メカヲタ、失敗する
ドワーフ王国ハルトアイゼンからの使節団が帰国して一週間が経過した。距離と状況を考えれば、彼らがここに戻るには最低でも二週間を要するだろう。その間、僕は更なる技術開発に没頭していた。
我が国ドラグロード王国には、豊富な魔石の埋蔵量がある。鉱脈から採掘されるものもあれば、モンスターの体内から発見されるものもある。言わば、魔石は我が国の特産品とも言えるのだ。しかし、その用途は限られていた。魔道士の触媒として、あるいはマジックアイテムの動力源として使用される程度で、一般での需要は少なく、供給が需要を大きく上回っている状況だった。
ハルトアイゼンでは魔剣の製造などにも活用されているようだが、我が国の鍛冶職人たちにはその技術が無い。そんな中、僕がゴーレム製造に大量の魔石を使用し始めたことで、一気に需要が拡大。鉱夫や冒険者たちにとって、魔石採集が魅力的な収入源となったのだ。
魔石の優れた特徴は、使用後も魔力を再注入することで何度でも使用できる点にある。サイズにもよるが適切に扱えば数十年、数百年、場合によっては千年単位で使用可能だ。実際、古代から伝わるマジックアイテムの多くが現代でも問題なく機能している。
ここで特に注目すべきは、ハルトアイゼンが誇る魔石加工技術だ。彼らは魔石に地水火風光闇の基本六属性を付与し、単なる魔力の器以上の機能を持たせることができる。その技術を応用し、魔科学とも呼ぶべき新たな分野を確立しているのだ。
その事実は僕にとって非常に興味深くまた利用価値が高い。
僕が特に興味を持っているのは、自身の持つ「雷」属性の魔石への付与だ。もし成功すれば、強力な電力源として機能するはずだ。ハルトアイゼンが火属性の魔石でスチーム機関を動かしているように、我が国では雷属性の魔石で電気機械を発展させたいと考えている。
しかし、魔石加工技術はハルトアイゼンの門外不出の秘術だ。僕は銃器技術と共に、この技術の習得を切望している。現状では僕個人のスキルや魔法で対応できるものの、それでは真の技術発展には繋がらない。より広く普及可能な技術体系の確立が必要なのだ。
ハルトアイゼンとの国交は、僕は必ず双方にとって大きな利益を及ぼすだろうと考えていた。そしてやがてはブレイクスルーを起こし、文明レベルを一気に上げる一助となるはずだ。
当面の間、王都を守る戦力としては騎士団と魔道師団が存在する為、僕は彼らの尊厳を守る為にも今は彼らに任せるつもりだ。やがては機械科部隊に取って代わられる存在ではあるが、僕は可能な限り尊重して行きたいと思う。彼らもまた次の形に生まれ変わる時が来る。それまでには納得出来るだけの結果と装備を用意していこうと僕は考えている。
今日僕はその第一歩として騎士の防御力を上げるアクティブアーマーを試験的に作成していた。これは既存のフルプレートアーマーの素材を見直し、ゴーレム技術で得たラミネート装甲に置き換えたアーマーを作り、その背中にゴーレム式アクティブアームを取り付けた装備だ。
投石、弓、魔法等を含む攻撃を自動で受け止める装備になる。アームフレームの中心に魔石をはめ込み、アームが持つ盾によって自動ガードする仕組みだ。
僕は試しにメルフィーナ王女付きの騎士に装備させ鏃を外した矢を撃って貰った。
試作品1号はアーム同士がガードしようと動いた際に互いがぶつかり破損してしまった。また背中で勝手に動くアームに重心を狂わされ騎士の動きが悪くなってしまう。
何もしないで立っていればオートガードも上手くいくが、なまじ騎士が反応してしまうとガード位置がズレを起こし、ゴーレムと騎士のお互いが邪魔になってしまう。
軽い気持ちで作ってみたが、案外難しかった。勝手に動くというのが、メリットよりデメリットになってしまったのだ。
そこで僕は次にパワーアシストアーマーを考え試してみることにした。アシストが必要な時に起動キーとなるワードを言うことで起動する仕組みだ。これは思ったより良い結果が出たのだが、攻撃の際にパワーアシストを使って殴ったら武器を持っていた手にダメージを受ける結果になった。持つ力に対してアシストが強過ぎたのだ。
しかし防御として使うパワーアシストは非常に良い結果となった。今は腕だけだが足や腰背中までパワーアシストをつければ....ゴーレムの完成である。
やはり僕は人間を前線で戦わせるのはメリットに欠けると感じた。こんな苦労しなくてもゴーレム作ればいいじゃんとなってしまう。もちろん人間の方が優れているポイントもあるのだが、正直この詰みかけてる王国の貴重な人材をこれ以上削るのはもったいないと僕は思う。
姫付きの騎士がパワーアシストを気に入っていたので申し訳ないが、またの機会という事でと伝えた。開発も上手くいくばかりでなく、残念な結果になる場合も多々あるものだ。
しかしこの失敗も試して見たから分かった事であり、こんなトライ&エラーを繰り返すのが開発の楽しみでもある。
このアクティブアームも試しに執事ゴーレムに装備させたところ、人間に装備させるより上手く使っている。
ゴーレム同士だと相性が良いのだろうか?
とは言え結局不具合は多く実戦に耐えれる性能では無いのでお蔵入りである。
いつかドワーフ達も巻き込んで作り直してみよう。
こうしてドワーフ王国からの返事を待ちつつ、開発に精を出すのだった。
この話は書くか書かないでいいにするか悩んだ上で入れました。他の話に入れ込んだ方が良かったかなぁ...
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