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幕間
神霊列車は、重厚な鉄の吐息を吐き出しながら、ゆっくりとその巨体を「黄昏分岐駅」へと滑り込ませた。
キィィ、と鼓膜を削るような鋭い制動音が響き、車輪から噴き出した白煙がホームを飲み込んでいく。霧が晴れるようにその煙が引くと、そこには現世の地図には決して載ることのない、幽世の巨大な中継地点が姿を現した。
視界を埋め尽くすのは、不夜城のように煌めく紅い光だ。空には家屋ほどもある巨大な紙灯籠がいくつも浮遊し、ゆらゆらと熱を帯びた光を振りまいている。どこからか流れてくる祭囃子の音――乾いた太鼓の響きと、耳の奥をくすぐるような笛の音。ホームには、狐や狸、あるいは得体の知れない異形の面を被った露天商たちがひしめき合い、獣の匂いや焦げた香料の匂いが入り混じった、むせ返るような熱気が渦巻いていた。
その喧騒を割るようにして、一際異彩を放つ男が千沙子の前に立ちはだかった。




