メカヲタ、考える
実に1ヶ月の間、ハルトアイゼン王国に滞在しアートという魔神を作り出した僕は当初の目的である銃火器と魔石加工の技術者を連れてドラグロード王国に戻ろうとしていた。
アイゼン王は実に残念そうな顔をしており、何とか僕に留まって貰おうと必死だった。
「王よマキナ様はドラグロード王国の守護竜で在らせられます。無理を言ってはマキナ様を困らせる事となりますぞ?」
側近のドワーフが助け舟を出してくれた。
それでも納得できないアイゼン王は一つの考えに至った。
「ならばどうだ、ドラグロードとの国境沿いにある砦を開発用の研究機関として改装しドラグロード王国側の土地と合わせて実験場にすると言うのは?」
その砦の位置はドラグロードの王都から2-3日、ドラグナートから3日、ハルトアイゼン王都から3日と言った立地条件で輸送等を考えても悪くない場所だった。
大臣達も王の突然の申し出にも関わらず前向きに検討している。
「今後マキナ殿とゲパルト、エルダが作り出す戦力は双方の国にとって大きな戦力となるだろう。その保管や修理、開発や実験場等が双方にとって偏った距離に有るのは望ましくない。」
確かにドラグロード王国の王都で開発したら、ハルトアイゼン王国を助けに行くのに今のままでは6日はかかってしまう。
「同盟締結された今、あの砦は大した意味を持たない事になるだろう?であれば有効利用するべきではないか?」
この案は今思いついた体で言っているが、事前に考えられたふしがある。
しかし、実際ハルトアイゼンからも素材等を取り寄せる事が増える以上、この案は正直ありがたい。
どこで何があっても駆けつける事が出来るのも良かった。
メルフィーナ王女はこの良案を持ち帰り必ず良い返事を致しますと告げた。
彼女もこの案に賛成の様だ。
こうして魔改造馬車にいつもの面子とゲパルト、エルダ、そしてアートを乗せて一路ドラグロード王国へと帰還する事となった。
同盟どころか信仰を得たと伝えたら、ドラグロード王はどんな顔をするだろうか?
そんな事を考えつつ魔改造馬車はゆったりと帰路についた。
途中何度か魔獣や盗賊等に襲われたが、魔獣はアートが一蹴し盗賊はアイン達が撃退した。
アートを盗賊対応に当てると悲惨な結果しか想像出来なかったので、アイン達に頼んだ。ある意味棲み分けが出来たと言える。
実際アートの能力は作った僕も無意識だった部分が多く、色々なパーツを見るとどう見ても前世のロボットアニメで見た様な機構も搭載されていた。
中でも怖くてまだ使わせていない機能に、電磁力を利用したと思われる機構があった。
インベントリの中にもそれに合わせて用意したと思われる武装も有り下手すると斥力を使った射出や移動、防御等もできそうだった...
必要になるまで封印しておく事にしよう。
アートは僕の作った傑作に違いないが、一歩間違えたら殺戮兵器に成り下がる。
今後研究開発する時は、もう少し考えてから作ろうと自分に言い聞かせる僕だった。
さすが「僕が考えた最強メイドゴーレム」と言うアホな思想で暴走しただけはある。
とは言え、自分の作った作品を理解しない訳にはいかないので、王都に着くまでの時間を使って検証していく事にした。
6日後ドラグロード王国の王都に帰還した僕たちを民衆がまた笑顔で迎えてくれた。
前に花冠をくれた子供達を発見した僕は馬車から飛び降り子供達と戯れた。
いや、色々アートを調べたらね。
やっちまってたのよ、良く開発したな僕!と褒めてやりたくもあったけど、あれは既にメイドではない(※最初から違う)。
どうりで炭化タングステンで覆ったタイタンが半壊するわけだ。
電気を手に入れた僕は電磁力に手を出し、斥力を使った武装と装備を作っていた。
まだこれはいい、まだ何とかなる。
そしてあろう事か左目に入れられた魔石に空間属性を付与したのだ。
それによってアートは何処からでも僕のインベントリにアクセスし武器を取り出し、使わなくなった武装をしまう事も出来る様になった。
これもまあ、辛うじていい。
まだ、きっと大丈夫。
問題はこの空間属性を利用して空間に「歪み」を作り出し高重力を発生させると言う理論と機構を作った事だった。
重力とは地属性魔法と考えがちだが、実は空間魔法なのだ。
空間に重い物体(※星とかね)が有ると空間や時空が歪む。
この歪みこそが重力の正体とされている。
前世でも解明には至っていない理論だが僕はこの歪みを空間魔法で発生させ、その歪み諸共相手に叩きつけ超重力による分子間の結合を壊す圧力にしようとしたっぽい。または高電圧を左右の手に装備したナックル内で発生させ電場を生成し分子間力を上回らせる事で崩壊させようとしたっぽい。
幸いにも発生させられる歪みや電場に対し魔力量の限界があったらしくタイタンを半壊させるに留まったことは幸運だった。
....子供達の笑顔が眩しい
まあ、核分裂や核融合には手を出していなかったのが幸いと言うところだった。
もし前世の世界から僕以外の人間がこの世界に現れたらそう言った力も使用するかもしれない。
そう思うと対抗手段は考えておくべきかもしれないと思った。
アートは魔力量という枷のお陰でどうにかその力を抑える事が出来る様だが、僕はどうだろうか?
やがて僕が成竜になった時、僕がその力を行使したのならアートの比ではない魔力量でとてつもない崩壊を生み出せるのではないだろうか?
僕は守護竜だ。
守る為に必要であれば、そんな力も使う日が来るかもしれない。
今子供達と戯れている僕が彼らを不幸にしない為にも力の使い方をしっかりと考えていこう。
使える事と、使って良いは同意では無いのだ。
やがて手に入れるだろう力の片鱗をアートに見た僕はそう考えるのだった。
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(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク




