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メカヲタ、お腹が減る

メルフィーナは僕を抱き抱えて移動し、とりあえず王女の部屋へと案内された。

そこには多くの書物が所狭しとと並べられた本棚があった。

そして壁には大きな地図が飾られている。

僕は地図を指さし「アギャ?」と聞いてみた。

メルフィーナは地図に近寄り大陸の中央付近にある小さな地域を指差し「この小さな国が我が国、ドラグロード王国です。」と答えた。どう見ても大陸の要所であり、隣接するどの国からも攻められておかしくない位置だった。

「お気付きでしょうか?我が国は国土も小さく周囲を大国に囲まれております。それが今でも無事に存続しているのは、お察しの通りドラゴンとの契約をしているからに他なりません。」

なるほど、この小国が生き残ってこれたのはドラゴンという戦力があってこそという事か。

という事は僕が契約しなかったら、大急ぎで他のドラゴンを探して契約しなきゃいけないわけだ。

この感じだとそれ程猶予がある状況とも思えない。


しかしいくらドラゴンの幼生体と言っても、こんな小さな僕に何が出来ると言うのだろう?

それともドラゴンって言うのは幼生体でも、結構強いのだろうか?

「ドラゴンは幼生体の間は身に危険が迫ると王国を囲むようにそびえ立つドラグロード山脈に居る竜種、眷属たるワイバーンやリザードマンの応援が来ます。それは一種のスタンピードであり、ドラグロード王国以外の全てに対して敵対行動を取るのです」

なるほど、成長するまではそうやって自衛している訳だ。

だが同時に僕はこのシステムの欠点に思い当たった。

それはドラゴンが攻撃されそうにならなければ援軍は来ないという事だ。

それは守れる範囲の狭さを物語っていた。

それで国土がこんなに小さい訳だ。

これは契約するだけでなく、内政や軍備の再編成が必要になりそうだ。

そうなると益々僕が何をできるかが重要になってくる。

一度自分が何が出来るか試したい。


とりあえずここにある多量の書物から得られる情報は得ておくべきだろう。

僕は彼女を背に本棚を見回し興味がある本をメイドさんに頼んで取ってもらった。

僕が本を読み始めるとメルフィーナは本棚から僕が選んだ本に関連が高い本を集めて横に置いていってくれる。

文字が読めるか不安があったが、一目見ただけで問題なく読む事が出来た。

流石に竜に守護されし国だからだろうか、竜に関する本は非常に多く有用な情報がいくつもあった。

中でも目を見張ったのは竜の能力についてだった。

抜粋すると竜はその個体が得意とする属性に関しては魔力量以外の制限がなく、どんな呪文でも行使できること。

得意属性以外の呪文は人間種が使用したのと変わらない程度であること。

ドラゴン・ブレス、ドラゴン・ストライク、ドラゴン・ウイング、竜の威圧、竜の咆哮、人化の術等はドラゴンにとって基礎であり、幼生体から成体になった際に自然と覚える。またこれらに得意属性を付加してより強力な一撃を生み出せること。


竜の成体への成長は個体差が激しく、早い個体は10日程で成体になった個体も存在する。しかし幼生体の間の方が色々覚えるのも早く、魔力成長もする為少なくとも1年、出来れば3年は幼生体で成長させた方が結果強くなる事が判明していること。


契約を終えたドラゴンはドラグロード山脈に戻り自由になる様だ。

契約期間が100〜500年と大きく開いているのは、契約したドラゴンの強さとその時与えた魔力量が関係するらしい。

弱いドラゴンに大量に魔力を与えれば長期間契約を維持できるが恩恵が少ない。

束縛の術式が大量の魔力を必要とする為、通常は100年で契約すると言う事だ。

1世代に凡そ1匹のドラゴンと契約するのが習わしらしい。

この契約に関しては建国の際にドラグロード山脈に居るドラゴンロードと交渉し、成立した契約なんだそうだ。

故に僕の前に契約していたドラゴンは既に束縛の魔力が切れ山脈に帰って行った後と言うことになる。


それは王国にとって防衛力が著しく低下している事を意味していた。


これだけ知れば、これからどうすればいいか、なんとなく見えてきたかな。

国を守るためには、内政や軍備の見直しも必要になりそうだけど、まずは自分の力をちゃんと理解して、それを活かせる方法を考えないといけない。


続いてこの国についてだが、この狭い国土でもそれなりに裕福な理由があった。

それは「竜信仰」の総本山がここドラグロード山脈に有り、世界各地の竜信者がお布施として金品や食料等を納めているからだ。

この世界において竜種は神に等しい存在として崇められている。

中でも上位種とされる竜は個体数が少ない事もあり生ける神そのものなんだそうだ。

そう言った意味でも僕と言う存在は上位種の中でも更に希少な古代種エンシェント・ドラゴンであり、存在価値は計り知れない。

王国としては何としても僕と契約を果たしたいだろう。

逆に言えば僕と言う存在以外の強みがこの国には無い。

強いて言うならば国土の6割が竜が住まう山岳地帯な為、ここドラグロード王国も難攻不落とされる土地柄だと言う事くらいだ。

地形が生み出した自然の要塞なのは確かだ。しかしそれとて防衛力に限界はあるし、兵糧攻めをされれば国民や兵士が飢えて死ぬ。

国土の割に人口はそれなりだが、騎士や兵士と言った近接攻撃職が多い。

近代戦闘においては遠距離攻撃が基本だが、この世界の戦争は未だ近接攻撃職がメインなのだ。

剣、槍、盾、ハンマー等が主軸となっている。

遠距離攻撃職は弓と魔法が存在しているが、なまじ魔法がある性で弓の進化が遅くなっている。

中途半端な数の魔法使いより、数を揃えた弓兵部隊に新型の弓を作ってやる方が有効だろうと思うが、破壊力で魔法に劣る弓の信憑性が低過ぎる。

僕のメカヲタ知識を総動員すれば近代兵器を開発する事も、魔法技術と近代兵器を合わせた新兵器を作る事も可能だろう。

先ずはメカ要素として地属性によるゴーレム部隊の作成、その後雷属性を利用した近代兵器開発がいい流れか...(※妄想です)

この国を機械化して最強にするのが守護竜としての役目に違いない(確信)。

空属性の検証は必須だが、想像している通りの性能なら少し面白いことになるかもしれない。

竜の幼生体が本を読みながらアギャアギャと独り言を言っている様は周囲から見て如何なものなのだろう?

しかしここ数時間でざっと二十数冊に及ぶ本を読んだが、古代竜と言うのはやはり頭が良い様だ。

理解力が非常に高く物覚えがいい。

ここまで本を読んだ事で自分で文字を書くことが出来る様になった。

筆談という手段を得たわけだ、これで言いたい事を伝えるのが少しスムーズになった。

早速僕はメルフィーナに何か書く物が無いかゼスチャーで頑張って説明する。

長くドラゴンに仕えてきた氏族なだけあって、この一族は竜への理解が深く早い。

実に助かる。

数刻後僕の元に黒板に似た板とチョークの代わりとなる石灰石粉末を固めた物が用意された。

僕は全身を使って黒板に文字を書きエルフィーナに見せた。

「まあ、もう筆記を覚えられたのですか!」

ほんの数時間での事だ、当然と言える。

最初に伝えたのはそう「お腹減った」だ。

読んで頂きありがとうございました!

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(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク

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