3.誰?
今更だが、1話と2話を合わせたほうが良かったのではないかと気づいた作者。
頭が痛い。体が動かない。眼、眼はどうなった?確か俺は頭を貫かれて…。
視覚の情報が頭に流れ込んでくる。
―暗い。なにも見えない。ライトか何かないか?
体を動かそうとして気づく。
―体が瓦礫に埋まって……っつ!!
体から流れ出る赤色。潰れた体。死んだときの光景が鮮明にフラッシュバックする。
「あぁ…うわぁぁぁぁぁああああ……。死にたくない死にたくない死にたくない死にたく…。」
―そっか、今の俺はロボなんだ。こんなことでは死なないのか。
上に向かって瓦礫を退かし、壊しながら少しずつ進んでいく。途中、何度か瓦礫が崩落したが、硬い装甲のおかげで助かった。
瓦礫を退かし続け、少し広めの空間ができたので、休むことにした。
―そういえば、なんで俺の頭は治っているんだ?
〈ふふ…それはね…。〉
驚いて手を止める。
―え?誰だ?どこからしゃべっている?
〈君の心の中とでも言うべきかな。〉
―心が読めるのか…。
〈心を読むとは少し違うな。私は君の中にいる。君が思うこと、聞くこと、見ること全てわかるんだよ。〉
「それが俺の頭が治っていることとどう関係がある?」
〈おっと、勝手に自分の体を弄られて腹が立ったかな?心の声が漏れているよ。〉
―そりゃそうだろ。
〈まあ、その体も君のための物ではないけどね。〉
―ん〜……?
〈しゃべりすぎたか。まあ、いいや。端的に言うと、君の体を治したのは私だ。〉
―どうやってだ?
〈さっき私は君の中にいると言ったね。とても噛み砕いて言うと私は君のもう一つの人格のようなものだ。だから君が気絶している間に体の主導権を取って治した。〉
―なるほど、じゃあそうだとして、この状況でどうやって治したんだ?周りには金属の加工なんてできるものもないぞ。
あたりを見渡すが、そんな用途だったような物は一切見当たらない。
〈それは簡単だ。君の『能力』を使った。〉
―能力って、あの白黒のロボが、使ってたやつか?俺にもあるのか?
〈そうだよ。君の能力、『壊創能力』を使った。〉
―なるほど、能力を使った以外なにもわからない。
〈『壊創能力』は周囲の物質を取り込み、原子に分解して、組み直す能力だ。だからそれで壊された装甲を全て吸収して再構成した。〉
―やっぱり理解できない。なんでお前がこの体の構造を知っている?
〈ああ、それなら君の能力に保存してあるじゃないか。〉
もう、なにがなんだかわからなくなってきた。
―つまり、俺は能力を二つ持っているという認識でいいのか?
〈いや、厳密には三つだ。『壊創能力』、『記保能力』、『思考加速』だな。現に、今私は『思考加速』を使っている。体を動かしてみるとわかると思うが、非常にゆっくりになっているはずだ。〉
言われるままに手を上に上げる。
「おぉ………っっっ…………そぉぉ」
―声までゆっくりになるのか。
〈ふふ、面白いだろう。そして、もっと面白いことがあるんだ。上を見ているといいよ。〉
上に顔を上げた瞬間
ピカッ………シュウゥゥゥゥ…
閃光が走り、頭の上にあった瓦礫が消えた。
よく見ると、頭のアンテナの先も少し溶けている。
そして、俺の頭上には赤色のロボが浮遊していた。
会話文が続き、読みにくくなったかもしれません。
ここで少し主人公の能力について解説を。
『壊創能力』指定した範囲の物質を原子に分解して、異なる空間に取り込み、その中から選んだ材料のみを合成し、加工し、生成することができる。使われなかったものは全て一つの塊にされて、出てくる。
『記保能力』今でいうコンピューターのデータのようなもの。データを保存できるし、破棄できる。