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努力しろ、幸せになれ

アルくんが、深く長いため息を吐いた。

十字架の先を床にカン、カンと二度鳴らすと、その音が波紋のように広がって、ボクの目の前のステータス画面に微かな光が走った。


「……ルキウス。このスキルをお前に与える」


画面の“スキル”欄が、再び淡く光を放つ。そこに浮かんだ文字は――


> 『ステータス隠蔽』

ステータス画面を隠せる。

隠せるだけで、消えたりはしない。

他人から隠蔽項目を見せないことができる。




アルくんが金の瞳でボクをじっと見て、説明を続けた。


「読んで字のごとくだ。ルキウス、お前のステータス画面はありえないものばかりだから、ちゃんと隠しとけ。あと当たり前だけど、ステータス画面は人に見せるな。お前が信用した人間なら構わないが、それでも充分考えろ。ステータス画面なんか個人情報漏洩もいいところだ。命取りになるぞ」


十字架の先で、空中に「命取り」と書くように軽く振る。


「それと、ステータス画面を覗こうとするやつもいる。そういうスキルもある。まぁ、だからといって“ステータス隠蔽”を突破できるやつはいねぇと思うけどな。油断して書き残すとか、忘れるとか、絶対にするなよ」


アルくんは少し疲れた顔をして、ボヤいた。


「……心配事が尽きねぇなぁ」


ボクは思わず笑ってしまい、「アルくん、大丈夫だよ」と言った。

その瞬間、アルくんの手がボクの頭に優しく置かれた。いつもの十字架ではなく、素手の温もり。


「そろそろいい時間だな。ルキウス、ここはお前の精神世界だけど、現実世界でも多少時間は流れている。お前の連れも心配しているだろうしな」


「……うん」


「そうだ。ルキウス、オレ様とのここでの話、他人にするなよ。神様と話したなんて言ったら、大変なことになるからな」


ボクは静かに頷いた。


「わかった」


アルくんは口元に微笑みを浮かべ、金の瞳が柔らかく光る。


「最後に、もう一度言うぞ」


十字架を軽く掲げ、声に力をこめる。


「**努力しろ、幸せになれ。**オレ様はずっと見ているからな。……たまには教会に来て祈れよ」


その言葉を残し、アルくんの体は光の粒になって、十字架と共に静かに消えていった。


ボクは胸の奥で呟いた。


「――アルマ様、見てて下さい」


ステータス画面の光は消え、残ったのは胸の奥の灯りだけだった。

ボクは小さく息を吸い込み、現実世界に戻る準備をした。



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