1.転生
世の中は理不尽だ。理不尽に物をとられる。理不尽に生き方を決められる。理不尽に死ぬ。
じゃあそれを決める存在がいたら…
体中が熱線によって爛れ、瓦礫の下敷きになった右半身は痛みと熱さで感覚がない。腹に刺さったコンクリートの破片が真っ赤に染まっている。
ーここまできたら否が応でもわかる………俺、死ぬんだ。
なんで死ぬんだろう。家にいたから?じゃあどうして家にいただけで死ななきゃならないんだ?そもそもなんで死ぬんだ?
思考がまとまらない。頭に血が来なくなってきた。
体中が爛れて熱いはずなのに体が冷たくなっていく。
ー理不尽だ。ああ、もう死ぬな…。お母さん、今行くよ。
視界に入る光が眩しい。目を閉じようとするのに閉じることができない。何かがおかしい。
慌てて手で目を覆おうと顔に手を持ってこようとすると、手が何かに引っ掛かる。
とにかく今は目が覆いたいので無理やり手を引っ張ると、
ギギギギギギ……バギン
と音がして手の引っ掛かりがなくなった。そのまま手を顔に持ってきて目を覆おうと顔に触れて、俺は気づいた。
自分の肌が金属質であることに、自分に瞼がないことに、そして、目がないことに…。
―意味がわからない。どういうことだ?さっき俺は死んで、じゃあここは天国か何かか?というかなんで俺の肌は金属になっていて……。
頭が混乱してなにも考えられない。
そうして考えていると次は声が聞こえてきた。
「なんで動くの…?まだ起動していないはずなのに…なんで?」
「ゼギム博士!「なんだ!?」向こうの二体も動き出しています!」
「機動兵を起動させろ!最悪の事態に備えてLSR-2-1型もだ!早くしろ!」
悲鳴と焦り、怒号がめちゃくちゃに混ざった情報が入ってくる。
―こっちがなんだ?なんだよ。本当にどういうことだ?今、俺は何でどこにいて声の主たちは誰なんだ?
視界が光に慣れてきた。そして俺の頭に今見える全ての情報が流れ込んできた。
目を覆うつもりだった手は節々に継ぎ目があり、黒く、金属質で機械であることは見ればわかった。
さらに目の前で逃げ惑う人々、そのほとんどが白衣を着ている。そして人の群れの中にはレーザー銃と剣が混ざったビーム剣とも言える物を持った人間大の人型のロボが歩いてきていた。
ー俺はサイボーグにでもなったのか?だから体が機械になっているのか…?というかあのロボはなんだ?あんなロボは見たことがない。歩くという動作のみでも恐ろしいほど滑らかに動いている。
そして俺は顔を左右に動かした。
視界に映るのはそっくりというか同じ物と言えるほど似ている赤と緑を基調とした二機のさっき見たのとは形の全く違うロボ。
顔の少し横についたアイ、後ろに角のように流れるアンテナ、胴体はそれぞれ、赤、緑がベースで、胸の装甲はオレンジ、水色になっている。また、その下には黒色の核のような物体が露出していた。そして、腰はそこまでとは違い、手を抜いたかと思うほど直方体でその下には四角を重ねたような脚があった。
はっきり言う、◯ンダムと比較できるくらいかっこいい?
―なんだ?あのおもちゃのような構造は。
そして、そのロボに向かってビーム剣を構えるロボ。ロボが多すぎてなにがなんだかわからない。
その瞬間、赤色に襲いかかるビームロボ。そして、赤色のロボに手が届くかという距離でドロリと溶けて崩れ去った。
―なにが起こった?どういう原理だ?
驚きのあまり思考が止まってしまう。
その間にも次々とビーム兵器を持ったロボが襲いかかるが、無残にも液体となっていく。よく見ると赤色のロボの足元も溶けていっているようだった。
―赤色から熱が発せられているのか?あんなのヤバいじゃないか。逃げるべきなんじゃないか?
そして、足元を確認するため、下を向いた。すると、そのまま自分の体を見てしまった。
「は?」
そこには人間の面影は一切なく、そこには青を基調とし、胸は黄色、腰、脚は水色のさっき見た赤と緑のロボと全く同じ体があった。
そして俺は初めてこの体で声を出した。
「人間じゃ……ない…。」
初めて小説投稿します。よろしくお願いします。
できれば毎日更新していきたいと思っていますが、リアル等の関係で短くなったり、更新が滞ったりするときがあるかもしれません。
あと、こんなですが、異世界です、能力バトル系統になります。