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10.新米ヒーロー

更新遅くなってしまい申し訳ありません。

もう少しだけ時間かかります。

 COPSは高い自由度から、様々な層からプレイされている。

 惑星を開発し、生産力を上げ、他の勢力と競争し仲間をサポートする『シミュレーション勢』。

 ステータスを上げ、仲間と協力し敵と直接戦闘する『バトル勢』。

 宇宙を舞う戦艦を用いて“制宙権”を守る本ゲームの要である『ストラテジー勢』。


 これらのプレイヤーがそれぞれ『秩序派』『自由派』『無秩序派』『個人派』と大まかな派閥に分かれてギルドや連合を形成し、各々が一番になろうと躍起している。


 最も自由で壮大なゲーム、だからこそ、多種多様な人間が同じゲーム内にたくさん存在する。


 天を貫く摩天楼にネオンが灯り、地上から漆黒が駆逐された大都会、惑星アスピア首都セントソルのある大通りにて、二人の男女が歩いていた。男の方は筋骨隆々としていて、色とりどりのマークが所々にある派手なスーツを着ている。

 一方の女は華奢で、水色を基調としたスーツを着ており、隣の男と比べれば落ち着いた格好をしている。しかし、そのスーツは体のラインがはっきりと見えるもので、客観的に見ればそちらもかなり派手ではあった。


「レイ、どうした?浮かない顔だな。」


 男が隣の女、レイに問う。

 レイはコンソールを操作しながら答える。


「いや、そういうわけではないのよ、ライズ。なんとなく、今のプレイスタイルのヒーロー活動って、現実(リアル)での仕事とやっていることが根本的にはあんまり変わらないんじゃないかなって、ふと疑問に思ったのよ。」


 笑いながらレイが隣の男、ライズにそう言うと、ライズは大きな声で笑う。


「おいおい、勘弁してくれよ。こっちまで陰鬱な気持ちになったじゃねえか。」

「まあ、こっちは悪者を殴ってぶっ飛ばして爽快感があるから、比べるのはちょっとアレだけど。大義ある正義よ!」


 二人は、俗に言う『自由派』に属するプレイヤーであり、『自由の為の連盟』と呼ばれる自由派筆頭の大規模ギルド連合のアスピア支部、『特別民間拡張警察』として活動している。

 『自由の為の連盟』は自由派最大勢力であり、プレイヤーやNPCたちからは『ヒーロー連盟』と呼ばれている。

 活動内容は、平和の維持、プレイヤーやNPCに関わらず紛争の調停、または制裁、そして悪の討伐である。


 NPC、特にアスピア政府とは非常に深い関係にあり、同盟関係にあるといえる。

そのためか、個人として強力なプレイヤーが多数存在するのであった。


 レイとライズも上位プレイヤーのヒーローとして、プレイヤーだけでなくNPC

たちの間でも名を馳せていた。


「そういえば、私たちのパーティに新しい子が来るらしいわね。近々帝国との紛争も悪化しているというのに、大丈夫かしら。」


 レイはライズに問うと、ライズは頷いて答える。


「まあ、大丈夫だろ。所属ギルドが違うとしても、連盟が選んだんだ。腕はきっと確かさ。」


 パーティとは、通常2~4人で組む事ができるプレイヤー集団のことで、プレイヤーであれば誰とでも組むことができる。ヒーローは、こういったパーティを組んで活動するのが一般的であった。


「いーちゃん最近ログインしてないし、仕方ないわ。強い子だったらいいんだけど。」

「それが、聞いた話によると、どうやら女性らしいぞ。」

「ふーん」


 二人がそんな話をしながら歩いていると、所属する支部の建物まで到着した。


「で、レイはこのあとどうするんだ?」


 レイは自身の青みがかった白い長髪をかきあげ、ライズを一瞥してから再びコンソールに目をやり、呟く。


「うーん。らーさんから新しい装備もらう約束してるし、取りに行ってからヴィラン討伐にでも行きたいわ。」

「了解した。同行しよう。」


 二人はそのまま建物内に入ろうとしたとき、入口から一人の人物が出てきた。


 その人物は、全身を覆う黒いローブを身に着けており、頭にはフードを被っているため顔はよく見えない。しかし、小柄であることから女性のように見える。ローブから出ている手、ブーツとローブの隙間の膝辺りは、本来見えるはずの肌は見えず、包帯が何重にも巻かれている。


 その人物は二人の正面で歩みを止め、深々と被っているフードから目を覗かせた。

 本来であればその時点で顔が見えるはずである。が、レイとライズは驚いた。なぜなら、その人物は顔にも包帯を巻いており、そこから覗く右目以外は一切顔が見えないのだ。


 どうやらその人物はこちらの様子を伺っているようで、状況に困惑したレイが包帯の人物にはじめに話しかける。


「えーっと、私達に何か用かしら?」

「あなた達がレイさんとライズさんですか?」


 レイの質問を無視し、包帯の人物はその見た目に反してとても可憐な声で逆に二人に質問する。

 レイとライズは意外な声に驚いたが、ひとまず彼女の問いに肯定した。


「ああ。俺がライズで、こっちがレイだ。それで、君は?」


 ライズの言葉に包帯の少女はその下で少しだけ笑う。


「私はリオです。今日からあなた方のパーティに合流させていただきます。よろしくお願いします。」


 レイは、その見た目も相まって、彼女に少しだけ不気味さを感じた。


誤字報告承っております。

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