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メカヲタ、鑑定を受ける

幼いドラゴンとして目覚めた僕。幼生体という事は、いずれ成長して全く異なる姿に変わるということだろう。

私を連れているのはメルフィーナ第一王女だという。王族に迎え入れられるということは、僕も悪くない存在なのかもしれない。

ファンタジーの世界ではドラゴンにも様々な種類がいるものだ。少なくとも、可愛らしい姿をしているのは幸いだった。

最悪でも、王室のペットとして贅沢な暮らしができそうだ...退屈な未来しか見えないけどね...

「おお、メルフィーナ。その子がドラゴンなのか?」

40代くらいの凛々しい風貌の王が声をかけてきた。王女は僕を地面に降ろし、優雅にお辞儀をしながら答える。

「はい、間違いなくドラゴンの幼生体でございます。しかも既に我々の言葉を理解し、簡単な会話も可能でございます。」

その言葉に、周囲から驚きの声が上がった。

「なんと、言葉を理解するとは。上位種の可能性が高いな」

「ドラゴンよ、こちらに来なさい」

王の呼びかけに、僕は王女を見上げる。王女がうなずいたので、僕はゆっくりと王の元へ歩み寄った。その仕草だけで周囲は騒然となる。

少し屈辱的ではあるが...僕だってそれほどバカじゃない!と言ってやりたかった。

王の足元に着くと、上を見上げて「アギャっ」と鳴いてみた。

王は厳かな表情を崩し、「なるほど、確かに理解しているようだな」と微笑んだ。

傍らにいた大臣らしき人物が「では早速、鑑定をさせていただきましょう」と提案した。

なるほど、この世界には鑑定というスキルが存在するのか。興味深い。


大臣の案内で広間の中央へ移動すると、巨大な水晶がはめ込まれた鑑定水晶という装置が運び込まれてきた。あまり機械的では無いが興味はある。


「それでは鑑定を始めますので、そのままお動きにならないようお願いいたします」

「アギャ」と返事をして頷く。

鑑定水晶が光り始め、僕の周りに魔法陣が形成される。

不思議なことに、魔法陣に刻まれた文字が読める。鑑定の仕組みまで理解できてしまう。

知るはずのない知識なのに、まるで当たり前のように頭に入ってくる。

やがて鑑定水晶の動きが止まり、結果が空間に投影された。

ほほう、空間投影が出来るのか...少し興味が出てきたな。

「古代竜種(幼生体)属性:不明」

「なんと!古代竜種とは!」

周囲が騒然となる中、大臣は魔道士から説明を受け、王に報告する。

「古代竜種であるため、この鑑定水晶では属性が判定できないのかと」

僕は先ほどの魔法陣を思い出し、鑑定基準を自分に合わせて術式を書き換えてみた。

すると鑑定水晶が再び動き出す。

「まさか、鑑定水晶の術式を...特殊古代語を理解しているというのか?」

魔道士が驚いた様子だが、僕にとってはさほど難しいことではなかった。

新たな鑑定結果が現れる。

「古代竜種(幼生体)属性:雷・土・空」

「トリプルだと!?」

周囲が驚く。三つの属性を持っているということらしい。

雷と土は理解できるが、空とは何だろう。空間属性だろうか。

「しかも、二つは通常属性ではありません」

どうやら僕は珍しい存在として認められたようだ。

可愛らしい容姿だけでなく、能力も評価されて良かった。

「だが、これは困ったことになったな」

突然、空気が重くなる。

「そうですね。人の言葉を解し、特殊古代語を使え、しかもトリプル属性の古代竜となれば、契約は不可能でしょう。契約に耐えられる者などおりますまい」

「せめて基本六属性のダブルまでであれば、何とかなったのですが...」

契約についてもっと詳しく知りたくなった僕は、魔道士のローブの裾を引っ張って「アギャ?」と首を傾げた。

魔道士は微笑んで説明を始める。

「この王国では100年から500年周期でドラゴンと契約を結び、王国の守護を依頼する代わりに、ドラゴンの望むものを捧げるのです」

「契約には二つの要素が必要です。ドラゴンに付ける銘と、契約者の魔力です。問題は魔力量で、契約するドラゴンが強ければ強いほど、必要な魔力も膨大になるのです」

私との契約には魔力が足りないということか。

「アギャー」と落胆した様子を見せる。

「しかし、方法が全くないわけではありません!」

僕がしょんぼりしたのが彼の心を打ったのか、焦った様子で魔道士が続ける。

「通常の契約は全ての力と束縛を含みます。これはドラゴンの離反を防ぐためです。この束縛の呪文が莫大な魔力を必要とします。しかし、古代竜様は我々の言葉を理解されています。束縛なしの契約も可能なのです」

魔道士は慌てて王を見る。

「つまり、古代竜を信じ、言葉の約束だけで契約するということだな」

その場に居た皆が僕を見つめる。

まだ分からないことが多い。良い人々のようだが、もう少し様子を見たい。

「アウ、アギャギャ、ウギャギャッ」

何を言っとるんだ、僕は。

「見極めたいということか?」

王の読みは正確だった!僕は全力で頷き、王の元へ駆け寄りビシっと手と尻尾で指さす。

王は満足げな表情を浮かべる。

「我が王の仰る通りようですな」大臣も納得した様子だ。

「では、メルフィーナよ。古代竜に仮の名を与え、側近として仕えるように。古代竜にこの王国を見せご協力頂けるよう尽くすのだぞ?」

メルフィーナは優雅にお辞儀をして「承知いたしました」と答えた。

こうして僕は、メルフィーナとの仮契約で、この王国を見極めることになったのだった。

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(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク

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