メカヲタ、凱旋する
神聖国ゴッテスベフェールの大敗北
大陸中を驚かせるニュースが広がった。神聖国ゴッテスベフェールの1万の軍勢が、わずか800のドラグナートに対して仕掛けた不意打ち攻撃で壊滅的な敗北を喫したのだ。突如として現れた大規模なゴーレム部隊によって9割近い兵を失い、生存者のほとんどが捕虜となる結果となった。
宣戦布告もなく国境を越えて攻撃を仕掛けておきながら、このような大敗を喫したことは神聖国にとって大きな恥辱となった。神聖国では神殿が大きな権限を持っているものの、今回の事件は功を焦った王国所属部隊の暴走であったとして、正式な謝罪が行われた。
神聖国は多額の賠償金の支払いを約束する代わりに、捕虜の早期解放を要請。さらに数年間の相互不干渉条約の締結を提案してきた。これは明らかに神聖国に関する情報漏洩を防ぎ、ゴーレム部隊に関する情報を少しでも手に入れ対策を練る時間を確保する狙いがあった。
またドラグロード王国からの侵略も抑止出来るという事だ。
しかし、この提案はドラグロード王国にとっても悪い話ではなかった。この勝利の流れで神聖国を削り取ることは可能だろう。しかしそれは守る地域が増える事を意味し、今の王国に守るだけの戦力は無い。
神聖国からの攻撃の脅威が一時的に減少し、賠償金を活用して様々な政策を実施した方が有効だ。また、もし5年間の平和期間があれば僕が成竜となる可能性も高まる。
神聖国はもちろん古代竜の成竜化についても承知しているはずだ。それでもなお不干渉条約を求めてきた背景には、様々な思惑が垣間見える。まず考えられるのは、ゴーレムを打ち破る兵器の開発を目指しているということだ。またドラグロード王国よりも、常に小競り合いの絶えないドワーフ王国の制圧を優先させる戦略を取っている可能性もある。さらに、ドワーフ王国と神聖国の向こう側に位置する魔族領での何らかの動きや兆候への対応を迫られているのかもしれない。
おそらくゴーレムや成竜化した私への対抗手段として、ドワーフ王国の技術力を求めているのだろう。そして同時に、予想以上に手強い相手となったドラグロード王国との対立を一時的に回避したいという思惑もあるはずだ。
王の判断を待つことになるが、この提案は受け入れられる可能性が高い。その上でドワーフ王国との交渉を進め、魔族領に関する情報収集や技術協力を得ることが今後の方針となるだろう。神聖国との一時的な平和を活用し、より大きな脅威に備える時期が訪れようとしているのだ。
僕は様々な可能性を検討していた。指揮官の育成、新型ゴーレムの開発、現有戦力の強化、そして自分自身の未知の能力の探求。ゴーレムのメンテナンスを行いながら改良案を練っていた時、王国からの使者が到着した。
予想通り王は提案を受け入れたという知らせだった。同時に、王から僕への帰還命令も届いた。現場の指揮権をヴィネットに委譲し、王都への帰還を命じられたのだ。
念には念を入れて、僕は防衛態勢を整えた。城壁にストーンキャノンを戦略的に配置し、南門の両側にはサイクロプスを10機ずつ設置。これらの指揮権はヴィネットに委ねた。全てのストーンキャノン100基とサイクロプス20機を残し、僕たちは王都への帰還の途についた。
ストーンキャノンは緩やかながらも移動が可能だ。ヴィネットの采配次第では、かなりの期間防衛線を維持できるだろう。こうして、宣言通りの圧勝を収めた私たちは、来た時と同じメンバーで凱旋の途についた。
道中、メイドゴーレムと執事ゴーレムが馬車に乗れない姿を見て、帰還後最優先で移動用ゴーレムの開発に取り組もうと心に決めた。走って移動するのは優美さを欠くからだ。
2日後、王都に到着した僕たちを待っていたのは、民衆の歓声と笑顔の渦だった。空には花びらが舞い、人々は僕たちを称える声を上げている。僕は目を丸くして窓の外を眺めた。この歓声が僕たちに向けられているという現実が信じられなかった。
ふと下を見ると、小さな子供たちが馬車を追いかけて走ってきているのが見えた。僕は馬車を止めさせ、外に出る。そこで一つの演出を思いついた。執事とメイドゴーレムを背後に召喚すると、彼らは空から優雅に舞い降り丁寧にお辞儀をした。その光景に、群衆の歓声は一層大きくなった。
走ってきた子供たちに近づき、僕は愛らしく「あぎゃっ!」と鳴いてみせた。子供たちは花冠を持っていて、それを僕にかけたがっているようだった。恐る恐る近づいてくる子供たちに、僕は優しく微笑みかけた。小さな男の子が満面の笑みを見せると、周りの子供たちも釣られて笑顔になった。
僕は目を閉じ、頭を下げて花冠をかけてもらった。すると突然、小さな男の子が抱きついてきて、他の子供たちも続いた。メイドゴーレムが反応しようとしたが、僕は制して待機するよう命じた。
しばらく子供たちと触れ合った後、メイドゴーレムに抱き上げてもらった。短い手でピコピコと子供たちに手を振ると、皆笑顔で手を振り返してくれた。馬車に戻ると、メルフィーナ王女が私を抱き上げ、ゴーレムたちを収納して再び馬車は動き出した。
「このように民衆と触れ合う守護竜様は、私は今まで聞いたことがありません」とメルフィーナ王女が満面の笑みで語った。同乗していたメイドたちも騎士たちも、皆笑顔だった。
この瞬間、僕は悟った。この笑顔を守ることこそが、守護竜である僕の使命なのだと。なんと素晴らしい時間だったことか。いつか成竜になっても、このように人々と触れ合い続けようと心に誓った。
メイドゴーレムと執事ゴーレムが出るとこ書くのが楽しい(´-ω-`)
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(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク




