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メカヲタ、指揮する

武装開発も一段落した頃。

開発研究施設に併設される形で運営されていた指揮官、オペレーター、技術者、研究員を育成する人材育成機関ドラッツェンでは修了課程まで進んだ若者達が練習用ゴーレムを使用して、僕が考案した新しい戦闘システムを使った模擬戦を行っていた。


このシステムは水晶鑑定で使われていた空中に情報を映し出す技術を転用して作ったオペレーションシステムで、各機体のダメージや残弾管理を小隊ごとに配置したオペレーターが管理し、その情報を得て指揮官が指揮を出す事が出来る。

仕組みとしては映像に映った機体の鑑定を常にする様にする水晶オペレーションギアという訳だ。

鑑定用の大型水晶程魔力も必要とせず、連続運用しても問題ない。

このシステムを導入する事で詳しい情報が随時更新されて来る為、判断の基準が分かりやすく指揮官によっては予測と実際の数値の差を計算し状況を理解するのに役立っている。

またゴーレムに搭載された通信機代わりの魔石で遠隔で指示を出す事も可能だ。

見たところ中々優秀な指揮官やオペレーターが育っており、壊れたゴーレムを直す魔法技師も十分な数が育ちつつあった。

見ていて楽しそうに思った僕は彼らに声をかけた。

すぐ近くに居ても中々会うことは無い為、彼らは緊張している様だった。

そこで新兵器の実験も兼ねて仮想敵役に志願し、こちらはメイドゴーレム3機、対して学生達はゴーレム30機を使用して戦闘訓練を行う事になった。

僕もオペレーターを使ってみたかったので、ちょうど目が合った女学生を指名し、アイン、ツヴァイ、ドライのオペレーションをお願いした。

「オペレーター科3年のターニャと申します!」緊張した面持ちで顔が引きつっていたので少し緊張を解いて貰う為に話しかけた。


「そんな緊張しなくて大丈夫ですよ。アイン達は小型ですが歴戦のゴーレムですし、今回は隠しダネもありますからね。」


悪戯っぽく笑いながら彼女の後ろに立つ。

「じゃあ、初めてみようか。」


敵ゴーレムは30機、近接15、遠距離15のオーソドックスな割合で配置されている。

敵指揮官はこちらの機体が小型と言うこともあり、スピードを生かした乱戦を嫌って遠距離攻撃から仕掛けてきた。


アイン達に回避重視で敵前衛に潜り込む様指示を出す。このインカムっぽい通信機いいな、アイン達に指示を出すのはいつも思念伝達を使っていたが、こちらの方が雰囲気が出る。


遠距離攻撃をエレガントに回避しつつ、一気に接近するメイドゴーレムに対して密集隊形を築き中に入れさせない。


相手の指揮官も中々やるなぁ。


だけど、それを待っていた。


こちらの武装を見て接近戦型と判断し密集させ遠距離で削る作戦だったのだろうけど、こちらは卑怯なのだよ。


「全機ロータリーガンをマウント、弾丸は地属性ストーンバレットを選択。」

空間魔法でアイン、ツヴァイ、ドライにロータリーガンが接続される。


「各機にロータリーガン接続を確認。ストーンバレット装填。撃てます!」


オペレーターが居るとやっぱりいいな。

「撃て」


各機からヴォオオオオオっと言う連射音が発生し3x2x3で毎秒18発のストーンバレットがゴーレム達を削っていく。

固まってくれたので狙わなくて済む。

「敵ゴーレム前衛タイプ視認で撃破8、残機7。残り6秒で残弾尽きます。」

「撃ち終わったらマウント解除、接近戦に移行。」

「残弾ゼロ、マウント解除、接近戦に入りました。敵残数3,2,1、前衛タイプ全機大破。」

「全機散開、的を絞らせずアインのみロータリーガン再接続、ストーンバレットを再装填、ツヴァイ、ドライの突撃口をこじ開けろ。」

空中でロータリーガンを接続したアインが着地しズサーっと滑りながら再装填を済ます。そのまま側転で勢いの向きを調整し着地して射撃姿勢を取った。


「アイン、射撃再開。一点に集中した射撃により敵からも集中攻撃されています。」


「アインなら撃ちながらでも避けるさ。射撃継続、ツヴァイ、ドライ! 接近戦でねじ伏せろ。」

ツヴァイとドライが交錯する様に飛び交い、全重量をのせたドロップキックの様な蹴りでゴーレムを転倒させる。

「背後を取ってツヴァイ、ドライにロータリーガン接続、アイスバレット装填機体の関節を狙え。」


相手指揮官も良く頑張っている、が相手が悪かった。


「敵後衛型ゴーレム、関節故障により機能低下。稼働可能機体残数4。敵指揮官より降伏信号確認。」


「了解、全機戦闘終了。ロータリーガンの接続解除。帰還せよ。」


「全機のロータリーガン接続解除確認。間もなく帰還します。」


いや、実に素晴らしい。ロータリーガンの性能もだが、敵指揮官の戦闘指揮も非常に良かった。相手がアイン達で無ければ十分な戦果を出せるだろう。

そして何より、ターニャだ。

彼女のオペレーションは非常に良かった。

情報の更新が非常にスムーズで指揮がしやすく、声の出し方からリズムまで全てにおいて言う事がない程完璧だった。


「ターニャと言ったかな?」

オペレーションを無事終え緊張の糸が切れていたターニャは、突然声をかけられて焦った顔でこちらを見てコクコクと頷いた。


「今日、今から僕の指揮下に配属ね。水晶オペレーションギアはこちらで新しい物を用意するよ。」


突然の話に頭が混乱するターニャ。

「え?」


「君、今からドラゴ・エクス・マキナ専属オペレーター。」親指をグッと立ててニコッと笑ってあげた。

みるみる真っ青になるターニャの元に敵指揮官以下のオペレーター達もやって来た。


「先ずは指揮官の君!名前は?」

「ティーガー・ビーズリー3年です。完敗でした。」

ビシッとした敬礼をする。

この男も欲しいとこだが、僕のとこだけ充実させる訳にもいかない。

「君の戦術対応は素晴らしかった。僕の部隊が相手じゃなければ戦果は十分出せただろう。君には何機かゴーレムをカスタマイズした物を預けよう。近日中に君が欲しいゴーレムタイプをレポートにまとめて提出して欲しい。」


彼もまた驚いて口をパクパクさせている。

「それと君が望むオペレーターを3人選んで君の部隊を作ろう。ただし、ターニャは候補から外してくれ。」


「はっ!承りました!」

ようやく声が出る様になった様だ。

「他の学生達も成果を見せて良ければ待遇を変えていくから、ターニャやティーガーを見習って頑張って下さいね!」


そこで真っ青な顔をしたターニャにティーガーが尋ねた。

「どこに所属になったんだ?」

固まっていたターニャがギギギと音がしそうな動きで顔をティーガーに向け「ドラゴ・エクス・マキナ様専属....」と消え去りそうな声で言って意識を絶った。


いや、いい実験といい人材を手に入れたな!と上機嫌な僕の背後では倒れたターニャを救急搬送しようと大騒ぎになっていた。

「(優れた武器も運用する人が無能では役に立たない。今後も定期的に訪れて人材も素材と同じく集めていこう)」

運ばれていくターニャを見送りつつ、今後の方針を固めるのだった。

読んで頂きありがとうございました!

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(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク

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