閑話 「ジャスティン」
俺の名は遠藤 正、日本で生まれ日本で育った大学1年生だった。
入学式から1ヶ月して野郎友達に囲まれ、女の子にはモテなかったけどそれなりに充実した生活をしていた。
そんなある日、学校帰りに立ち寄ったファーストフードショップでからまれている女子高校生を見つけた。
爺ちゃんも、父ちゃんも昔から「正しい事をしなさい。」と言い聞かせて来ていたからつい正義感が出てしまった。
もちろんJKを助けて仲良く〜なんて言う下心もあったさ。
絡んでいた男子高生3人と喧嘩になった。
俺はその喧嘩の中で誤って1人の命を奪ってしまった。
もちろん、殺そうとしたんじゃない。
殴った勢いで相手が倒れその時運悪く机の角で頭を打った。
脳内の血管が切れ、頭痛を訴える彼はそのまま意識を失った。
救急車が来た時、助けたJKは消え俺は警察に通報され捕まった。
ファーストフード店の防犯カメラで、俺が助けに入った事は証明されたが相手が病院で亡くなったと連絡を受けたのは警察の事情聴取の最中だった。
辛うじて未成年だった俺はそのまま勾留された。
両親と爺ちゃんが呼び出され、正しいことをしたと自負していた俺は褒めて貰えると思っていた。
しかし彼らが俺に向けた目は嘆きと軽蔑に溢れていた。
人を助けても人を殺したら正しくない。
暴力に訴える前に言葉で伝える努力をしたのかと責め立てられた。
正論なんだろう、どうせ俺の行動も何もかも間違っていたのだろう?
ギャンギャンと騒ぐ両親に対して、途中から何も言う気が無くなった。
もうこいつらも殴ってやりたいと思った頃、爺ちゃんが口を開いた。
「正、お前は正しい事をやった! 困ってる女の子を見て助けねぇなんて選択肢はねぇ!だけどな、やり方はちょっと間違ったかもしれんな。正しい事は正しいやり方で示さないといかんでな。」
爺ちゃんの言葉に涙が溢れた。
「ごめん、爺ちゃん。ごめん、ごめん...」
両親は黙っていた。
それから俺は裁判を受け少年鑑別所に収容された。
その間に爺ちゃんが亡くなったと聞き、また涙した。
その日泣き疲れて寝てしまった俺は、この世界で目を覚ました。
そして女神という存在に出会い、俺の人生を肯定してくれた。
今までの名前を捨て、ジャスティンと名乗る事にした。
そしてその祖父から受け継いだ正しい心で世界を救って欲しいと願われいくつかのスキルと呼ばれるモノを与えられた。
「鑑定」見ただけでそれが何なのか教えてくれるスキル。女神が知るこの世界のありとあらゆる事を調べられる。
「魔法想像」知識有る事ならイメージ次第で全ての属性魔法が作れる。
「正義の心」信じる正義がある限り女神の信徒を味方に出来る。
の3つを貰ったが、その手の事に疎い俺には意味があまり分からなかった。
神聖国で3年かけて修行し、自分のスキルがどう言ったものかを理解した。
王国は僕を神々の使徒として勇者に認定した。心から誇らしかった。爺ちゃんに喜んで貰えると思った。
勇者の証として聖剣を貰った。鑑定すると魔力を大量に消費して切断能力を数倍に上げる事が出来る剣だった。
こうして順調にスキルと武器を手に入れ、仲間を得た。
領内の問題やダンジョン、野党や魔族との戦いを繰り返し強くなってきたはずだった。
ある日女神のお告げが有り、竜の国に操られた竜がおり助けを求めていると聞かされた。
ドラグロード王国の契約者が代々竜を束縛し国を守る為に利用していると。
今代の竜は力が強く、成竜になる前から神聖国の罪もない人々を1万近く殺している。このまま成竜になればとてつもない被害が世界を覆い尽くすと言うのだ。
契約者さえ倒せば、竜は正気に戻り去っていくだろうと言われその成竜の儀式を狙って潜入した。
しかし、そこに居たメイド型のロボット達や執事型ロボットは鑑定出来なかった。
聖剣にありったけ魔力を込めて契約者を狙ったが執事型ロボットに邪魔されてしまう。
その後はやたらと強いメイドロボットがずっと張り付いてきて契約者を狙う事すら出来ない。
味方もメイド達に翻弄されて完全に手詰まりになっていた。
このタイミングで黒い古代竜は停戦を呼びかけて来たのだ。
自分は操られていない事実と、決意を示され動揺した。
「正義は正しく示すべきでないか?」と爺ちゃんと同じ事を言った黒い古代竜に立ち向かう気が起きなかった。
でも、あのドラグロード王国という国が代々竜を束縛し守りの要としていたのも、竜信仰という邪教によって世界から金品を巻き上げているのも事実だ。
「正しい事は、正しいやり方で」
俺は心の中でそう呟いた。
あの黒い古代竜...マキナと言ったか。
子供達と契約者を守り、強力な守護者を従えていた。
彼と戦えばきっと何が正しいか見えてくるだろうと思った。
だけど、今のままでは正しく戦う術が無い。
彼は考え一度世界を見て世界の在り方を学び、正しく示す為に旅するのだった。
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(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク




