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メカヲタ、宣言される

式典と言う他国からも人が来る状況に、油断し過ぎだ。

3年の停戦、不干渉条約があると言う油断が意識していたはずなのに、この状況を作ってしまった。

ここまで接近を許しては、用意したゴーレム部隊もガンナー師団も意味を成せない。


神聖国が勇者を認定し、正義を示すのは一種のプロパガンダだと決めつけていたが実はこの3年で勇者召喚を行い育成していたという事か?


落ち着け、事の顛末を考えるのは後だ。

僕は頭の中をクリアにし、優先事項を再確認する。


メルフィーナと子供達は僕の近くから離れる事が出来ないでいる。

安全な場所が僕の近くしかないからだ。

近衛騎士団は要人を守る為に動けないだろう。

メルフィーナと子供達を守りながら戦うアートは明らかに不利な条件だ。

僕と同じく周りを巻き込む為、最大戦闘力で戦う事が出来ないでいる。

とは言え、勇者もアートに有効な攻撃を入れる事が出来ていない。

巧みに勇者の攻撃を逸らし直撃を許さない。

アイン達は1人で2人ずつ相手にして戦えている。

僕が人化して戦うのは愚策だ、まだ伏兵がいた時に対処ができなくなる上、式典中に竜が逃げたと吹聴されるのも困る。

倒されたバトラーを見るに相手は炭化タングステンのラミネート加工を施したシールドを斬り裂いてバトラーに致命傷を与えている。

あの勇者の武器性能なのか、召喚勇者特有のチートスキルなのかは不明だが硬さでは守れない可能性が高い。


勇者のお仲間にはラミネート装甲を抜ける攻撃力は無さそうだ。


今はあの気取った勇者を叩き伏せる事より、引かせる事が優先だ。

陽動であることも考えられる以上、時間はかけたくない。

ならば...


「戦闘を止めよ、異界の勇者よ。お前の正義はこの様に小さな子供や力無き女性に不意打ちで刃を向ける事なのか?神聖国とは不意打ちが余程好きとみえる。3年前もそうだったが宣戦布告も無しに仕掛け無様に負けた腹いせなのか??」


「何だと!古代竜よ、その言葉を取り消せ!私はそなたを解放する為に来たのだぞ!」


「勇者とは勇ましい者の筈だが、やっている事は他国の式典を台無しにし、一方的な正義を押し付けるだけではないか。お前が正義だと言うのなら暴力に訴えず、まずは言葉を尽くせ。」


勇者の顔が怒りで真っ赤に染まっていく。

煽りすぎたかな?


「3年前、お前は神聖国の罪もない1万の軍勢を一方的に殺戮したと聞いている!お前は操られているだけで、諸悪の根源はドラグロード王国の契約者が使う束縛の術にあると神に聞いた!」


「3年前の戦いは神聖国が宣戦布告も無しに攻めて来たから返り討ちにしただけだ。お前の言う神が何なのかは知らぬが、少なくとも我に束縛の術等通用しはしない!」


噛み合わない話の内容に混乱する勇者。

彼の仲間達にも動揺が広がっている。


「我がここに留まる契約の名は「信頼」と言う。いいか勇者よ、我の銘は機械仕掛けの守護竜、ドラゴ・エクス・マキナ!契約者メルフィーナ王女やドラグロード王、そしてこの子供達の様な国民達を守ると決めたのは我自身。例え神が何と言おうとその決意を偽物とは呼ばせぬ!」


本心だった。一方的な正義を押し付け間違った認識で害されようとするメルフィーナ達を守りたい。


僕の言葉にメルフィーナ王女も子供達も民衆も涙を流していた。


子供達が僕にしがみついて来ている。

小さな命の温もりが分厚い外殻を超えて伝わってきていた。


「勇者よ、これだけの騒ぎになってなお逃げ出しもしない国民達を見よ。ここで怯える子供達が何をしたと言うのだ。お前が勇者で神が正しいと言うのなら、戦いは戦場で戦う意思ある者だけでやればいいだろう。正義は正しく示すべきでないか?」


勇者は黙っていた。

アートが隙ありとばかりに攻めない様に止めておく。


しばし会場は沈黙に包まれていた。

勇者の仲間達も彼の決定を待っている様だ。



スっと頭を上げた勇者は言葉を紡いだ。

「...分かった。今は引く、だが納得はしていない。」


勇者は行くぞと仲間に声をかけ、堂々と去っていった。

話が通じる以上、彼は本当に「勇者」なのかもしれない。

彼に吹聴した神なる存在は気になるが、嘘で勇者を騙しているならたいした神でも無さそうだが...



勇者が立ち去った後、皆の視線が僕に集まっているのを感じ皆に謝罪する。


「ドラグロード王国国民、並びに諸外国から訪れた者たちよ。此度の不始末は私の油断が招いたこと。守護竜として不甲斐なく思う。」


頭を下げようとするとドラグロード王の声が響いた。


「何を謝る必要があるか、守護竜マキナよ。貴殿は守ってくれたではないか! 」

王の言葉に国民達も感謝や、謝らないで欲しいと懇願する言葉が聞こえてくる。

その気持ちの渦に僕は戸惑ってしまい言葉が出ない。

王は国民達の声を受け高らかに宣言した。


「国民達よ!この黒き古代竜こそが我らが国を守る守護竜である!機械仕掛けの守護竜と呼ばれる、いずれは勇者も魔王も寄せ付けぬ最強の守護竜となるだろう!しかと覚えよ!」


民衆の声が割れんばかりに響きわたる。


なかなかハードルの高い目標を示されてしまったが、決意は決まっている。

「承った。」短く答え王に頭を下げた。

王は満足そうに笑みを浮かべていた。


僕は人化し、足元に居た子供達を抱きしめた。

子供達もマキナと僕の名を呼びながら抱きついてきていた。


「これにて、つつが無く儀式は終わり守護竜マキナの成竜化を認める!」と宣言し儀式は終わった。


僕は横で涙を流しながら佇むメルフィーナ王女に声をかける。

「無事で良かった、怪我は無いか?」

メルフィーナは黙って頷きそっと僕に寄り添った。

ポンポンと頭を撫でアートとアイン達に護衛させる。

倒れたバトラーをその場で修復し、復活させる。

「よくメルフィーナ王女を守ってくれた、ありがとう。」

心無いゴーレムであり、命令に従っただけだと分かっているが、感謝を伝えた。メルフィーナも「守ってくれて、ありがとう」と声をかけている。

バトラーはいつも通りにエレガントにお辞儀をし、何事も無かった様に護衛に戻った。

アイン達にも感謝を述べ僕の傍らで凛と立つアートに向き合う。

彼女無しには守り切れなかっただろうと思うとあの時暴走してアートを作っておいて本当に良かったと思った。

「アート、良くやった。お前の働きに感謝する。」

アートはエレガントにカーテシーを行った。

こう言った仕草は前世の僕の記憶によるものなんだろうけど、まるで意思がある様に見える。


しかし、勇者か...危険な敵が現れたな。

まともに相手出来るのがアートだけでは心もとない。

あの攻撃についても防御策を講じる必要がありそうだ。

次に戦うのが戦場であれどこであれ、負ける訳にはいかない。

物語で言ったら、あっちが主人公なのかもしれないが僕の物語の主人公は僕だ。

負けてやる気は無い!

召喚勇者についても調べる必要がある。


また世界がきな臭くなって来たのを感じつつ、今後の方針を考え出すのだった。

読んで頂きありがとうございました!

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感想やご意見有れば是非お聞かせくださいね!

(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク

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