことをつぶやいた。


そして、また歩く。外と内のギャップが激しい飲み物と、

それを受け取った、あの鳴き声を頭の中にちらつかせて。


あの行動は正しかったんだろうかと、そんなどうしようもない考えが堂々巡りする頭は、

夜中の独特のひんやりした空気に晒され、

しかし、もう冴えることはなかった。

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