メカヲタ、浪漫を一つ叶える
ドラグナートへ移動に当たりメルフィーナ王女の同行は危険だと判断した僕は彼女に王都で待つように伝えた。
しかしこれには王女自ら断固として着いていくと聞かず、王に言っても「王女である前に契約者である。」として聞かず結局同行する事となってしまった。
こうなると要人警護用ゴーレムも開発しておこうと、晩御飯後からせっせと小型ゴーレムの作成を行っている。
要人警護の観点から考えると人型より犬型くらいが丁度いいだろうか?
常に彼女を守り続けることを考えるならストレスにならない様心がけたい。
いっそ執事型とメイド型を作ってしまうか!浪漫的に!!
興が乗った僕は明らかに暴走していた。
メイド型は3体140cmまで小型化したタイタンの様な物になったがメカニックな手足を見せ他の部分はメイドさんに頼んでメイド服をわけて貰った。見た目は女性的にやや細く丸みを帯びた感じに調整した。機動性についてはタイタンで実証済みな構成なので、こいつは小さいけど強いぞー!
顔は無表情だと人形感が強いので内部にしっかりと目や鼻、唇を作り上から仮面を着けた。
デザインの基本は同じだが、やはり名前が欲しいので「アイン、ツヴァイ、ドライ」と名付け仮面に1.2.3が分かるデザインを加えた。
良いっ!!メカ+メイドはいつだって浪漫が詰まりまくってる!転生前の記憶から、アレとかコレとか持ち込み想像を膨らます。
将来絶対スカート下にガトリング砲を装備させようと心に誓った。(※固定式で二門スカートの裾からアームで展開)
後は戦闘能力が落ちても絶対にスカートを一定以上めくれない様に戦わせ、エレガントな動きをさせるのも忘れてはならない。
王女の身に危険が迫った時だけ全能力解放を許す。
ファンタジー世界ってメカ無いけど魔法有れば作り放題じゃないかっ!ゴーレム万歳!
楽しくなった僕はアイディアが溢れまくっていた。
メイドの武器は悩むが、王道だと剣や刀、モーニングスターもあった気がするが銃火器が開発できるまではあえて投げナイフと石礫とか小さい武器にして接近戦は格闘術で戦わせよう。メイドは銃で戦ってこそだ(断言)。
いかん、拘りすぎると朝になってしまう。
メイドに拘り過ぎて執事が作れなかった。
執事は盾持ちで防御特化にして、メイド達のフォローをする感じにしたいのだが。
仕方ない明日到着してからじっくり作るとしよう。寝ないわけにはいかないからね。
数時間後、朝日と共に完成した執事型ゴーレムに仮面をつけて「バトラー」と名付けたりしてた。いや寝ようとしたんだけど、メイドロボと執事ロボとか浪漫じゃん?
作ったら出来ると分かってたら、メカ好きなら絶対作る(※確信)
バトラーは常にエレガントに王女優先で守り、もしメイドが一体でも殺られたらバーサーカーモード(※想像上の産物です)を起動してメイドを破壊した奴にリミッター解除して報復に向かう浪漫設定だ。(※実際にはメイド型が機能停止したら、攻撃者に全力攻撃する設定です。)
この機能を発動させない様守っていかないとな。
戦闘外の命令は王女に従い、平時に魔力残量が6割を切った場合は魔力供給を僕か王女または可能と思われる存在にお願いし補填することとした。
丁度王女が起きて来たので4機の新型達を紹介しておく。
王女は自分の為に護衛用ゴーレムを徹夜で作っていた僕にいたく感動していたが、厨二病を拗らしただけとは言えなかった。
4機は美しく並びエレガントな身振りで挨拶する。
いやぁ、いいね!これこそって感じで僕は満足だよ。
王女に付き従う様命令すると、王女の座った椅子の後ろに綺麗に並んで控えた。
その動きは人間のそれに限りなく近く、多少特殊な見た目ではあるが特殊部隊みたいでカッコイイと思います!(※個人の感想です)
これには本当のメイドさん達も騎士達も驚いていたが、護衛仲間だと思って仲良くして欲しい。
一応忠告でメイド型が殺られると執事型が切れて殺り返しに来ると説明しておいた。
皆の顔色が青かったが気のせいだろう。
こうして気分よく出発となった訳だが、馬車に乗る際に執事とメイド達の重さが重過ぎて乗せられない事が判明。
仕方なくインベントリに収納して移動開始となった。こうなると移動用の馬車もゴーレム化して防衛力を高めるのも良いなと考えつついつも付き従う騎士6名とメイド3名を引き連れ一路ドラグナートへと旅立った。
旅立って直ぐに眠気の限界が来た僕はメルフィーナ王女に優しく抱きしめられながら眠りについていた。
メルフィーナ王女に抱かれて眠っていた僕は、揺れる馬車の中で不思議な夢を見ていた。前世の記憶の中にあったロボットアニメの数々が、今作ったメイドゴーレムたちに合う武装を一緒に考えていた。
目が覚めると、すでに日は高く上がっており、王女が僕の頭を膝の上に乗せて本を読んでいた。慌てて起き上がろうとする僕を、王女は優しく制止した。
「まだ休んでいてください。ずっと私のことを考えてゴーレムを作ってくれていたのですから」
その言葉に甘えつつも、僕は身を起こして窓の外を見た。見慣れた王都の景色はすでに遠く、かわりに見渡す限りの平原が広がっていた。時折、野生の魔獣らしき姿も見える。ちょうどいい。新型ゴーレムたちの実戦テストができるかもしれない。
インベントリから4体のゴーレムを取り出して、馬車の周囲を並走させることにした。メイド服をまとった3体の小柄な姿と、威厳のある執事の姿が馬車の両脇を固める。その光景に、護衛の騎士たちは感心したような、怖れたような複雑な表情を浮かべている。
「まさか並走できるとは思いませんでした」
先頭の騎士が声をかけてきた。
タイタンの設計を基にしているので、この程度の速度なら問題あるはずがない。
話している最中にも、遠くの草むらが不自然に揺れている。僕は即座にメイドゴーレムたちに警戒態勢を取らせた。アイン、ツヴァイ、ドライの3体は優雅な動きのまま、投擲武器を構える。バトラーは大きな盾を構えて馬車の前に立ち塞がった。
その時、巨大な角獣が草むらから飛び出してきた。まさに新型ゴーレムたちの実戦テストにうってつけの相手だ。しかし、彼女たちの戦いぶりは僕の予想をはるかに超えていた。
3体のメイドゴーレムは完璧な連携で角獣の周囲を包囲。投げナイフと小型の石礫が次々と放たれ、角獣の動きを制限していく。そして驚いたことに、それぞれが異なる格闘術を披露したのだ。
アインは柔術のような投げ技で角獣の脚を払い、ツヴァイは空手のような突きと蹴りで急所を狙う。ドライに至っては、中国拳法めいた柔らかな動きで角獣の死角を突いていく。これは...僕が意図せず、前世の記憶にあった格闘技の記憶が組み込まれていたようだ。
バトラーは終始冷静に盾で角獣の突進や飛び掛かりを受け止め、メイドたちの後方支援に徹していた。エレガントさを保ちながらの完璧な連携に、僕は思わずほくそ笑んでしまう。
角獣が倒れ込むと、4体は即座に元の警護態勢に戻った。まるで何事もなかったかのように。
「素晴らしいですわ」
メルフィーナ王女が感嘆の声を上げる。
いや、まだまだ改良の余地があります。たとえばメイドたちの動きにもっと華麗さを加えたいですし、バトラーの盾を魔法で強化する機構も組み込みたい。それと...
僕が次々と改良案を考えていると、王女が嬉しそうに笑った。
メイドゴーレム達の戦いぶりを見て、さらなるアイデアが湧いてきた。
僕は心の中で、次はどんな機能を追加しようかと、すでに構想を練り始めていた。
やはりこれが浪漫。擬人化ならぬメカ化したらいいモノの一つですな。
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(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク