メカヲタ、勇者と出会う
メルフィーナ王女の元に戻った僕は成竜化した事実を世界に伝える為一度王都へ戻る事となった。
その事実を高らかに宣言し、プロパガンダとして竜に守られし国をアピールするのだ。
国防としては既にゴーレム部隊や銃火器を装備したガンナー師団が有れば十分とも思えたが、竜信仰や国家の安寧秩序の為にも必ず成竜化を知らしめるべきとの考えらしい。
僕からすれば「たった一匹の竜に守らせてもその対応範囲は狭い」と考えていたのでゴーレム部隊の方が遥かに実用性が高いと思ってしまう。
だが長年竜に守られて来たドラグロード王国にとって守護竜というのは、やはり大きな存在だと言う事だ。
僕とメルフィーナ王女は急ぎ王都に行かねばならない為、ゲパルト、エルダには研究開発施設の改装工事の継続と僕の外装パーツの作成をお願いした。
王都まで魔改造馬車で移動しても良かったのだが魔改造馬車の巡航速度は毎時5-8km程度である事を考えると3日間1日8時間移動したとして王都まで約250km程度であると分かる。
僕の巡航速度は時速11km程度、魔力を使わずに速度を上げると時速54km程度で飛行出来る。
魔力ジェットを使うと凡そマッハ2(時速2450km)まで上がるが10分と継続できないし魔力疲労が溜まる。
時速50km程で馬車を掴んで運べば、5時間程度で王都へ帰れる訳だ。やらない理由が無い。(※マッハ2で飛べば約6分)
高い場所に対しての反応はまちまちだったが、メルフィーナ王女は楽しかった様で興奮気味に見えた景色について話している様は年相応な女の子なのだと思う。
何回か休憩を挟みつつ王都へと帰って来た僕たちはゆったりと減速し着陸体制に入った。
悠然と飛ぶその姿を見た民衆はお披露目前にそれが僕である事に気が付き、皆追いかけて来ていた。
「おかえりなさい!マキナ様!」
「成竜化、おめでとうございます!!」と口々に喜びを表現してくれる。
「皆さん、ありがとうございます。儀式にて正式に発表されますので、お待ち下さいね。」と声をかけると僕の声を初めて聞いた事で益々騒ぎが大きくなってしまった。
メルフィーナ王女達が騒ぎを収めようと奮闘しているが、一向に収まる気配が無い。
騒ぎを聞きつけた王国の近衛騎士団と大臣らが僕の姿を見て急ぎ事態の収拾に努めてくれたお陰でようやく解放された。
僕の人気も大したモノじゃないかと喜んでいたら、「目立つ格好でお越しになりません様に」と怒られてしまった。
真に申し訳ないです。
人化の術を使いメルフィーナ王女達と共にドラグロード王のもとへ行き、成竜化の報告と騒ぎの謝罪を行った。
「マキナ殿と言葉を交わせる事が非常に嬉しい。」と言って頂き恐縮してしまった。
そのまま大臣達から成竜の儀式についての説明を受け、その日の内に竜信仰の総本山とも連絡をつけ儀式の日取りを調整する事になった。
6日後に儀式を執り行う事が決まり、各国に対しても報せを送っていた。
僕の希望で子供たちは前の方によく見える場所に居させてあげて欲しいとお願いしておいた。
きっと子供達も驚くだろうな、ああでも怖がらせて泣かせてしまうかもしれないな...
むう、前に来させない方が良かったかな?
ようやっと守護竜としてちゃんと言葉で宣言出来る事が嬉しかった。
準備の間も本当に皆に声をかけられ、祝福してくれた。
まだ本番じゃないのに、本当に嬉しいんだな。
準備はつつがなく進み、貴族やアイゼン王がやって来てくれた。
儀式前夜には僕が話せる様になった事に喜んだアイゼン王とドラグロード王との懇親会(飲み会)に誘われ遅くまで新型スチームエンジンについて聞いたり、僕の改造計画を話したりと盛り上がった。
そして遂に儀式当日になった。
街の皆も余程楽しみにしてくれていたのか、朝早くから大勢の人々が集まりざわついている。
命名された時も居た宮司が総本山からまた降りて来ている。
僕に挨拶し深くお辞儀した後、式は始まった。
「集まりし皆々様、成竜化を遂げた古代竜にして守護竜マキナ様のお姿をとくとご覧あれ。」
僕は契約者であるメルフィーナ王女をエスコートし会場へ舞い降り会場の皆さんに手を振る。
会場最前列に陣取った子供達は知らない人と王女が一緒に居るだけの状況にキョトンとしている。
僕は子供達に近ずき声をかけた。
「皆、マキナだよ!! 今から大きな竜になるけど、怖くないからね!」
うう、未だ理解出来ずポカン面した子供しかいない。
ギャン泣きにならなきゃいいけど...
メルフィーナ王女が僕の横に立ち子供達に声をかける。
「皆、あの小さかった守護竜マキナ様を覚えてる?」
子供達が反応して覚えてるの合唱がはじまった。「マキナ様は大きくなったんだよ! 皆を守る為に大きくなったんだよ!」
「今から大きくなったマキナ様を一緒に呼ぼう!!」「せーのっ」ちょ、めちゃ恥ずかしいんですけどね。
「マキナさまぁああああ!」の合唱が始まった。もう耳まで赤くなった僕は恥ずかしさを打ち消す様にさっさと竜に変化した。
「おおおおおおおお!!!」会場中がマキナの姿に驚き、子供達はギャン泣きである...
立つ瀬が無いとはこの事か。
するとメルフィーナ王女が僕の手に触り、抱きついた。
「怖くないよ? いつものマキナ様だよ。」ヤバいもう泣きそう。
メルフィーナ王女の行動に子供達が泣き止む。
「皆もおいで、マキナ様に触ってごらん。」と子供達を誘導する。
子供達は恐る恐るだが、立ち上がり近づいて来る。
僕は動かない様にじっとしていた。
子供達がすぐそこまで来た時、会場から声が上がった。
「待て!!!!!」鋭く凛とした男の声に会場が押し黙る。まるで拡声器でも使った様に不思議と通る声に子供達も動きを止めた。
「悪しきドラグロード王国の契約者よ!傀儡の術で竜を操り、竜の自由を束縛する者よ! 我は神聖国ゴッテスベフェールが認めし勇者ジャスティン!!!!」
んん?傀儡の術?束縛??覚えがないが。
「契約者メルフィーナよ!傀儡にした古代竜で子供達を惑わすつもりか!!」
一方的な言い分で近づいて来る。
子供達が近く僕は下手に動けない。
「神聖国の勇者様、私にその様な心積りはありません。それに彼とは束縛の術無しに契約しております。私に彼を束縛出来るほどの魔力も才もございません。」
負けじとメルフィーナ王女も言い返す。
「黙れ!!!下劣な術で竜達を操り世界を混沌に落とす契約者は勇者ジャスティンの名のもとに神罰を下す!!!」
メルフィーナの周りに勇者の部下達が現れ攻撃を仕掛けた。
アイン、ツヴァイ、ドライとバトラーが舞い降り部下たちの攻撃を止める。
「怪しげな術を使うな! やはり神のお告げ通りお前達は邪神の使徒なのだな!」
言うが早いか動くのが早いかジャスティンなる勇者はメルフィーナに向かい剣を抜き去って攻撃を加える。
咄嗟に間に入ったバトラーが斬り倒された!!
「アート!!!!!」静観していた僕は咄嗟にアートを召喚し勇者にぶつけた!
「メルフィーナ、下がれ!アート!オール ウェポンズ フリー!!! メルフィーナと子供達を守れ!!」アートの攻撃が再三回避されているだと!
「そいつは認定勇者じゃない。召喚勇者だ!!」
突如として現れた、召喚勇者との戦いに予想外の苦戦を強いられる。
ここで何も失う訳にはいかない!!
そう強く願い、戦術を練るのだった。
読んで頂きありがとうございました!
星評価、ブックマーク、いいね! お願いします!!
感想やご意見有れば是非お聞かせくださいね!
(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク




