メカヲタ、先制パンチを決める
数日経ってドワーフ王国ハルトアイゼンから使者一行が訪れ1週間後にハルトアイゼンにて交渉の席を設けるとの知らせをうけた。
会議には王族から代表者と外務大臣の出席を求めると書状に記載されている。
ここからハルトアイゼンまでは凡そ6日の距離が有る為、この提案をそのまま受けるとするならば通常なら本日中に準備を終わらせ明日には出発する必要がある。
出席者を指定してくるのも含めて、ドワーフ王国が仕掛けて来ているのが分かる。
前世では団体交渉でやってはいけないと言われる10ヶ条なんてのもあったなぁと思ったがあれは組合と会社の場合だから、国同士だとまた違うのかもしれんとぼんやり考えていた。
ハルトアイゼンはドラグロード王国に比べて国の規模が優に10倍は大きい。
あちらは大国、こちらは小国なのだ。
対等な交渉とはいかないのが現実な訳だ。
ドラグロード王国としては舐められたくないと言う話も当然有るし、駆け引き、腹芸は必須だろう。
その辺は外務大臣さんに頑張って貰って、僕はちょこんとオマケ面して着いて行こうかとも思っていた。
しかし現実はもっと重要な意味合いで僕が国外に出る(他国に入る)という事に問題がある様だ。
守護竜が他国へ入ると言うのは、一種の侵略行為に値する様で、ハルトアイゼンとしては認められない。
かと言って国境付近で会議を行うと言うのはハルトアイゼンとしては格下に合わせて交渉の席に着くのは納得出来ないという主張な訳だ。
なるほど、国とかでっかくなると話が小学生並みに面倒になるな。
王も大臣も使者と話し合っているが、一向に意見が纏まる様子がない。
このままだと僕が交渉に参加するのが不可能になるだろうし、最悪交渉自体が無くなってしまうだろう。
そこで僕はメルフィーナ王女を通し、使者一行にお見せしたい物があると切り出した。
使者一行を訓練場に案内し、そこでサイクロプスを一体召喚する。
空中から舞い降りたサイクロプスが重量感のある着地を決める。
「おおおお。」と思った以上に目を輝かせる使者達。
簡易ストーンゴーレムと模擬戦を行い、圧倒的な動きを見せるサイクロプスに興味津々だ。
ストーンゴーレムを破壊したサイクロプスを使者一行の前まで進め停止させる。
見てもいいよと言う意味だ。
「どうぞ実際に触れてご覧になって下さい。」メルフィーナ王女の勧めで使者達は皆あーでもない、こーでもない。この表面の素材は何なのか、内部構造はどうなっているのかと騒ぎ出している。
「こちらのゴーレムを作ったのが守護竜マキナ様になります。当然ながら私共にこのゴーレムを説明出来る者はおりません。マキナ様ご自身によって説明して頂く他ないのです。」
この申し出に一行は悩んでいた。
そこで少し早いが、このサイクロプスを交渉の結果次第では30機進呈しても良いとメルフィーナ王女に伝えてもらう。
「何ですと!!このゴーレムは貴国を守る重要な戦力でしょう??それを30機も我らに譲ると申されるのですか???」
「もちろん、このゴーレム30機に見合った結果次第ですが...」とメルフィーナが言う。
「う、ううむ。これは私共だけでは結論を出せませぬ。一度国元へ戻り会議にかけませんと。」
「それでは、その様にお願い致します。」
メルフィーナ王女も中々に肝が据わった人物だ。さすがあの国王の娘。
ソワソワとした使者一行の一番偉そうなドワーフに近づき「あぎゃっ!」と声をかける。
ドワーフは少し驚いた様だったが直ぐに「これは守護竜マキナ様、どうされましたかな?」と答えた。
僕は空間魔法を使い1枚の図案を取り出した。丸められた図案を解き開いていく。「これは!!! 銃ですか!?」図案を見たドワーフは驚きを隠せず、またその図案が示している内容が革新的で自国の戦力を数段上へ引き上げる内容だと理解していた。
「古代竜ドラゴ・エクス・マキナよ、貴方様はその銘が示す通りと言うことなのですね...」そう言うとドワーフは図案を丸め僕に返して寄越した。
「分かりました。我ら一同全力をもって国元を説得し必ずマキナ様を国賓として我が国へご招待させて頂きますので、今暫くお待ち下さい。」と一行全員で頭を下げてきた。
僕は満面の笑みで「あぎゃっ!」と鳴いて頷いた。
このやり取りを見て、王も外務大臣も笑うしか無かった。
一時は交渉のテーブルにさえつけない可能性があった筈が、いつの間にか国賓として招待される流れになっていたのだ。
使者一行は食事会等も辞退し、その足で急ぎハルトアイゼンへ帰って行った。
交渉の先制パンチとしては悪くなかったかな?まだまだ隠しダネは用意してあるからね。絶対この機会は逃さない。
「ふふふ、既にマキナ殿の手のひらの上でしたかな。」王は笑い僕に話しかけてきた。
「我々がお力になれず、情けない限りです。」外務大臣が悔しそうにしている。
こういう時言葉が話せないのがもどかしい。
黒板に何と書こうとも、彼の悔しさを紛らわす事は出来ないだろう。
王も心中では悔しいと感じているだろう。
せめてその悔しさに見合うだけの結果を持ち帰り、この人達の思いに報いたい。
僕は彼らに自信を持って生きて欲しいのだ。
この守護竜マキナは他でもないドラグロード王国の守護竜なのだから。
早く話せるようになるといいな。
この人達と言葉を交わし共にこの国を守る為苦楽を分かち合いたいと心から思った。
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(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク




