表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/49

メカヲタ、悔やむ

魔王軍から預かっているグファル以下6名だが何れもダークエルフという種族なのだそうだ。

エルフと同じ様に長命な種族で、知性も高い者が多い。

グファルはかなりの長身で戦場で見かけた時は全身鎧フルプレートメイルを着けていた事も有り巨人か何かの種族だとばかり思っていた。


彼らがここドラグネストへ出向して来たのも知識を得るなら長命種の方が長くその知識を生かせるからかもしれない。


何度か魔獣討伐や、盗賊団退治、敗残兵の処理などを共に戦ってみたが、流石だった。


元々戦士であり、実戦経験も得た彼らは教えた戦術への理解も早く、メルフィーナや他の指揮官候補生とも足並みを揃え銃の扱いも日に日に良くなっていた。


メルフィーナと言えば最近態度がおかしい。

ぼーっとする事が増え、今日も戦闘中に集中力を欠く事があった為注意した程だ。


側仕えのメイドさん達は何かを知っている様で、僕に対しても何か言いたげにしている事が多くなっていた。


余りに集中力が散漫なので、僕はメルフィーナの部屋を訪ねた。


アポ無しで来た僕に対し慌てた様子だったが、彼女は部屋に招き入れてくれた。


いつも通り、美味しい紅茶とお菓子を用意して彼女は僕の前の席に腰掛けた。


「突然、どうなさったのですか?」

普段余り僕から来訪する事がない為、彼女は何事かと心配しているのか、何かを不審に感じているのか何処かよそよそしい。


ふと彼女の目を見ると赤く腫れているのがわかった。

「最近余り集中できてないみたいですが、何かありましたか?」

目の腫れには触れず本題を聞いてみる。

すると彼女はハッと顔を上げ僕を見ると震えながら大粒の涙をボロボロと零した。


メイドさん達が彼女に駆け寄り慰めている。メイドさん達の目にも涙が浮かんでいた。

何か圧倒的な不安が伸し掛り、胸が苦しく胃が痛む。


メイドさん達に促されて今は一度お帰り下さいと部屋から追い出されてしまった。


僕は言いようもない不安を感じつつ自分の部屋へと戻った。


深夜、眠る事が出来ず何か飲もうと部屋の扉を開けるとそこに膝を抱えて泣きながら座り込んだメルフィーナが居た。


僕が出て来た事に驚いた彼女は、僕を見るなりまた涙を流している。


部屋の中に入る様促し紅茶を用意して来た僕は彼女と対面した席で紅茶を飲んでいた。

何もと答えようとした彼女だったが、紅茶を一口飲んでため息をついた後重い口を開いた。


「実はドラグロード王....父より前々から結婚をする様に仰せつかっておりました。」


思わず紅茶を吹き出しそうになる。


「お相手はドラグナートを治めるムート侯爵家のご長男フェーター・ムートという方です。」衝撃の事実に脳内がプチパニックになっていたが、努めて顔に出さず話を聞いていた。


「ご存知の通りドラグロード王国の王室にはドラグロード王と私しか血族が残っておりません。兄弟は愚か側室も居らず私が必ず子を成さねば竜族との契約も途絶えてしまう状況です。」


確かに今まで一度も王妃を見た事は無かった。



「私の母は契約者であり、先代守護竜レッドドラゴンのトゥルーと恋仲でした...。しかし、竜種と人種では体内に内包する魔力差が大き過ぎて子を成す事が出来ません。」


何だろう胸の奥がチクッと傷んだ。



「その為母は父ドラグロード王と結婚し私を産んだのです。私は母に愛情を注がれた事は一度も有りませんでした。母は私を産むと直ぐに王都を去り、守護竜と共に過ごしておいででした。」


酷い話だ。ドラグロード王もさぞ辛かっただろうに...


「私は母を恨みました。私と父を捨て去った女です、当然だと思いました。」


――胸が苦しい、彼女にかける言葉が見つからない。綺麗事を言って彼女を傷付けるのが....怖い。


「でもね、マキナ....私は今、恨んでいた母の気持ちが痛い程分かるのです。」


ああ、僕も理解した...この胸の痛みはメルフィーナを奪われる事への悲しみだ。

そして彼女の気持ちも伝わっている。

彼女の言葉を聞いた時に広がった温もりは胸の痛みを消し去っていた。



――しかし、僕はこの気持ちを伝えて良いのだろうか?

彼女を更に苦しませるだけではないだろうか?

ドラグロード王からしたら、僕が幼生体の内に結婚をさせたかったのだろう。


考えれば考えるほど何も言葉が出ない。

素直になればいいなんていう、無責任な言葉も思い浮かび伝えてしまおうかとも思った。




ーー沈黙だけが僕に出来た答えだった。

卑怯なものだ...


このまま黙っていれば彼女は王国の為結婚し王族はその血筋を途切れさす事無く続いて行くだろう。


「...何も、仰ってはくれないのですね。」


「...すまない」


絞り出した言葉は謝罪だった。



メルフィーナは紅茶をもう一口飲み

「夜分に失礼致しました。紅茶..,美味しかったです。」と涙を流し部屋から去って行った。

残された紅茶の湯気を見つめながら、何も言えなかった情けない守護竜に腹を立てた。


本当に機械仕掛けだったら、こうはならなかっただろうな。


自分が取った行動に嫌気が刺し、悔やんだ。



「...不味い紅茶だ。」

読んで頂きありがとうございました!


「星評価」、「ブックマーク」、「いいね! 」


よろしくお願いします!!


感想やご意見有れば是非お聞かせくださいね!

(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ