プロローグ
前の作品が全く進まなくなったので新作です。
今度は続けられるようにしたいです・・・。
「あ~、今日もいい天気だな。」
とある高校の屋上で空を眺めながらそう呟くのは一人の男子高校。
彼の名は阿久津 悠。何処にでもいる平凡な高校生・・・・・・・・・・・・・ではない。
「普通の日常ってなんて素晴らしいんだ。誰も命を狙ってこない危険のない日々・・・。普通サイコー!!」
などと意味の分からない発言を危ないやつだ。
何故彼がこんな発言をするのか。
これには少し理由がある。
「向こうはもう王様は決まったかな・・・。」
実は彼は半年前に異世界に召喚されたというなんとも数奇や体験をしたのだ。
ちなみに異世界に召喚されるという物語において最も多い話しは勇者として召喚されるなどといった話だろう。
しかし彼は違った・・・
実はその世界には勇者という言葉は存在しなかった。
勇者が存在しない代わりに英雄を示す言葉はあった。
魔王・・。それが英雄として崇められる者の名。
その世界には魔法が存在した。
魔法はとても強力で強大な力だった。
魔法は誰でも使えるという者ではなかった。
まず生まれた時に使えるか使えないかの有無がはっきりする。
魔法を使う為の原動力となる力魔力を持って生まれるかだ。
そして魔力を持って生まれた者でも完全に魔法を使えるわけではない。
大半の者は火をつける初心者魔法を使えるようになるのにも苦労する。
努力をすればそれなりの使い手となることは可能だ。
しかし、ある程度まで使えるようになるとそこに壁が立ち塞がる。
そこまで努力を続けた者でも大半はそこで諦める。
なぜなら気付いてしまうからだ・・・。
その先に進むことが出来るのは天才と呼ばれる者たちだけだということに・・・。
そして天才と呼ばれる者たちの実に九割が貴族呼ばれる者たちだった。
その下には平民と呼ばれる者たち。さらにその下は奴隷と呼ばれ貴族に逆らえば殺されても文句は言えない搾取される日々を過ごす者たち。
しかしそんな人々にも希望はあった。
それは何千年という昔の伝承、伝説と呼ばれる物だった。
「世界が混沌を迎えるとき月は紅く染まる。紅き月が満月を迎える時・・・天空を切り裂き黒が現れるだろう・・・。黒はあらゆる魔法を操りその魔法は天を裂き地を砕く。強大な力を宿背し黒は人々を導き天下に安寧をもたらすだろう。黒の名は魔王・・・あらゆる魔法を統べる王なり。」
この伝承を信じ人々は日々を生きる糧としていた。
いつか魔王様が自分達を救ってくださると・・・。
そんな人々の願いが届いたのか満月が終わり新月。そして日に日に姿を現してくる月を見て世界の人々は狂喜乱舞した。
そこには伝承の通りまるで血に染まったような紅き月。
人々は今か今かと毎夜月が満ちるの希望に溢れた目で見つめ続けた。
そして月が満月を迎えるその夜一筋の流星がまるで空を割るかのように落ちてきた。
伝承を信じ続けた人々はその夜流星に向かい走り始めた。
そして流星が地に落ち中から現れたのは・・・黒い学ランを着た日本人の男。
彼の名は阿久津 悠。
そう、彼は平凡な中学校生活を送っている中突如光に包まれ異世界に召喚されてしまったのである。
魔王として・・・。
突然光に包まれ気を失い目が覚めれば多種多様な髪の色をした人達に囲まれ何故か皆自分に膝まずいている。
一般的な思考の持ち主ならこの状況に困惑して「何これ?」と思ってしまうだろう。
実際彼もそう思った。
しかし彼が理解する間もなく人々は「魔王様が降臨なさったぞぉぉぉ!!」と、とても話し掛けられる状態ではなく「あのー?」や「そのー?」と言う言葉は人々の喝采に打ち消されていた。
それからの展開は早く騒いでいた人々の中でも一際高貴な服に身を包んだ女性が悠の前に現れ「魔王様、どうか我々をお救いください。」と悠へ膝まずき言った。
悠は「誰だこの美人さん?」と言う一瞬の思考を放り捨て女性が言った言葉を聞き返す。
「へっ?魔王??・・・勇者じゃねぇーのかよぉ!!」と叫んだ。
どうやら異世界に勇者ではなく魔王として召喚?されてしまった事を理解し何も知らない世界で一人で生きていく事は無理だという結論を出した悠は取り敢えず女性に事情やこの世界のことを聞くことにした。
思えばこの時に逃げたしていればあんなことにはならなかっだろうと後に悠は語る。
気づいたら世界を統一していた。
魔王として貴族どもに宣戦布告をさせられ魔法も曖昧に教えられに中途半端なま前線へ追いやられ生き残るために戦場で必死に魔法を覚え使えない魔法よりかは役にたつと剣の腕を磨き伝説の魔剣とやらがあるドラゴンの住む山へ行かされ気づいた時には・・・・・・・・・・・・・・誰も彼に敵うものはいなかった。そして貴族は滅んでいた・・・。
本人は生き残ることに必死で目の前に敵がいたら「殺られる前にコロス!」というそれぐらいでないと生き残れない修羅場を戦い続けてきたせいか気づかないうちにあっさりと世界を統一していた。
世界を統一したということはこれでもう戦わなくていい!と感涙の涙を流した悠に人々は「魔王様が我らの王だぁ!魔王様なら平和な世の中を作って下さるに違いない!」という何故か自分が王様になることが決定しているような言葉を浴びせる。
瞬間、彼は逃げ出した。
中学3年生である彼にしてみれば当然の反応だ。むしろよくやった方だろう。
まだ子供である彼が当たれば一撃必殺という魔法が飛び交う戦場を駆けあまつさえ勝利したのである。
何千何万という屍を作り出し・・・。
彼の心は限界だった。
人を殺す度に吐きそうになるのを必死に我慢しいつの日か元の世界に戻れることを信じ戦い続けた。
やっと戦いが終わりこれでゆっくりと元の世界に帰る方法を探せる・・・と思った矢先に王様だ。
逃げ出した彼の心中は「もう勘弁してくれぇぇぇ!!」という叫びで埋め尽くされている。
無我夢中で走り続け3日。この世界に来て死にたくない思いで鍛え上げた肉体にも限界が来て近くにあった木陰の下で大の字に寝転がった。
そして彼がぽつりと「帰りたい・・・。」と漏らしたその瞬間彼を光が包み込む。
この現象に見覚えのある悠は「あれ?もしかして・・・」と、薄れゆく意識のなか思った。
そして目を冷ませば自分の部屋のベッドの中。
悠は泣いた。
一晩中泣き続けた彼は再び元の日常に戻った。
不思議なことに彼は一年も異世界で過ごしていたのにこの一年という時間はこの世界に帰ってきたら全くたっていなかった。
もしかしたら夢だったんじゃないかと思い試しに魔法を使ってみた・・・学校のトイレの中で。
期待は外れ魔法は使えた。
しかし久し振りに魔法を使い加減を間違えた。
結果、トイレが炎上した。
慌てて消し止めたがトイレは全焼。
見つかれば自分に疑いがかかるのは確実なので即座に魔法で離脱。
なに食わぬ顔で友人達の輪に混ざりトイレの件はなかったことにした。
後に謎の男子トイレ全焼事件と呼ばれるようになった。
魔法が使える事が分かり他にも向こうで鍛えた身体能力や剣術の腕前も変わらず少し力を入れて跳べば学校の一階から屋上まで飛び上がれたし試しに剣道部の友人と勝負してみれば欠伸が出るほど簡単に勝てた。
そんな化け物じみた結果に彼は思った・・・。
「普通に生きよ…。」
異世界に召喚された魔王様は元の世界に帰り普通に生きること心に誓ったのだ。
プロローグは長めになりました。
書くのに2時間も掛かってしまった・・・。