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デート前日

作者: 仙台の民

なんて目でこっちを見てきやがる

百もの、目…………


それだけじゃあない

殺気がヤバイ


そして、一番ヤベーのが歯

て言うか、牙かな

俺を骨ごと噛み砕こうと言う牙…………

何本も連なる肉食獣特有の鋭い牙


これらが一匹の獣の体にあるっていうのは

卑怯。いや、恐怖だ


ったく。 俺が何したって言うんだよ

あーあ。 明日は人生初のデートだったのに

彼女とはうまくいってたのに


最悪だ

俺の人生も  

ここまでか



  

いや、まだだ、まだ助かる方法はある


3メートルほど横に落ちている石を

あの野獣のこめかみに

叩き込めば

奴は一度ひるむはずだ


その隙をつけば………


逃げれる


俺はまだ死ねない

生きるんだ!生き残ってやる!!

そう自分に言い聞かせる



つかの間の静寂

額の冷や汗が顔を伝い

顎から地面に落ちる



その瞬間

「うおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」

と、雄たけびと共に

横っ飛びする

ほぼ同時に野獣も俺を目掛けて飛び掛る


一瞬早く3メートル先に移動し

そして、右手で石を掴み

殴りかかろうとした



しかし


汗ばんだ手から無情にも石が滑り落ちる


『……ああダメだわ、デート行きたかったなぁ

 もっと生きたかった………』


そんな思いと走馬灯が一気にくる

バケモノが俺に馬乗りになり

その鋭い牙で 

俺を今噛み砕こうと…………




「チャッピー!!」

女の子がバケモノに駆け寄ってくる

と同時にバケモノも俺から離れてく



「もう。すんごい探したんだよー」

と言いながら女の子はバケモノに首輪をつける

「あ、あのぉ…。チャッピーと遊んでてくれてありがとう。

 この子ずっと迷子になっちゃっって」

純粋そうな目と真っ白な歯を見せながら

笑顔でお礼をしてくる



飼い主に怒鳴りつけてやろうと思ったが

ギリギリで自分を制する



何でかって?


飼い主の女の子が俺の彼女に似てたから


笑顔が似てたから


明日は人生初のデートだから………

仙台は桜が満開で綺麗です。今日は雨だったのですが…

立ち寄った際は是非どうぞ

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